ユウキのめざめるパワー(氷)

ポケモンバトル考察

【WCS2022】ポリ2ヌケザシオーガ【PJCS2022 4-2/TOP50】

こんにちは、ユウキです。
もうすぐ第八世代も終わるので、今更ですが2022年6月に幕張メッセで開催された全国大会「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2022(PJCS2022)」にて使用したパーティを記録しておきます。



★目次

【パーティ】

【実績】

ポケモンジャパンチャンピオンシップス2022
スイスドロー予選4勝2敗で49位/150名
世界大会DAY1出場権獲得

【対戦レポート】

yuki-rotom.hatenablog.com

【コンセプト】

①ミラーに強いザシオーガ
・ザシオーガが復権しつつあるのでミラーで優位に立てるヌケニンとの組み合わせ
ヌケニンまでミラーした場合に強力なポリゴン2採用

実際にR4でアカバさんとヌケザシオーガミラーをした際、ポリ2採用のお陰で勝てた。
他にも聞いた限りで4名以上のヌケザシオーガ使いがいたらしく、環境読みは当たっていた。


②Bo1意識の初見殺し要素
スイスドロー予選を勝ち抜くため初見殺し多め
・「めいそう」3W珠オーガ
・「しんぴのまもり」0Wイエッサン
・特殊メイン両刀+耐久オボンランドロス

初見ではまず読まれない上に、上手く通せればそのまま勝ちパターンに入る要素を多めに入れた。
INC April,PJCS予選等で4月頃から使い続けていたポケモン達ではあるが、PJCS予選終了後はランクマに一切潜らず、ひたすらフレ戦だけして情報を隠しつつ調整を重ねた。
本番も読まれずに決めた「めいそう」から試合のペースを握ることが多く、世界大会出場権獲得に大きく貢献してくれた。


③Bo3意識の複数の戦術
PJCS予選まではオーロンゲとしていた枠をポリゴン2に変更したのだが、これは決勝トナメ進出を見据えてのこと。
オーロンゲ自体がある程度の初見殺し要素を持ったポケモンで、型が分かれば対処法が分かるためBo1では強いがBo3では微妙だと考えていた。
ポリゴン2の採用によりゲームプランに幅が出るのを評価して全国にはポリ2を持ち込んだ。

(1)スイッチを含むトリル展開
トリックルーム」が相手の高速展開に対するカウンターになる。
ポリゴン2の耐久であれば初手からだけでなく死に出しからスイッチ展開も可能。相手によっては交代受けからも動ける耐久があるのは偉い。
自身が遅めのザシアン、ランドロス等を使っていることからも相性が良い。

(2)ヌケニンorポリゴン2による詰ませの選択
ヌケニンを第一の詰め筋としつつ、ポリゴン2でも詰ませを狙えるのが第二の勝ち筋。
互いに網羅する範囲が異なり、ザシアンを含めた物理系統をヌケニンで詰められ、パルキアやレシラム等の炎打点を含む特殊系統を「かいでんぱ」ポリゴン2で詰められる。
相手は選出段階でこの2匹への処理ルートを意識せねばならないため、かなり窮屈になるはず。
「サイドチェンジ」でどちらかの処理を不可能にする動きも含めると相当いやらしい。

ヌケニンが出しにくいイベルタルグラードンのようなグラードン絡みにもきちんと出して行けるのがポリゴン2の強み。

(3)TOD性能
TODを狙う際、ポリゴン2目線では味方にヌケニンを入れることでHP割合で勝ちやすくなるメリットもあるのがミソ。
相手のHP合計よりもこちらのHP合計が低くなりやすく、最後にポリゴン2vs何か1匹となってもHP割合で勝てる可能性が極めて高い。
具体的にはカイオーガ+ポリゴン2+ヌケニン+ザシアンのHP合計が557(平均139.25)なので、相手がそれを下回るHP合計とならない限りはラス1同士の対面で「じこさいせい」連打で勝てる。

従来はヌケニン1匹をラストにするとTOD負けするリスクを負っていたのに対し、ポリゴン2採用でヌケニンの低HPをメリットに変えることが出来ている。

本番ではくろたまさんの黒バドザシアンに対して「トリックルーム」ポリ2で打開出来たお陰で勝てた。このポケモンでなければ切り返しが難しかったので、採用は大正解だった。

