【WCS2022】すいすいヌケザシオーガMar.【INC Mar.最終15位&32位】
こんばんは、ユウキです。
3/11~14に開催されたINC Marchにて、私とアカバさん(@akiakaba)が上位の成績をおさめてPJCS2022出場権を獲得した構築を紹介します。
レンタルチームも公開中なので、本記事を参考に是非使ってみて下さい!
★目次
【パーティ】
【戦績】
●INC Mar.(ユウキ)
勝敗:31勝3敗
勝率:91.2%
レート:最高/最終1885
順位:最終15位/304858名
●INC Mar.(アカバ)
勝敗:33勝5敗
勝率:86.8%
レート:最高/最終1877
順位:最終32位/304858名
(海外勢、権利持ちの繰り上げで全国権利獲得)
2人で同じ構築を使用し、同時に予選抜けを達成。
ランクマでも瞬間1位や2人同時1桁を取る等、安定していた。
パーティの完成度には自信があったが、それを証明する最高の結果が得られた。
【コンセプト】
①ザシオーガに強いザシオーガ
②上からの高火力押し付け
③ヌケニンを最大限に活かす
①ザシオーガに強いザシオーガ
INCで勝ち切るためには、現環境のトップメタであるザシアン・カイオーガに強い構築を組むことが必須であると考えた。
事前にランクマやINC Feb.で得たデータから試算した結果、最低でもどちらかが採用されたパーティとマッチングする確率は8~9割近くなると予想された。
この2匹に強い構築を組めれば有利マッチが増え勝率を稼げるようになるため、「ザシオーガガンメタ構築」を第1コンセプトとした。
パワーの高いザシオーガを自身が使いつつも、相手のザシオーガに滅法強いヌケニンを採用することでミラーで差をつけることを狙う。
②上からの高火力押し付け
前回のINC Feb.で予選を抜けた人の勝率を調査した結果、最低でも82%以上の勝率が求められることが分かった。
不特定多数相手に高い勝率を維持するためには事故率の低さがマストとなるため、以下のような要素が欲しい。
・攻撃の被弾回数をなるべく抑える
・命中不安技を多用しない
→上から命中安定の範囲技を含めた高火力を押し付ける
これを実現するのがスカーフカイオーガ+キングドラの組み合わせ。
S300からのダイマックス技とS234からの命中安定・高火力範囲技「しおふき」を初手から撃てるため、遅い相手に行動させる余地を与えず安定して勝ちを重ねられる。
③ヌケニンを最大限に活かす
ヌケニンを構築の軸として、大きく3通りの勝ちパターンを用意した。
(A)ヌケニン仁王立ちエンド
(B)ヌケニン囮ビートダウン
(C)選出誘導
(A)ヌケニン仁王立ちエンド
ヌケニンに打点がありそうなポケモンから優先的に倒してしまえば相手がヌケニンを倒せなくなるため勝ち、という最もスタンダードなプラン。
ザシアンやカイオーガを始めとしてヌケニンに一切打点がないポケモンは案外多く、それらを簡単に詰ませられるのが強み。
ただし気を付けたいのが相手がヌケニンを倒せないがこちらも相手を崩し切るのに時間が掛かる場合。残数不利を取った場合・同数の場合はTODで負けになるため、ヌケニンで倒すのに手間取るポケモンも優先して倒し切って残数有利を取れるようにする。
(B)ヌケニン囮ビートダウン
ヌケニンへの打点がなくなることを恐れた相手の立ち回りを逆手にとってアドバンテージを重ねて勝ちを狙うプラン。
(A)を狙いながらも途中で(B)に切り替えて行く等、同じ選出でも柔軟に立ち回って行けるのが本構築の強みの1つ。
最終的にヌケニンが倒れようともこちらがそれ以上のリターンを得られていれば問題ないという考えで、ヌケニンをある程度雑に扱って行く。
相手がヌケニンを倒すために「ダイジェット」や「ダイアイス」を撃つ(大体がタイプ不一致だったり隣が氷半減だったりで大ダメージにはならない)のを気にせず、タスキを盾に「ポルターガイスト」や「かげうち」で攻撃に専念することで、ダメージレースで有利を取ることが出来る。
(C)選出誘導
ヌケニンをパーティに入れている強みとして、相手の選出が読みやすくなる点が挙げられる。
基本的にヌケニンに打点があるかどうかは見せ合いの段階である程度分かるが、極端に打点持ちが少ないパーティの場合(2匹ぐらいしかいない場合)はすぐにそれらは出されることが予想出来る。
こちらはそのポケモン達を処理するルートが想像出来れば(A)の勝ち筋を狙った出し方をすれば良いし、逆に打点持ちを出させた上でヌケニンを出さない選出の方が強そうであれば出さない場合もある。
