ユウキのめざめるパワー(氷)

ポケモンバトル考察

Bo3考察

アローラ!ユウキです。
アメリカ・ナッシュビルにて開催されるWCS2018への参加を決めたので、世界大会の競技ルールであるBo3について考察して行きます。
(書き始めたのは参加を決めた6月末ですが、更新するのが遅くなりました。いよいよ本番は来週ですが、今一度考えをまとめるためおさらいしてみます)



【Bo3とは】
最大3試合を行い、先に2勝した方を勝者とする方式。「Best of 3」の略。
世界大会においては予選のスイスドローより全ての試合をこの形式にて行う。



【Bo3の特徴】
■最大3試合なので、運要素の比重がBo1と比べて少なくなる
これは基本的にはどのトレーナーにとっても同様に朗報。運負け1回までなら許容されるため、より実力が反映されやすいルールとなる。Bo1の場合に気を付けていた運負けに対するケアも多少は緩めてもいいことになる。(実力不明の不特定多数と連戦するWi-Fi予選では命中100未満の技を採用するのを避けた場合でも、このルールであれば採用に対するリスクは緩和される)



■「初見殺し」が通用するのは当たり前だが1回まで
Bo1のように単一ギミックによる勝ち逃げは出来ないため、2勝をもぎ取るためには以下のように考え方を転換する必要がある。
1.複数のギミックを仕込んで、場合によって使い分ける
2.内容が分かっていても止められない強力なギミックを考案する
3.初見殺しで1戦目を取れたら充分と考え、2戦目以降はそれが通用しなくても勝てるよう頑張る
4.初見殺し要素は入れずに最初から最後まで無難に、堅実に戦う


基本的にこのどれかに当てはまると思うので、個別に掘り下げてみる。


1.複数のギミックを仕込んで、場合によって使い分ける
初見殺しギミックをパーティ内に2つ以上仕込むことが出来れば、1戦目はAプランで取り、2戦目はBプランで取り2連勝で総合勝利という理想的な展開が取れる。しかしながら異なるギミックを2つ以上組み込んだ上でどちらもそれなりの勝率を保つのは難しく、構築の難易度は非常に高い。


2.内容が分かっていても止められない強力なギミックを考案する
単純な理屈だが、ギミックが相手にバレても2回目が通用するのであれば2戦目の選出・立ち回りを変えずとも2連勝することは可能である。
まず今更そんなギミックあるのか?というのは疑問に残る。環境初期でまだほとんど認知されていないギミックを発見出来ればその環境では独り勝ちが狙える可能性はあるが、この時期になって認知されていないものというのはほぼないだろうし、仮に誰も使っていないギミックを無理やり見つけたとしても、それは誰もが振り向かない程汎用性がないものである可能性が高い。
どんなギミックにも基本的には対策となり得る技やポケモンが存在することは確かなので、ここでは環境の読みが必要となる。大会環境の流行を読み、「最近は雨パーティを使う人が減り、プレイヤー全体で雨パ対策が薄くなっている傾向があるので、当日雨パを使う」と言ったような選択がうまく行けば、メタゲームを制することが出来たと言えるだろう。いかに対策者が少ないであろう戦術を選択出来るか、が重要となる。
また、同様に対策がない相手に対して能動的に運要素を押し付けるようなプランは悪くないアプローチであると思う。「ワイドガード」のない構築に上から「いわなだれ」を撃ち続けたり、〔ミストメイカー〕のない構築に「ふぶき」を撃ち続ける等。積極的に運勝ちを引き寄せる構築というのも立派なギミックの1つであろう。


3.初見殺しで1戦目を取れたら充分と考え、2戦目以降はそれが通用しなくても勝てるよう頑張る
初見殺しで1戦目を取れた場合、2戦目以降は通用しない可能性が高い。しかし2戦目以降でそのギミックを相手に意識させることで立ち回りに制限を掛けたり隙を作れる場合はあるので、必ずしも初見殺し自体が弱い訳ではないと考える。より鮮やかに決めた方が相手の印象に残り、後の精神的な枷となる可能性が高いため、どうせやるならハデにやり2戦目以降の駆け引きで相手を揺さぶる材料にするのも悪くない選択かも知れない。
しかし、既に知っているギミックに対して相手がどう対処して来るかに関しては対戦相手に依って左右されるため非常に読みの難易度が高く、安定しないというのも肝に銘じておきたい。
具体例を挙げると、2戦目以降で「初戦でメガリザードンYの「エアスラッシュ」を通して相手のジャラランガを一撃で倒して勝ったから、今度はさすがに交代したり「まもる」をするだろう」と考えて倒せる相手を放置したり交代読みをしたが、相手が「分かってても打つ手がないから選出も立ち回りも変えません!」と開き直った場合や「さっきバレた手が二度通用するとは相手も思わないだろうから、相手が深読みしてくれる読みで強気の居座りも普通の選択肢だろう」と居座ったりする場合があるため、裏目に出る可能性は充分にある。この高度な読み合いを制するのが醍醐味と考えるのも良し、不毛だと割り切るも良し。しかしそこには正解がある訳ではないことだけは確かだ。安定した勝利が欲しいのなら、相手依存の読みはなるべく避けたいところ。