【構築変遷】

パーティ 記事
2月INC
3月INC
4月ランク
4月INC
PJCS予選
全国
世界

【構築経緯】

①オーロンゲの課題
くろいてっきゅう+「トリック」オーロンゲはBo1では無類の強さを発揮してくれたが、Bo3では同じ手は二度通用しないため不安が残った。
特に相手目線で最初は壁ロンゲ等も考慮してくれる可能性も含めて初見殺しの通りが良かったという側面も否定は出来ず、全国大会に出場するような上級者相手では「トリック」が初見ですら通らない場合も充分に考えられる(上手い人は見えていなくてもしっかりケアしたり、情報通なら既に知っていて1点読み行動を通される可能性もある)。

また、実質一度しか素早さ操作が出来ないというのも難点だと感じた。
相手の初手のポケモンを「トリック」+「ダイストリーム」で破壊したとしても、後発から速いポケモンを並べられた場合は結局上から殴り続けられ、辛かった。
「こわいかお」や「でんじは」採用という線も検討したが、他の技も使用頻度や採用理由から抜くのが難しかった。
一度きりの「トリック」に人生を賭けると相手に上手く対処された時絶望するので、代わりに黒バド系統に対して比較的安全に素早さ操作(出来れば「トリックルーム」)出来るポケモンを探した。


②オーロンゲの利点
・ゴースト耐性
・悪打点
・素早さ操作
オーロンゲを使っていて快適だったのは「アストラルビット」に耐性があるため黒バドに対して余裕がある点、悪打点が黒バドを始め最近増えているルナアーラや、ミラーで厄介なヌケニンに刺さる点だった。
この辺りは引き継ぎつつ、課題であった素早さ操作の持続性を解決するポケモンに役割をスライドしたいと考えた。


③ポリゴン2の採用
そうして見つかったのがポリゴン2である。

●従来の役割のスライド
・ゴースト耐性
半減ではなく無効となるためvs黒バドやルナアーラを考えると完璧。エスパー技は通してしまうが持ち前の耐久の高さで充分戦える。
オーロンゲと異なり鋼弱点ではなくなるため、少し重めだったソルガレオに対しても強くなれる。

・悪打点
イカサマ」が非常に偉く、伝説戦ではこれ1本でも火力不足になることはない。技スペースの圧縮になる。

・素早さ操作
トリックルーム」は持続ターンが長いため相手の立ち回りによる誤魔化しを受けにくく、前のめりなパーティに対するカウンターとしては最強の技。
加えて白バドパルキアのようなガチトリパに対しても「トリックルーム」返しという選択肢が生まれ、選出及び立ち回りの幅は格段に増した。

以上のようにオーロンゲの代わりを務めるに充分な要素に加えて、新たな強みも。


●ポリゴン2の強み
・単体での勝ち筋貢献
サポーターでありながら自身がラス1になっても強いのがポリゴン2最大の魅力。
エルフーンやオーロンゲやイエッサン等は隣にアタッカーがいないと弱いが、ポリゴン2は「じこさいせい」で自身が詰め筋になれるため勝ちパターンが増え、立ち回りにもゆとりが生まれる。特にBo3においても嬉しい要素。

・「トレース」によるチャンスメイク
いたずらごころ」や「ふしぎなまもり」をコピー出来れば超強力で、上振れが狙える。
特にヌケニンに対して「トレース」がなくとも圧倒的に強い上、「ふしぎなまもり」になった場合はほぼ勝ちになるプレッシャーから相手のヌケニンを選出をさせにくく出来るのがザシオーガ使いとしては嬉しい要素。

イベルタル入りへの仕事
イエッサンが苦手とするイベルタルに対してもサポートが出来る。
ザシアンやヌケニンが苦手なグラードンガオガエンと組んでいることが多いが、これらとセットでも問題なく出せる。
オーロンゲは技スぺや特性の関係でイベルに干渉出来なかったが、ポリ2がいれば安心。