いずれにしても選出段階から有利なゲームとなる。
【構築経緯】
①INC Feb.までの取り組み
環境トップのザシオーガに強いヌケニンを軸に構築を組み始め、ランクマ等での試運転を経て最終的に下記6匹でINC Feb.に挑んだ。
●参考
yuki-rotom.hatenablog.com
本構築の原型である上記構築の詳しい構築経緯、課題点について記した記事。可能なら先にこちらに目を通して頂くとより分かりやすい。
②INC Feb.以降の取り組み タッグ復活
INC Feb.では結果としてあと1勝で予選抜けというチャンスを2回逃してしまい敗退したが、構築には確かな手応えを感じていた。
大会終了後、アカバさんに「今回は惜しくも予選抜け逃したけど、絶対強いので3月一緒にこの構築使いましょう!」と持ち掛けた(2月はアカバさんは不参加)。
彼とはこれまでも何度か一緒に構築を作って来たが、彼自身がヌケニン愛好家というのもあってすぐ気に入ってくれるだろうと思った。
実際、詳しい選出や立ち回りの説明は抜きで構築を渡した数日後にはランクマ瞬間1位を取るくらいすんなり使いこなしてくれたので、驚きつつも構築の強さに疑いの余地がないことが分かり安心した。
以降は3月での予選抜けを目指して、2人で構築の改良に取り組んで行った。
③課題点
INC Feb.の負け試合を分析した結果、浮き彫りとなったのが以下の課題。
(1)「いたずらごころ」対策が甘い
(2)晴れパが重い
(3)ディアルガ、Wキュレムが重い
基本選出「カイオーガ/キングドラ/ヌケニン/ザシアン」を崩さずにこれらの改善を図るべく、残り2枠の補完枠を最初から検討し直した。
④イエッサン♀の採用
まず第一に採用を決めたのはイエッサン♀。
特性「サイコメイカー」により相手の「いたずらごころ」の補助技全般を無効化出来る。
この特性だけならカプ・テテフも候補になるが、「このゆびとまれ」や「てだすけ」により汎用性のあるサポート能力を発揮出来る点を買ってイエッサンとした。
持ち物にサイコシードを選択することでディアルガやWキュレムに対しても行動回数を稼ぐことが出来る上、「このゆびとまれ」も併せることで「おいかぜ」等で上を取られたとしても味方アタッカーの攻撃を通せるようになるため、オーロンゲやエルフーンがセットでいても安心して戦える。
これにより課題点(1)(3)のある程度の解決が可能となった。
⑤霊獣ランドロスの採用
晴れパが重く、特にグラードンの地面技が一貫している点を改善したい。
流行し始めたリンヤさん、カ・エールさんの並びに勝てるようにすることを想定して検討を重ねた。
●仮想敵
ザシアン/グラードン/リザードン/ガオガエン/トリトドン/オーロンゲ
ザシアン/グラードン/リザードン/ガオガエン/レジエレキ/ポリゴン2
●欲しい要素
・地面の一貫切り(グラードンに強い)
・リザードンに打点がある
・ザシアン、ガオガエンに打点がある
・トリトドンに打点がある
・レジエレキの「エレキネット」に屈しない
イエッサンは文句なしですんなり決まった一方で、この枠は色々と迷走した。
沢山の没案を経て、最終的にはこれらの条件を満たしつつ汎用性の高い霊獣ランドロスに落ち着いた。
ディアルガ入りに対しても取り巻き次第ではあるが勝ち筋になれる可能性があるのも嬉しいポイント。
これで課題点(2)と(3)の対ディアルガが緩和出来た。
⑥キングドラの型変更
「リフレクター」「ひかりのかべ」まで考えると、オーロンゲの対策がイエッサン♀だけでは不十分と感じていた。
そこでキングドラを特殊型から物理型へ変更した。
通常カイオーガ+キングドラの並びは両方特殊なので、初手でオーロンゲが対面した場合は「ひかりのかべ」から入ることがほとんどである。
そこに物理「ダイストリーム」を打ち込むことで片方しか壁を貼らせずに展開出来るのが非常に強い。
これで課題点(1)の対策が更に万全となり、構築が完成した。
完成後はランクマで調整を重ねた後、特に大会直前の1週間は流行している並びのレンタルチームを使って2人でスパーリングを沢山した。
増えそうな並びや苦手意識のある伝説との選出・立ち回りを固めて行き、細部を調整して完成度を高めた上で本番に臨んだ。
それでは以下に詳しい個別解説を行う。
【個別解説】
■カイオーガ@こだわりスカーフ あめふらし
しおふき こんげんのはどう かみなり れいとうビーム
臆病175-**-111-202-160-156
0-0-4-252-0-252
●努力値配分