4.初見殺し要素は入れずに最初から最後まで無難に、堅実に戦う
先にも述べたように、一度割れたら互いの認識を大きく歪めるような「初見殺し」要素は、純粋なプレイングや読み合いをする上で「ノイズ」となる可能性を孕んでいる。そうなると逆に相手の出方が読みづらくなる場合もあるため、自身のパーティを構成する要素はなるべく奇抜でなく、相手の想定の範囲から外れないレベルの無難なものに留めておき、選出や立ち回りの部分で差をつけるよう努力するというのはある種一番スマートな回答であろう。
この方針の良い所は、決勝トーナメント進出後に互いのパーティの内容が全て公開された後も情報アドバンテージの面で不都合が少ない点だ。世界一を目指すのであれば、この極地を目標としたいところである。



■長いスパンでの情報戦となる
試合中に得た情報全てが2戦目以降に活かされるため、この情報アドバンテージで差をつける立ち回りも重要となって来る。これらはBo3特有の技能として、今後習得しておきたい。
・試合中に相手の情報を探り、引き出す能力(負け試合でも相手の情報を多く引き出すための立ち回りをする等)
・逆に自身の情報を隠す能力(勝敗を歪めない範囲での早めの降参、特定の技を隠した立ち回り等)
・既に割れている情報から残りの情報を予測する能力(これはBo1でも意識する場合が多い)


以上の特徴を踏まえて、Bo3向けのパーティに欲しい要素を挙げてみる。



【Bo3用パーティに欲しい要素】
■「まもる」(なるべく多く)
ダブルバトルの基本となる技ではあるが、技範囲拡大による恩恵もかなり大きいため「まもる」を切ることは多々ある。『こだわり〜〜』系や『とつげきチョッキ』を採用する場合もあるため、パーティ6匹で「まもる」を覚えたポケモンが半数以下となることもざらだ。
しかしながらBo3において「まもる」がないことが相手にバレることはかなりのディスアドバンテージとなる。相手目線、「まもる」がない方向に攻撃を撃つことが裏目になりにくいからだ。こちらの選択肢が狭まるのに対して相手には有効な選択肢を与えてしまうというのは好ましくない状況であるため、「まもる」持ちを多く採用してなるべく自身の取り得る選択肢を広くし、様々なパターンに応じて任意の並びを作れるようにしておくと柔軟に戦える。



■「ねこだまし
・自身の並び形成や展開補佐のために(すばやさ操作、積み技等の隙作り)
・相手の「トリックルーム」、「おいかぜ」等のターンを凌ぐために
この技1つでやれることが多過ぎるため、是非採用したい技。攻めの視点でも守りの視点でも役立つため、完全に入れ得。
使用出来るポケモンが限られているので、ハイスペックなキャラはミラーが多発するのがネック。


●「ねこだまし」持ち候補
ガオガエン
〔いかく〕を持つため便利。耐性も数値も文句なしで、現使用率トップ。「とんぼがえり」で〔いかく〕と「ねこだまし」を使い回す動きも可能なのが偉い。


メガガルーラ
メガシンカによる数値の高さと不利な相手の少なさが売り。反面耐性もないため、交代での受け出しにはあまり向かない。特性〔きもったま〕でゴーストタイプにも「ねこだまし」を通せる他、〔せいしんりょく〕なら初手での「ねこだまし」持ちミラーでも柔軟な選択が取れる。


メガカメックス
〔いかく〕に弱くない特殊アタッカー。強い全体攻撃技「しおふき」もあり、初手で「ねこだまし」しながら隣で「おいかぜ」や「トリックルーム」ですばやさ操作した後スムーズに攻撃に転じられる。


トゲデマル
カプ系に強い点、〔ひらいしん〕で味方を電気技から守れる点が優秀。「アンコール」や「いかりのまえば」等サポート技も充実。


ライチュウ(カントー)
トゲデマル同様〔ひらいしん〕が強い。差別化要素は高いすばやさと「フェイント」、特殊アタッカーである点。自身が〔ひらいしん〕のとくこうアップの恩恵を受けやすい。


マニューラ
高いすばやさで他の「ねこだまし」勢の多くに有利に立てる。一致氷打点により〔いかく〕ランドロスボーマンダに強い点が優秀。特性〔プレッシャー〕で初手の相手のすばやさ判別が可能な点は先発適正が高い。〔せいぎのこころ〕+「ふくろだたき」コンボも可能。