・ポリゴン2への回答
ヌケニンが苦手とするポリゴン2の処理ルートは主にザシアンとカイオーガのみだが、上手く行かない場合もある。
その場合にポリゴン2入りに対してポリゴン2ミラーでTODを仕掛けに行く選択肢が増えるのは大きな利点。
カイオーガ、イエッサン、ザシアンとセットで出すと比較的HPは低めなので、ラス1ポリ2ミラーで試合終了した場合にHP割合で勝てる可能性は充分にある。
ポリゴン2自体がトリル返しが出来てトリパに役割を持てるので自然に選出に組み込める。


【個別解説】

■ポリゴン2@しんかのきせき トレース
イカサマ かいでんぱ じこさいせい トリックルーム
穏やか191-76-118-125-155-80
244-0-60-0-204-0

努力値配分
・A222(+1)ザシアンの「インファイト」15/16耐え

・C217黒バドのメガネ手助けPFW「ワイドフォース」耐え
・C217(+1)黒バドの手助け「Dワイドフォース」耐え
・C222カイオーガの雨メガネW「しおふき」耐え

・C222カイオーガの雨珠「Dしおふき」12/16耐え
・C222カイオーガの手助け雨雫W「しおふき」10/16耐え
・C152レジエレキの「10まんボルト」+C201イベルタルの珠「Dあくのはどう」急所込み80.86%耐え

黒バド系統やイベル系統に出してしっかり仕事が出来るようにD寄りの配分。
物理方面は最低限ザシアンにワンパンされないことを目標に調整。

Sを58にするか80にするかはギリギリまで悩んでいたが、白バドパルキアに対して選出した際に58だと最遅白バド(S49)と無振り白バド(S70)に挟まれてしまい、相手の個体が判別するまでこちらの最適な立ち回りが分からない点が弱いと感じた。
相手がS49ならトリル切れまで粘るorトリル返しして上から「イカサマ」が正解、S70ならトリル中に「イカサマ」攻めるのが正解(=トリル返しは不正解)、というのは立ち回りがブレるし安定しないので、素早さ関係を明確にしてプランを立てやすくなるS80とした。
A個体値を0にするかはこのポケモンダイマを切るかどうか次第だが、9割がたカイオーガダイマを切る構築のためA0とした。オーガが非ダイマでも強い型の場合はトリル下で「ダイアーク」+「しおふき」とする場合もあるためA31にする選択肢もあるだろう。


カイオーガ@いのちのたま あめふらし
しおふき かみなり ふぶき めいそう
控え目175-**-111-222-160-142
0-0-4-252-0-252

努力値配分
・控え目CS
・追風時最速レジエレキ抜き

とにかく火力最大が強いので控え目。
主にリザードントリトドンに対するダメージ量が変わって来る。
耐久のなさはイエッサンの「このゆびとまれ」やエルフーンの素早さ操作で誤魔化す。

●技構成
・しおふき
最強の水技。素で押す場面もそれなりにあり、命中威力の観点からこの技が最適。
ダイマックスを9割このポケモンに切るため、水技が「しおふき」ワンウェポンで困る展開はそこまでなかった。1年前に似たような構成のカイオーガをキュワオーガで使った経験からもこの選択に迷いはなかった。
ダイマ終了後にHPが削れていた場合も「かみなり」か「ふぶき」を強く使える盤面であることが多い。

・かみなり
相手のカイオーガへの打点。「ダイサンダー」による催眠耐性確保も偉いので必須技。
ダイマ時にも安定した火力・命中のサブウェポンとなる。

・ふぶき
フシギバナトリトドン、晴れ下グラードンへの打点。
ダイマックス前提のポケモンである点や少しでも威力を高めたいため「れいとうビーム」ではなく「ふぶき」とした。
これにより仮想敵をワンパン出来る可能性がグンと上がる。
「ダイアイス」で霰を降らせればダイマ終了後に必中の全体攻撃となる点も優秀。たまに素で撃つ場面もあるが、命中が低くても全体攻撃自体は当たれば勝ち筋に繋がりやすく、強力。

・めいそう
カイオーガ最強の補助技。イエッサンの「このゆびとまれ」とのセットで壁パやトリパを崩す。
「ダイウォール」媒体となるためダイマックス中の立ち回りを柔軟に出来るのも偉い。