・スカーフで最速ザシアン、黒バド等を抜くため臆病
●技構成
・しおふき
最強の全体技。この技をいかに上から通すかが、カイオーガを使えるルールにおける共通テーマ。本構築ではキングドラやランドロスの「ダイジェット」に乗せて上から放つ場面が多い。
・こんげんのはどう
HPが削れた際の水技として。命中不安なのでなるべく撃たないで済む立ち回りを心掛けた。
・かみなり
カイオーガミラーやカメックスへの打点。「ダイサンダー」が撃てるとモロバレル入りが楽になる。
ヌケニンを採用しているとは言え相手のオーガに一方的に不利を取る型は弱いため、電気技は切れない。
・れいとうビーム
草タイプ、ドラゴンタイプへの打点。トリトドンに対して削りが出来たり、グラードン+トリトドンに一貫する点も偉い。
●持ち物
以前はしんぴのしずくだったが、こだわりスカーフへ変更。
最大の理由は初手のタスキエレキ。初手オーガグドラがタスキエレキと対面した場合、グドラは上を取れるがタスキで耐えられると何かしらの仕事をされてしまう。「ダイジェット」や「こごえるかぜ」をしてもカイオーガが1加速ではレジエレキを抜けないため、「エレキネット」や「10まんボルト」を通されて厄介だった。
そこでスカーフを持たせることで「ダイジェット」or「こごえるかぜ」でエレキの上から「しおふき」を選択出来、何もさせずに落とせるようになった。
他にも対追風パで相手の「おいかぜ」(素早さ2倍)よりも「ダイジェット」+スカーフの補正(実質2.25倍)が上回るため相手の上を取れるメリットがあったり、キングドラがいなくとも単体性能が高まるのが強かった。
特にイエッサン+スカーフオーガの組み合わせも強力で、「てだすけ」を絡めて上から高威力の全体技を押し付ける動きでダメージレースを優位に進められた。
技固定のデメリットに関しても、裏に最強のクッションであるヌケニンがいることでローリスクで技を選び直すための交代を行いやすく、通常のパーティよりかなり使い勝手が良く感じた。
■キングドラ@いのちのたま すいすい
たきのぼり げきりん とびはねる こごえるかぜ
陽気151-147-115-103-115-150
4-252-0-0-0-252
●努力値配分
・S(+1)で最速ザシアン、黒バド等を抜くため陽気
主に壁対策のため物理型とした。「ひかりのかべ」無効の他にも多々メリットがある。
・カイオーガに大ダメージを出せる
・とつげきチョッキ持ちを強襲出来る
・「バークアウト」が一貫しない
・「ダイアース」の影響を受けない(オーガグドラは「ダイスチル」半減で撃たれにくいのも強い)
・メインウェポンの命中安定(非ダイマ、ダイマ終了後に安定した打点がある)
●技構成
・たきのぼり
物理水技の候補としては威力が5高い「アクアブレイク」があるものの、非ダイマで水技を撃つ場合のリターンを考えると「たきのぼり」の怯み効果の方が「アクアブレイク」のBダウンより嬉しい場面が多いだろうと考えてこちらを選択。主に「このゆびとまれ」のない「トリックルーム」を止めることが出来れば一気に勝ちが近付く点を評価した。
・げきりん
ドラゴンタイプへの打点。ダイマせずに気軽に放てた「りゅうせいぐん」とは異なり対象がランダムな上に行動固定のデメリットが痛いので素で撃つことはほぼない。
ダイマ時にカイオーガ等に撃つことが多く、チョッキの有無に関係なく特殊ベースよりも大ダメージを与えられるため、物理ベースの旨味を存分に感じられた。地味に「ダイドラグーン」の攻撃ダウンの追加効果も便利だった。
・とびはねる
「ダイジェット」の媒体。S300から味方のカイオーガやザシアンを加速させる動きがとにかく強い。純粋に草タイプへの打点としても優秀で、技範囲の拡大に貢献している。
非ダイマ時は特殊型の「ぼうふう」と比べると非常に使いにくい技となってしまうが、対トリパの時間稼ぎが出来るメリットがある。
対トリパで隣に「このゆびとまれ」や「いかりのこな」要員がいて「たきのぼり」で怯みが狙えない場合に先制で「とびはねる」を使うと、「トリックルーム」が決まった2ターン目は一番最後に落下して来るため実質2ターンの間相手の攻撃対象にならない。2ターン目にヌケニンを交代で出して「サイドチェンジ」を絡めて再度「とびはねる」を使うことで、ヌケニンとキングドラの2匹だけでトリルを凌ぎ切ることもあったため、案外便利だった。
また、ヌケニンを「ダイアイス」の霰ダメージや「キョダイベンタツ」の定数ダメージで処理する動きに対しても「サイドチェンジ」の択ゲーを回避して先制「とびはねる」でダイマックス技を失敗させることで定数ダメージを発生させない立ち回りが狙えるのも強み。
・こごえるかぜ
主に「ダイジェット」の代替技として非ダイマ時に撃つ。
特殊型の頃からこの技が非常に強くて使用感が良かったため、物理型にした後も続投した。
キングドラが初手で狙われなさそうな場合にダイマターンを節約しつつ素早さ操作をしたり、ダイマ終了後も腐らずに上からの素早さ操作が出来る点が優秀。
特に試合序盤に「ダイジェット」を積んでおけば雨が切れた終盤にも上から「こごえるかぜ」→味方ザシアンで相手の上を取るという展開が狙えるため、終始素早さ優位を取ることが出来た。
ちなみにこの枠は「ダイウォール」媒体となる補助技もいくつか検討した。
「りゅうのまい」はリターンは大きい反面狙える場面が多くない(イエッサンと並べれば狙えなくはないが、あまりに露骨な上にその出し方が相手にカイオーガがいないと微妙)ため没となった。
次に「にらみつける」も試したが、机上論ではかなり強そうだった(自身だけでなく基本選出のザシアン、ヌケニンの火力補助にもなる)一方で試運転しても有効に使える場面があまりなく、こちらも残念ながら没となった。
特に「せいなるつるぎ」が防御ダウンも無視してしまう仕様なのが痛く、もしこの仕様でなければHBナットレイ等のワンパンを狙えたのでもっと強かったと思う。
●持ち物
火力が心許ないので満遍なく強化できるいのちのたま。
これでも伝説に対しては水技以外は火力不足を感じるが、一般枠を圧倒するには充分。
■ヌケニン@きあいのタスキ ふしぎなまもり
ポルターガイスト かげうち サイドチェンジ こらえる
寂しがり1-156-45-**-35-92
0-252-0-0-0-252
●努力値配分
・B個体値0+下降補正
・A156「かげうち」でH155-B45メタモン確定
このルールではメタモンの使用率が比較的高く、ヌケニンをコピーされる展開もたまにあるため対策として防御最低値。
相手がスカーフでこちらのタスキが残っていれば一方的に勝てる。
●技構成
・ポルターガイスト
威力110のメインウェポン。ゴースト技は一貫しやすく、打点として純粋に非常に強力。この技の習得のお陰でヌケニン自身がかなりの攻撃性能を手に入れたため、ビートダウン展開に組み込みやすくなった。
命中後に相手のアイテムが判明する追加効果により、手に入れた情報アドバンテージを活かして最適な立ち回りを選択出来るのが強かった(とつげきチョッキが判明した方に次ターン集中のリスクがなくなったり、「しおふき」で固定したスカーフカイオーガのHPを削った後に放置する選択肢を取れたり)。
ただしアイテム消費後の相手には攻撃が失敗する仕様には注意。時折この仕様に困る場面もあったが、忘れて撃ってしまう等のプレミがなければ問題ない範囲。
・かげうち
便利な先制技。素早さに関係なく上を取れるため対追風パ、トリパで役に立った。
ビートダウン展開でも非常に強力で、この技で相手を縛ることで味方の行動保証が得られる場面があるので「サイドチェンジ」よりも安定した試合運びが出来る。
・サイドチェンジ
味方と自分の位置を瞬時に入れ替える超凶悪技。大半の技をスカせるヌケニンがこの技を使うことで上手く行けば絶大なアドバンテージを得られる。
相手の攻撃から味方を守るために撃つ場合、自身に飛んで来る飛行技や炎技を味方に受けてもらって自身の延命を狙う場合、そしてその両方を兼ねる場合が存在するため、用途は多岐に渡る。
ヌケニンの「サイドチェンジ」の真に強い所は一度見せるだけで相手に「安定択」が存在しなくなること。
読み合いの域を超えたじゃんけんになりがちで嫌われることも多いが、「サイドチェンジ」を使うか使わないかの単純な二択だけではなくこちらの選択肢は非常に多いため、50%より有利な勝負が仕掛けられるのが強み。
ヌケニンが場に出ている状況だけで考えても
(1)ヌケニンを退いて裏で有効打を受ける
(2)「こらえる」でダイマターンを枯らして最小限の被害で食い止める
(3)タスキを盾にして「ポルターガイスト」+「かげうち」で対面処理を狙う
等、「サイドチェンジ」を選ばずに展開するパターンも多々存在するため相手側からしてみれば相当厄介だろう。
ヌケニンが場に出ていない場面ではヌケニン交代もケアしなければならないため、試合序盤~ヌケニンが倒れる瞬間までの全てのターンで相手の取れる選択肢の幅を狭めつつ試合の主導権を握り続けられる。
また相手が勝手に「サイドチェンジ」読みで自爆する可能性すらあり、トータルで見てもこちらに分の良い勝負に持ち込める。