●持ち物
ダイマックスエースとして全ての技の威力を増して相手を破壊するいのちのたま。
ダイマで「しおふき」を撃つ場合も火力が頼もしく、W「しおふき」でザシアンをワンパン出来たり、「てだすけ」を重ねることで192-143ポリゴン2を確定1発に出来たりと、リーチが伸びる。
一度使うと他のカイオーガに戻れない。圧倒的火力に病みつきになる。



■イエッサン♀@サイコシード
このゆびとまれ てだすけ しんぴのまもり まもる
のんき177-**-128-115-126-81
252-0-252-0-4-0

努力値配分
・A222(+1)ザシアンの「きょじゅうざん」耐え
・S最遅

ザシアンにワンパンされないよう防御特化。
神秘採用に伴い素早さを上げることを検討したが、主に「あくび」カメックスに上から神秘を撃てるかどうかくらいしか差がなく、トリトドンに対しては最遅でも基本上を取れるため最遅のままとした。
最遅にした最大の理由は全国大会ともなると分かり手がイエッサン対策に遅いゴリランダーを採用している可能性が充分にあり、ゴリラを見ただけで先発イエッサンを投げられないとプランが立てにくいため。

●技構成
このゆびとまれ
味方のエースの行動回数を確保する最高のサポート技。特にカイオーガの「しおふき」やランドロスの「つるぎのまい」との相性が抜群。素早さマウントを取られる可能性がある追風パやトリパに対しても有効で、味方の行動保証に大きく貢献した。
また、サイコフィールド下でも浮いているランドロスは相手のオーロンゲの「トリック」等を被弾してしまうため、特性に加えてこの技があることで完璧にエースを守る役割を遂行出来る。

・てだすけ
エースの攻撃を強化するサポート技。カイオーガのスカーフ「しおふき」に重ねて縛り範囲を拡大したり、ザシアンの「きょじゅうざん」や味方のダイマックス技に重ねることで絶大なアドバンテージを得られる。

・しんぴのまもり
主にモロバレルの「キノコのほうし」対策。この技による勝ち筋をメインとした白バドレックス+パルキアのトリパに対する回答。
またトリトドンの「あくび」に対してもケアが可能。
ダイサンダーが通らない相手にも催眠対策が可能になる点が大きい。

攻撃技0になってしまったが、カイオーガの火力が高過ぎるため実質的にカイオーガの行動回数を増やせれば問題なかった。
以前採用していた「エナジーボール」は初見殺しのネタが割れるとトリトドンに通すのは難しいため、不採用。
唯一黒バドレックスのタスキを割りたいのに触れないのがもどかしく、黒バド入りが重くなった要員の1つかもしれない。

・まもる
イエッサンを大事にしたい場面で撃つ技。対トリパでの時間稼ぎにも有用。

●持ち物
特防を強化してサポート技を押せる回数を増やすサイコシード。
これにより特に対ディアルガ、Wキュレムが劇的に楽になったので採用して正解だった。



ヌケニンきあいのタスキ ふしぎなまもり
ポルターガイスト かげうち サイドチェンジ こらえる
寂しがり1-156-45-**-35-92
0-252-0-0-0-252

努力値配分
・B個体値0+下降補正
・A156「かげうち」でH155-B45メタモン確定
・「ダウンロード」対策

このルールではメタモンの使用率が比較的高く、ヌケニンをコピーされる展開もたまにあるため対策として防御最低値。
相手がスカーフでこちらのタスキが残っていれば一方的に勝てる。

●技構成
ポルターガイスト
威力110のメインウェポン。ゴースト技は一貫しやすく、打点として純粋に非常に強力。この技の習得のお陰でヌケニン自身がかなりの攻撃性能を手に入れたため、ビートダウン展開に組み込みやすくなった。
命中後に相手のアイテムが判明する追加効果により、手に入れた情報アドバンテージを活かして最適な立ち回りを選択出来るのもBo3では特に強い要素。
ただしアイテム消費後の相手には攻撃が失敗する仕様には注意。時折この仕様に困る場面もあったが、忘れて撃ってしまう等のプレミがなければ問題ない範囲。