・こらえる
ヌケニンを延命したい場合に使う技。「まもる」との大きな差は
(1)「ダイジェット」や「ダイバーン」等のダイマ技に対して「まもる」だと貫通ダメージで倒れるorタスキが潰れてしまうが、「こらえる」だと無償で済む(タスキも残る)
(2)悪ウーラオスの「あんこくきょうだ」に対して延命出来る
という点。特にダイマックス技を実質無力化出来る点が強力で、ダイマックス技が飛び交う中でも3ターン生存出来る確率がグンと上がる。
一方で「まもる」で防げる補助技を食らってしまう点には注意が必要。「ちょうはつ」や「あくび」はまだしも「おにび」や「やどりぎのタネ」は当たると即死するため、これらを持つ相手の前では慎重に行動することが求められる。
●持ち物
あらゆる弱点技持ちの前で1回は行動保証が得られるきあいのタスキ。
天候ダメージで倒されるパターンも多いためそれらを無力化出来るぼうじんゴーグルとは選択だが、基本的にはタスキの方が発動機会が多い。
実際に発動するかどうかは別として、安心して動かせる=強気なプレイングが可能になる点も非常に大きい。ヌケニンへの打点を持っているのか微妙な相手(レジエレキやゴリランダー等)の前でもタスキが残っていれば堂々と動けるのは安心感がある。黒バドレックスにもタイマンで勝てるようになるのは嬉しい。
■ザシアン@くちたけん ふとうのけん
きょじゅうざん じゃれつく せいなるつるぎ まもる
陽気189-216-137-**-136-201
172-204-12-0-4-116
・「せいなるつるぎ」で145-152(84-4)カミツルギ確定
・A244(+1)「きょじゅうざん」耐え
・A222(+1)「きょじゅうざん」+「でんこうせっか」耐え
・A222「きょじゅうざん」+A222(-1)「きょじゅうざん」耐え
・A161(-1)ガマゲロゲの珠「Dじだんだ」耐え
・A222グラードンのW「だんがいのつるぎ」14/16耐え
・C222パルキアの「Dだいちのちから」15/16耐え
・C222カイオーガの雨W「しおふき」耐え
・C217黒バドレックスのW「アストラルビット」2発97.3%耐え
・C244Wキュレムの珠「だいちのちから」15/16耐え
・C152レジエレキの珠「D10まんボルト」15/16耐え
・S意地準速ザシアン抜き
・S(+1)で最速雨キングドラ抜き
以前はボルトロスとセットにしていたので「ダイナックル」+「きょじゅうざん」を初手で狙えるように素早さを敢えて下げていたが、その調整の最たる理由のギガスドガスと全然当たらず、むしろ相手のダイマボルトロスの上を取れずに不利になる試合の方が多かったため配分を変更した。
耐久ラインは前回使ったものが気に入っていたのでそれをベースにした。ザシアンは一発で倒されずになるべく場に残ることが大事。
素早さを思い切って陽気にしたのはミラー意識。当初はヌケニンがいるのでザシアンミラーは捨てていいや、という考え方だったが、実際は何度もザシアン同士の素早さ関係で不利を取っているせいで仕掛けたくない「サイドチェンジ」に頼る羽目になる場面があった。
ヌケニンザシアンvsガエンザシアンのように相手のザシアンの隣がヌケニンに打点がある場合、そのポケモンを処理しに行く必要があるが、そこで相手のザシアンにこちらのザシアンが縛られていると「サイドチェンジ」を成功させるしかなくなり読まれると負けとなる。こちらが抜いていればそういう場面を減らせるため、環境に多い(64%程)意地っ張りザシアンの上を取れる陽気とした。
勿論陽気最速も一定数いるが、火力を削り過ぎても弱いため今回は素早さはある程度で妥協した。
●技構成
・きょじゅうざん
ダイマックスに対して威力200となる壊れ技。インチキ過ぎる性能のお陰で最悪こちらがダイマックスを上手く使えなくても勝てる。
・じゃれつく
カイオーガと組む上で重くなるパルキア、ゼクロムを始めとするドラゴン勢に対する貴重な有効打。命中不安なのでなるべく撃たないよう心掛ける。
・せいなるつるぎ
カイオーガの苦手なディアルガ、カミツルギ、ナットレイへの打点。仮想敵の「ダイスチル」を考えると「インファイト」よりも防御無視の「せいなるつるぎ」の方が優先度が高い。
格闘技がないとポリゴン2に「ふしぎなまもり」をトレースされた瞬間負けになるのでこの構築に格闘技は必須。
・まもる
ザシアンを大事にする立ち回りが重要なため採用。トリパや追風に対しても時間を稼げるよう「みがわり」より「まもる」。
■イエッサン♀@サイコシード サイコメイカー