・かげうち
便利な先制技。素早さに関係なく上を取れるため対追風パ、トリパで役に立った。
ビートダウン展開でも非常に強力で、この技で相手を縛ることで味方の行動保証が得られる場面があるので「サイドチェンジ」よりも安定した試合運びが出来る。

・サイドチェンジ
味方と自分の位置を瞬時に入れ替える超凶悪技。大半の技をスカせるヌケニンがこの技を使うことで上手く行けば絶大なアドバンテージを得られる。
相手の攻撃から味方を守るために撃つ場合、自身に飛んで来る飛行技や炎技を味方に受けてもらって自身の延命を狙う場合、そしてその両方を兼ねる場合が存在するため、用途は多岐に渡る。
ヌケニンの「サイドチェンジ」の真に強い所は一度見せるだけで相手に「安定択」が存在しなくなること。
読み合いの域を超えたじゃんけんになりがちで嫌われることも多いが、「サイドチェンジ」を使うか使わないかの単純な二択だけではなくこちらの選択肢は非常に多いため、50%より有利な勝負が仕掛けられるのが強み。

ヌケニンが場に出ている状況だけで考えても
(1)ヌケニンを退いて裏で有効打を受ける
(2)「こらえる」でダイマターンを枯らして最小限の被害で食い止める
(3)タスキを盾にして「ポルターガイスト」+「かげうち」で対面処理を狙う
等、「サイドチェンジ」を選ばずに展開するパターンも多々存在するため相手側からしてみれば相当厄介だろう。

ヌケニンが場に出ていない場面ではヌケニン交代もケアしなければならないため、試合序盤~ヌケニンが倒れる瞬間までの全てのターンで相手の取れる選択肢の幅を狭めつつ試合の主導権を握り続けられる。
また相手が勝手に「サイドチェンジ」読みで自爆する可能性すらあり、トータルで見てもこちらに分の良い勝負に持ち込める。

・こらえる
ヌケニンを延命したい場合に使う技。「まもる」との大きな差は

(1)「ダイジェット」や「ダイバーン」等のダイマ技に対して「まもる」だと貫通ダメージで倒れるorタスキが潰れてしまうが、「こらえる」だと無償で済む(タスキも残る)
(2)悪ウーラオスの「あんこくきょうだ」に対して延命出来る

という点。特にダイマックス技を実質無力化出来る点が強力で、ダイマックス技が飛び交う中でも3ターン生存出来る確率がグンと上がる。

一方で「まもる」で防げる補助技を食らってしまう点には注意が必要。「ちょうはつ」や「あくび」はまだしも「おにび」や「やどりぎのタネ」は当たると即死するため、これらを持つ相手の前では慎重に行動することが求められる。

●持ち物
あらゆる弱点技持ちの前で1回は行動保証が得られるきあいのタスキ
天候ダメージで倒されるパターンも多いためそれらを無力化出来るぼうじんゴーグルとは選択だが、基本的にはタスキの方が発動機会が多い。
実際に発動するかどうかは別として、安心して動かせる=強気なプレイングが可能になる点も非常に大きい。ヌケニンへの打点を持っているのか微妙な相手(レジエレキやゴリランダー等)の前でもタスキが残っていれば堂々と動けるのは安心感がある。黒バドレックスにもタイマンで勝てるようになるのは嬉しい。



■ザシアン@くちたけん ふとうのけん
きょじゅうざん じゃれつく せいなるつるぎ まもる
意地っ張り189-242-136-**-136-180
172-236-4-0-4-92

努力値配分
・「てだすけ」「きょじゅうざん」で330-91ボルトロス確定
・「てだすけ」「きょじゅうざん」で308-99リザードン確定
・A(0)「せいなるつるぎ」で202-132ガオガエン@オボン確定2発
・「せいなるつるぎ」で176-141(4-4)ディアルガ15/16

・A244(+1)「きょじゅうざん」耐え
・A222(+1)「きょじゅうざん」+「でんこうせっか」耐え
・A222「きょじゅうざん」+A222(-1)「きょじゅうざん」耐え
・A161(-1)ガマゲロゲの珠「Dじだんだ」耐え
・A222グラードンのW「だんがいのつるぎ」12/16耐え