このゆびとまれ てだすけ エナジーボール まもる
のんき177-**-128-115-126-81
252-0-252-0-4-0
●努力値配分
・A222(+1)ザシアンの「きょじゅうざん」耐え
・S最遅
ザシアンにワンパンされないよう防御特化。
ゴリランダー入りにも初手で出せるように最遅。
基本的に攻撃技は押さず、それ以外の技は全て優先度が+1以上なので素早さの値は遅くても気にならない。
唯一の仮想敵であるトリトドンに対しては最遅でも上を取れるため問題ない。
また、対トリパでは最遅のお陰で先制して相手を殴れると得する場面もあるかもしれないと考えた。
●技構成
・このゆびとまれ
味方のエースの行動回数を確保する最高のサポート技。特にカイオーガの「しおふき」やランドロスの「つるぎのまい」との相性が抜群。素早さマウントを取られる可能性がある追風パやトリパに対しても有効で、味方の行動保証に大きく貢献した。
また、サイコフィールド下でも浮いているランドロスは相手のオーロンゲの「トリック」等を被弾してしまうため、特性に加えてこの技があることで完璧にエースを守る役割を遂行出来る。
・てだすけ
エースの攻撃を強化するサポート技。カイオーガのスカーフ「しおふき」に重ねて縛り範囲を拡大したり、ザシアンの「きょじゅうざん」や味方のダイマックス技に重ねることで絶大なアドバンテージを得られる。
・エナジーボール
パーティ単位で苦しめなトリトドンへのピンポイント対策。カイオーガやランドロスの隣に置くことが多く、初見であれば誘い殺しが出来る。
前述の通り攻撃技はほとんど押さないポケモンなので、汎用性を多少落としても運用に支障がない。
エスパー技でないお陰で稀にタスキオーロンゲ等を触れるのが偉い場面もある。
・まもる
イエッサンを大事にしたい場面で撃つ技。対トリパでの時間稼ぎにも有用。
●持ち物
特防を強化してサポート技を押せる回数を増やすサイコシード。
これにより特に対ディアルガ、Wキュレムが劇的に楽になったので採用して正解だった。
●特性
採用理由でもある「サイコメイカー」。これのお陰でオーロンゲ等に運負けすることが減り、前回のINCより高い勝率を出せたことが予選抜けに繋がった。間違いなく勝利の女神。
「いたずらごころ」対策としてだけでなく先制技や「ねこだまし」無効でビートダウン展開が更に補強されるのも嬉しい。
ただし自身のヌケニンの「かげうち」が通らなくなる点にだけは注意が必要。
■霊獣ランドロス@しろいハーブ いかく
じしん そらをとぶ いわなだれ つるぎのまい
陽気165-197-110-**-100-157
4-252-0-0-0-252
●努力値配分
・S(+1)で最速ザシアン、黒バド等を抜くため陽気
・S最速90族抜き
伝説戦において最速90族を抜けるというメリットは大きいため最速。
晴れパを崩す際に攻撃力も重要と考えてAS振り切り。
耐久がもっと欲しい場面もなくはないが、イエッサンのサポートと「いかく」でどうにかしていた。
●技構成
・じしん
メインウェポン。特に対晴れパではザシアン、ガオガエン、レジエレキの弱点を突ける上に通りが良いのが偉い。
素では若干撃ちづらいが、ヌケニンは巻き込んでも問題ない。
「ダイアース」で特殊耐久を上げるのがシンプルに強力。ディアルガに対しても有効なため、取り巻きによってはこのポケモンを通しに行く。
・そらをとぶ
メインウェポン。キングドラ同様「ダイジェット」をカイオーガやザシアンに乗せる動きが強力。
キングドラと異なりタイプ一致で火力が高い上、攻撃範囲としても地面半減の草タイプに抜群を取れるため相性が良い。
キングドラの「とびはねる」同様、素で撃った際に1ターン無敵になれるのも便利。
・いわなだれ
地面無効の飛行タイプに抜群を取れるサブウェポン。イベルタルやホウオウ等に撃つ。
「ダイロック」で砂嵐状態になると味方ヌケニンが天候ダメージで倒れるため、同時選出した際は立ち回りに注意が必要。
相手にヌケニンがいた場合は「サイドチェンジ」に屈さずに相手を削れるこの技が有効となる。
積極的には狙わないが、ガチトリパに対して「このゆびとまれ」や「いかりのこな」持ちがいても怯み狙いが出来る側面もある。
・つるぎのまい
決定力を向上させるために採用。基本的にイエッサンの「このゆびとまれ」サポートを受けて積む。
特にオーロンゲの壁や「いかく」を回してくる相手に刺さる。
晴れパと戦う際はトリトドンと殴り合うことも想定しているため、ゴリ押せるように火力を上げる手段は持っておきたい。
●持ち物
ガオガエン、ランドロスの「いかく」で腐らないようにしろいハーブ。
これにより一般的な晴れパに対して初手出しから裏目なくペースを握って行ける。
INC Mar.でザシアン/グラードン/リザードン/ガオガエン/トリトドン/オーロンゲを使っていたアルカナさんのブログに「キツいポケモン:しろいハーブランドロス」と書いてあり、晴れパ対策の選択としては限りなく正解に近いことを確認出来て安心した。
また、当初の狙い以外にも「いやなおと」「こわいかお」「がんせきふうじ」「こごえるかぜ」「ダイアタック」「ダイアーク」等の能力ダウンで発動する場面があり、何かと役立ってくれた。
【選出】
①基本選出
先発:カイオーガ+キングドラ
後発:ヌケニン+ザシアン
パワーが高い最強の基本選出。この選出を5秒で出来た時点で負ける気がしない。
相手にザシアン、カイオーガの最低片方がいてグラードンがいない場合はほとんどこの選出で有利を取れる。
特に今回のINCにおけるvsザシオーガの勝率は驚異の100%で、ミラーでは無類の強さを発揮してくれた。
ヌケニンだけでなく物理キングドラも相手のカイオーガに強いコマになれるのがポイント。
上からダイマックス技と「しおふき」を押し付けてダメージレースで有利を取り、ヌケニンへの打点持ちを優先処理して詰ませるか、相手がヌケニンに構っている隙にタスキを盾に「ポルターガイスト」+「かげうち」のリーチの長さを活かしてビートダウン展開を狙う。
後発ヌケニン自体があらゆる不利対面の退き先となれる他、「サイドチェンジ」でエースを守る盾の役目を担ったり、単体で詰ませを狙えたりと非常に便利。総じて対応範囲が広い基本選出となっている。
②vsいたずらごころ
先発:カイオーガ+イエッサン♀
後発:ヌケニンorキングドラ+ザシアン
「いたずらごころ」+「でんじは」「こわいかお」「トリック」等が厄介なオーロンゲを始め、面倒な化身ボルトロス、レパルダス、ヤミラミ、ニャオニクス♂等の妨害を全てシャットアウト出来るイエッサン♀を絡めた選出。
イエッサン採用によりこれらの運要素や素早さ操作に頭を悩ませる必要がなくなり、ストレスフリーな状態で試合が出来た。
・スカーフオーガが「ねこだまし」を受けない
・「このゆびとまれ」で攻撃を吸い寄せて「しおふき」を複数回通せる
・「てだすけ」で縛り範囲拡大
というメリットもあるため、いたずらごころ対策抜きにしても単純に強い並びとなる。
役割対象を選出されていなくても腐りにくく、またイエッサンが倒れた後でもフィールドが残っていれば「でんじは」等を気にせず立ち回れるのも良かった。
裏からヌケニンザシアンを出す場合はカイオーガにダイマを切ることになるが、スカーフ「しおふき」とどちらが強いかの判断が難しく、ダイマするタイミング等に気を遣う。ヌケニンのせいで「ダイアイス」を撃ちにくい点も注意が必要。
キングドラを出しているパターンでは雑に「しおふき」で削った後にキングドラで掃除しながらカイオーガ、ザシアンで立て続けに攻めて行く展開が強かった。
ヌケニンが不要な場合、カイオーガ+キングドラを初手に置いて相手の初手がオーロンゲ等の場合のみ裏からイエッサンを投げて「でんじは」「トリック」をケアする立ち回りも有効。
③vs晴れ(トドン入り)
先発:ランドロス+イエッサン♀
後発:カイオーガ+ザシアン
晴れパ相手にはランドロスが刺さるので、「このゆびとまれ」+「つるぎのまい」から崩して行く。
トリトドンに対しては先に「つるぎのまい」や「ダイアース」を積めれば充分戦える。初手で出て来ても「エナジーボール」を不意に決めることが出来れば裏のカイオーガを通しやすくなる。
ガオガエンが来てもしろいハーブで火力を維持出来るため、ランドロスのダイマックスで数的有利を取りに行きやすい。先に数的有利を取って天候を雨に固定出来ると楽。
④vs晴れ(トドンなし)
先発:ランドロス+キングドラ
後発:カイオーガ+ザシアン
トリトドン不在の晴れパーティは、先発キングドラ+後発カイオーガから交代雨「ダイストリーム」でテンポを取れる場合があるため、積極的にキングドラを出して行く。
ランドロスかキングドラのどちらをダイマックスするべきかは臨機応変に判断して立ち回る必要があるが、非ダイマキングドラの「こごえるかぜ」連打もサポートとして優秀なのがポイント。
⑤vs白バドパルキア(他トリパ系統全般)
先発:カイオーガ+キングドラ
後発:ヌケニン+ザシアン
前回のINC後に急増した並び。質問が多かったので選出・立ち回りの一例を載せておく。