・C222パルキアの「Dだいちのちから」15/16耐え
・C222カイオーガの雨W「しおふき」耐え
・C217黒バドレックスのW「アストラルビット」2発97.3%耐え
・C244Wキュレムの珠「だいちのちから」15/16耐え
・C152レジエレキの珠「D10まんボルト」15/16耐え
・C152フシギバナの晴れ「Dウェザーボール」13/16耐え
・C167フシギバナの珠「Dだいちのちから」耐え

・S最速ボルトロス+1
・S(+1)で晴れ「ようりょくそ」準速フシギバナ抜き

トリックルーム」ポリ2採用により素早さ競争はそこまで気にしなくて良い点、素早さを上げ過ぎると逆に自身のトリル中にデメリットを感じそうな点から遅めの配分のまま使用。
意地っ張りの火力で縛り範囲を増やすことが出来、特にリザードンボルトロスの処理ルートが増えるのは嬉しい。

●技構成
・きょじゅうざん
ダイマックスに対して威力200となる壊れ技。インチキ過ぎる性能のお陰で最悪こちらがダイマックスを上手く使えなくても勝てる。

・じゃれつく
カイオーガと組む上で重くなるパルキアゼクロムを始めとするドラゴン勢に対する貴重な有効打。命中不安なのでなるべく撃たないよう心掛ける。

せいなるつるぎ
カイオーガの苦手なディアルガカミツルギナットレイへの打点。仮想敵の「ダイスチル」を考えると「インファイト」よりも防御無視の「せいなるつるぎ」の方が優先度が高い。
格闘技がないとポリゴン2に「ふしぎなまもり」をトレースされた瞬間負けになるのでこの構築に格闘技は必須。

・まもる
ザシアンを大事にする立ち回りが重要なため採用。トリパや追風に対しても時間を稼げるよう「みがわり」より「まもる」。



■霊獣ランドロス@オボンの実 いかく
だいちのちから そらをとぶ がんせきふうじ くさむすび
うっかりや196-166-123-154-90-116
252-4-100-116-0-36

努力値配分
・「がんせきふうじ」で154-99リザードン1発
・「Dそらをとぶ」で207-117ゴリランダー(A244(+1)きょじゅうざん15/16耐え)1発

・A244(+1)ザシアンの「きょじゅうざん」15/16耐え
・A222(+1)ザシアンの「きょじゅうざん」+「でんこうせっか」確定耐え@オボン
・霰ダメ1回+A222(+1)ザシアンの「きょじゅうざん」耐え
・A222ザシアンの「きょじゅうざん」2発耐え@オボン

・「Dだいちのちから」で202-111ガオガエン1発
・「Dだいちのちから」で168-136ザシアン1発
・「だいちのちから」で202-127ガオガエン@オボン2発
・「だいちのちから」で201-119ガオガエン@シュカ2発
・「くさむすび」で207-111グラードン@オボンほぼ2発
・「くさむすび」で209-118トリトドンに120-144(57.4-68.8%)ダメ
・A242ザシアンの「きょじゅうざん」+「Dくさむすび」で418-125-118トリトドン確定

・S(-1)最速リザードン抜き
・Sリンヤ、カ・エールグラードン+2

先発ダイマオーガから後発で出す詰めのコマとして、非ダイマ性能を重視した配分。
ザシアンにタイマンで勝てるように物理耐久を重視し、ヌケニンでは勝てないガオガエングラードンにも強いという役割で対晴れでの性能を期待。
両刀なので下降補正を掛ける場所は悩んだが、素早さは「おいかぜ」や「ダイジェット」との連携で最低限上を取りたい場面はあるため下げたくなく、泣く泣く特殊耐久を犠牲にした。
仮想敵は主に物理であり、リザードンフシギバナの攻撃を貰う場面は稀なのでそこまで困ることはなかった。
これでもHP振りのお陰である程度は耐えられる。最悪「ダイアース」を上から積めれば特殊とも殴り合える。

●技構成
・だいちのちから
基本的にカイオーガダイマックスを切る方が強いが、晴れパ相手にはランドロスを出したい場合が多い。
メインウェポンが「じしん」のランドロスは非ダイマックス運用をしにくいのが気になったため、味方を巻き込まない特殊地面技を採用。カイオーガに「まもる」がなくても並べて攻撃しやすくなり、ザシアンとの並びでも「まもる」を挟まずに攻撃出来る。
実際EUICの決勝3戦目で珠オーガ+ランドロスがRinyaSunを崩し掛けたものの、最後ランドロスカイオーガvsザシアンの場面で「じしん」を上手く通せずに雨側が負けたのを見て、ザシオーガのランドは特殊が正解だよなぁと確信した。

特殊型の利点として「いかく」や「リフレクター」「おにび」でランドロスの火力を削ぐ立ち回りにも刺さる。

そらをとぶ
ダイマックスする展開を意識して採用。やはり「ダイジェット」は強い技なので構築には採用したく、4振りでもA166という高水準な攻撃からタイプ一致で高火力で撃てるこのポケモンは強い。

・がんせきふうじ
リザードンやホウオウ等の飛行タイプを意識した岩技。「いわなだれ」とは選択だが、非ダイマックス時に素早さ操作を出来る方が強いと考えてこの技を採用。
自身が「ダイジェット」後に上からの「がんせきふうじ」で素早さ操作を行えたり、当てたい方に確実に高打点を叩き込めるのが利点。
対「サイドチェンジ」ヌケニンでは「いわなだれ」の方が強いが、今回はヌケニンに滅法強いポリ2採用なので心置きなく「がんせきふうじ」を採用出来た。

くさむすび
特殊型にしたもう1つの理由は対トリトドンを意識したこの技を強く使えるため。
突然4倍弱点を叩き込むことで相手の想定を崩す初見殺し技にもなる。
ザシオーガはトリトドンが重いため、処理ルートは多いに越したことはない。
グラードンに対して「いかく」を気にせず高威力を出せるのも偉い。

●持ち物
対ザシアンで役に立つ他、グラードン等の物理アタッカー全般への役割を安定させられるオボンの実。
ザシアンの「でんこうせっか」に対する保険にもなる(ダイジェットや追風展開時に「きょじゅうざん」+「でんこうせっか」で縛られない)。
タイマン性能だけでなくクッション性能の向上にも非常に役立ち、晴れパに対して天候合戦を仕掛ける場合はこのポケモンを良く交代で出すため、場持ちの良いこの型は合っていた。


【選出】

①基本選出
先発:カイオーガ+イエッサン♀
後発:ザシアン+ヌケニン

カイオーガの攻撃をイエッサンで全力サポートして相手の頭数をとにかく減らし、裏のザシアンヌケニンで詰める。最悪ヌケニンの「サイドチェンジ」もカイオーガの行動補佐になる。

先発2匹の対応範囲が広く、
・非ダイマで「このゆびとまれ」+「しおふき」でダメージを効率よく稼ぐ
・「このゆびとまれ」でカイオーガを守りつつダイマックス技を通す
・「てだすけ」とダイマックス技を重ねて一気に頭数を減らす
・「このゆびとまれ」+「めいそう」からアドを取る
というように多岐に渡る選択肢から崩して行ける。

純粋に火力が高いカイオーガを最大限活かせる並びとなっていて、相手の頭数をガンガン減らして詰めへのプランを立てやすい。


②ポリ2詰め選出
先発:カイオーガ+イエッサン♀
後発:ザシアン+ポリゴン2

基本選出のヌケニンをポリ2にした形。
ポリ2を倒せるポケモンを優先的に倒してからポリ2で詰める方針にするだけで、やることは一緒。
相手からすると裏に控えてるのがヌケニンかポリ2か分からずどのポケモンを温存すべきかが分かりにくいのがいやらしい。
(裏ヌケニンならザシアンは雑に扱っても良いが、裏ポリ2ならザシアンは捨てない方が良い等)