基本的にガチトリパ相手は鉄則として
(1)初手はトリルを貼らせる代わりに数的有利を取る(指要員を倒す)
(2)トリルターンはダイマやヌケニンを絡めて凌ぐ
(3)2回目のトリルをザシアンで止めに行く
という形で勝ちを狙う。
パルキアトリル系は初手キングドラかザシアンを出すことで「このゆびとまれ」や「いかりのこな」を強要して数的有利を取りつつトリルを貼らせ、2ターン目以降は「まもる」やヌケニン交代で凌いで行く。
ヌケニンの存在が非常に偉大で、下記のように「サイドチェンジ」を一切使わずともトリックルームは枯らせる。
1.トリックルームされる
2.ヌケニン交代出し(攻撃無効化)
3.こらえる
4.タスキを盾に行動
5.こらえる
そこに「サイドチェンジ」を絡めれば味方のHPや自身のタスキを守りつつ余計にターンを稼げるため、対トリパでは非常に頼れる存在。
白バドはヌケニンに一切打点がないため、パルキアの「かえんほうしゃ」をいかに被弾させないか勝負となる。カイオーガやキングドラが炎技でほぼダメージを受けないため、横にこれらがいると有利な択ゲーとなる。
基本的には白バドの「ダイアイス」ケアでカイオーガをダイマさせ、後攻で「ダイストリーム」を撃つことで天候雨を維持する立ち回りが安定する。ダイマオーガは耐久無振りでも白バド側が倒し切るのに時間が掛かるため、こちらもターン稼ぎにはうってつけ。
「このゆびとまれ」要員を先に処理した上でトリルターンを凌ぐことで、ザシアンの攻撃で2回目の「トリックルーム」を貼らせずに制圧を狙う。
尚、キングドラは「まもる」がないためvsトリパに向かないように見えるが、「とびはねる」で空中に逃げることでターンを稼げる立ち回りは意識しておく。相手にレジエレキやウーラオス等がいて高速展開も考えられる場合は、初手で出し負けて上から制圧されないようにキングドラを出しておくのが無難と考えている。
逆に相手が低速ばかりでその必要がなさそうな場合は、キングドラではなくイエッサン♀を出した方が「このゆびとまれ」や「まもる」でより安全に相手の攻撃を凌げるようになるため、相手の取り巻きによって出し方を変えていた。
⑥vsWキュレム
先発:カイオーガ+キングドラ
後発:イエッサン♀+ザシアン
相手はイエッサン♀+Wキュレム、裏エレキザシアンの形を想定。
初手キングドラの圧力で「このゆびとまれ」を押させてオーガの「しおふき」で相手イエッサンを削りつつ、こちらはグドラをザシアンに下げる。大体の場合は「ダイアイス」、良くて「ダイドラグーン」がグドラ方向に飛んで来るのでオーガザシアンが残る。相手イエッサンが次の「しおふき」圏内になっているため、次ターン「しおふき」+「きょじゅうざん」で「このゆびとまれ」を考えても両縛りとなる。スカーフオーガが味方ザシアンより先に動けるのがポイント。
「ダイウォール」+イエッサン捨てからエレキ死に出しで打開される可能性があるが、そうなった場合はオーガをイエッサン♀に下げつつザシアン「まもる」で安全にやり過ごし、「このゆびとまれ」+「きょじゅうざん」で切り返して行く。
最終的に相手のダイマを枯らしてからこちらの雨キングドラで打開ダイマを狙い、制圧する。
グドラの物理が偉く、「ダイアース」を連打されていた場合も問題なく倒せる。
元々ヌケニンが出せない上に「ダイアイス」が辛くて苦手意識があったWキュレムだったが、イエッサン♀採用により安定感が出て全部勝てた。
【動画】
配信者の方が本構築を使用した対戦動画を上げてくれたので、ここにリンクを貼っておきます。
実際の動きを文章で伝えるのは難しいしイメージしにくいと思うので、私のパーティに興味を持ってくれた方の参考になれば幸いです。
■ビエラさん(@SHADEviera)
www.youtube.com
言わずと知れたWCS2015の日本・世界チャンピオン。
マタドガスとカメックスとマッチしていたため残念ながらヌケニンは出ていないが、物理グドラにフォーカスを当てた動画構成。
物理グドラの強みと、世界王者の立ち回り(&面白さ)が光る動画なので是非観てみて欲しい。
■Cybertronさん(@CybertronVGC)
www.youtube.com
www.youtube.com
言わずと知れた海外の古豪Aaron Zhengさん。
動画を2つ出してくれているため参考資料が多く、特にヌケニンが活躍している様子はこちらでチェック出来る。
色々なパーティとの試合が収録されており、立ち回りも勿論上手い為とても参考になる。