②vs RinyaSun
先発:カイオーガ+イエッサン♀
後発:ザシアン+ランドロス

●初手オーロンゲ+αの場合
先発オーロンゲ+何か(ガオガエントリトドン、ザシアン等)で来た場合は壁からじっくり殴り合って来るため、「このゆびとまれ」+「めいそう」で壁を実質無効化して行く。
相手のオーロンゲの隣がガオガエントリトドン等の低負担なポケモンの場合は2回以上「めいそう」を積む隙を作れる。
「あくび」トリトドンに対しては「しんぴのまもり」を事前に使うことで完全に起点に出来るのが強い。
能力を上げたらダイマから相手の頭数を減らし、後発のランドロスで詰める展開を狙う。
純粋に「めいそう」で強化したカイオーガを「いかく」でカバーするのが強い。


●初手グラードンリザードンの場合
ロンゲ不在で高圧的な初手が来た場合はこちらも積まずにすぐダイマックスを切って応戦する。
グラードンリザードンに対しては初手で対面すると天候が晴れになる上トリトドンの存在を考えると「ダイストリーム」は押せず苦労するが、実は珠「ダイサンダー」でダイマリザをワンパン可能なので天候や隣の交代に依らず迅速処理が可能。
リザを処理した後はイエッサンの「このゆびとまれ」やランドロスの「いかく」を活用してダイマオーガの行動回数を稼ぎつつ崩して行く。
先に頭数を2匹に減らすことに成功すれば、天候を取れずとも「いかく」ランドロスで詰めていける。
ダイマのないトリトドンであればランドロスの「くさむすび」による大幅な削りが可能なので、伝説のどちらかの攻撃と併せて行動させずに処理が可能。
事前に「ダイサンダー」をしておくことで「あくび」に怯えずに済むのも素晴らしい。



③vs白バドパルキア他 トリル系
先発:カイオーガ+イエッサン♀
後発:ザシアン+ポリゴン2

初手「しんぴのまもり」+「めいそう」から入る。
相手のモロバレルパルキアは大体の場合は初手「キノコのほうし」+「トリックルーム」なので無償で積める場合が多い。
ガオガエンパルキアスタートの場合は裏のモロバレルに交代or「すてゼリフ」+「トリックルーム」なので、これまた「しんぴのまもり」を先撃ちしておく。
その後カイオーガ+イエッサンで盤面を釘付けにしてエースの降臨を遅らせつつターンを稼ぐ。「めいそう」を2回以上狙っても良い。「ふぶき」で雑に相手を削りに行き、白バドが来たらダイマックスで殴り合う。イエッサンが倒されてもヌケニンを出せば確実にトリルターンを凌ぎ切れるため、トリルが切れたらザシアンで詰める。


④vs黒バドザシアン
先発:カイオーガ+イエッサン
後発:ザシアン+ポリゴン2

この指+ダイストから死に出しポリ2でトリルを狙ってカイオーガの行動回数稼いでも良いし、指+潮吹きでも可。とにかくオーガの攻撃を通して頭数を減らし、ポリ2のサポートを通しやすくする。


⑤W詰ませ
先発:カイオーガ+ポリゴン2
後発:ザシアン+ヌケニン

鬼のポリ2ヌケニン両方選出。オーガザシで殴ってどっちかで詰めるプランを臨機応変に取る。
この2匹が横に並んだ場合もかなり強く、最悪ヌケニンの「サイドチェンジ」で格闘技をスカして無理やりポリ2で詰めたり、ヌケニンを倒せるポケモンを「こらえる」+「トリックルーム」から集中で倒したり出来る。


【雑感】

・壁ロンゲと6戦やって3回も当たり瞑想オーガがガン刺さり
・瞑想オーガミラーが3回も発生して驚き
・この時の正解に近い型に辿り着けていたと思えた
・有利マッチの白バドパルキアは引けず、イエッサンの神秘は出番なし
グラードンとも当たらずランドロスも出番なし
・ポリ2採用は大正解で、4勝中2勝は完全にコイツのお陰
・Bo3には到達しなかったものの、パーティ選択や配分には後悔がなく、良い調整が出来た



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今回の記事は以上となります。最後までお読み下さりありがとうございました。
これで半年以上取り組んだWCS2022ルールにおけるヌケザシオーガの構築記事は全て書き切りました!(本当はボツ案も他にあるけど、そちらは気が向いたらまた)
もうすぐSV発売ですね。新作も楽しみにしつつ、剣盾のラストを噛み締めたいと思います。