メガミミロップ
特性〔きもったま〕によりゴーストタイプにも「ねこだまし」を通せる点、すばやさが非常に高い点が優秀。攻撃範囲が広いが「おさきにどうぞ」や「アンコール」等補助技も使いこなす。


カポエラー
〔いかく〕持ち。「ワイドガード」や「フェイント」「てだすけ」、強い格闘打点あたりがガオガエンズルズキンにはない性能。


ズルズキン
〔いかく〕持ち。悪タイプのためゴーストやエスパーに強い格闘として振る舞える。火力は低いが耐久はガオガエンよりも上。フェアリー4倍に注意すればかなりの行動回数を稼げる。



■〔いかく〕
相手の物理アタッカー全般に有効な特性であり、繰り出すだけで相手の火力を削ぐことが出来るのは強力。
物理主体の相手に蹂躙されないためにも、最低1匹は〔いかく〕持ちを入れたいところ。
最近では優秀な〔いかく〕持ちが増えたため、2匹以上を入れてクルクル回すのも強力。特にガオガエン、霊獣ランドロスの2匹は特にスペックが高く使用率もTOP2で多くのパーティに入る組合せ。
しかしながら、あまりに〔いかく〕が多い環境なので、カウンターとして〔かちき〕ミロカロスや〔まけんき〕キリキザン等も数を増やしている。
〔いかく〕を複数組み込む場合は、これらの〔いかく〕メタに対しての処理ルートも同時に確保しておきたい。


●〔いかく〕持ち候補
ガオガエン
・霊獣ランドロス
ボーマンダ
クチート
ワルビアル
メガライボルト
ギャラドス
カポエラー
ズルズキン
ウインディ
ムクホーク



■すばやさ操作技
・「おいかぜ」
・「トリックルーム
・「こごえるかぜ」
・「エレキネット」
・「くさのちかい」+「みずのちかい」


バトルにおいて、すばやさが高い順から行動するのは最も基本となる原則であり、先に行動出来る方が有利なのも言うまでもない。
すばやさ勝負をより優位に進めるように、味方のすばやさを上げたり相手のすばやさを下げたりする技の重要度は高い。
特にBo3では複数通りのすばやさ操作手段があると良く、すばやさ操作要員をばらつかせることで処理を狙いにくくしたり、選ぶすばやさ操作によって対処手段が異なれば相手に対処させにくくすることが可能である。



■能動的な勝ち筋となるキャラ
・Zワザ(通りが良い、高威力、無効化されにくい)
・積み技持ち
・〔ビーストブースト〕持ち
・高威力全体攻撃技持ち


攻めの視点で、自身の勝ち筋となれる存在は最低1匹以上欲しい。
守りの視点で詰め筋となれる存在がいるのも悪くないが、今回のルールは制限時間が短めで耐久戦を仕掛けるのは得策ではないため、高火力でサクッと相手の頭数を減らせるエースは是非入れたい。



■フィールド枠(カプ系)
今やどのパーティにもカプ系が入っており、相手のフィールドを維持され続けると不利となる場合が多い。
そのため相手のフィールドを書き換える目的も兼ねて、こちらもカプ系を最低1匹は採用しておきたい。



ジャラランガ対策(フェアリー)
無対策だと簡単にマウントを取られかねない性能なので、最低1匹はフェアリータイプを入れておく。理想は2匹以上入れて「ブレイジングソウルビート」を無効化する盤面を作れるようにしておくと、ジャラランガ入りの選出・立ち回りにかなり制限を掛けられる。特性〔ぼうおん〕持ちでも可。
上記のカプ系を入れると自然とジャラランガ耐性が上がるので、この点を加味してもスペックの高いフェアリーとしてカプ系を入れるメリットは大きい。



■相手の積み技対策
・「ほろびのうた」
・「ふきとばし」「ほえる」「ドラゴンテール」「ともえなげ」
・「くろいきり
・「クリアスモッグ
・〔てんねん〕
・『レッドカード』


相手の積み技による全抜きを阻止するために、上記のどれかしらの要素を入れておきたい。能力上昇自体を無効化する〔てんねん〕も積み対策となるが、〔てんねん〕持ちポケモンが相手の積みアタッカーの隣のポケモンにやられると結局意味をなさないので、ダブルバトルである以上は全体で対処する考え方が吉か。あまりに強力な積みエースであるゼルネアスが流行していたWCS2016のルールでは『レッドカード』持ちもたまにいた。積み技使いに対して絶大なカードとなるが、若干ピンポイント気味なので今の環境では持たせにくいか。



■高速アタッカー
メガゲンガー、カプ・コケコ(S200)を上から攻撃出来るキャラ
・高威力先制技


環境に多いこれら2匹の高速アタッカーに対して、すばやさ操作技を挟まずに上を取れるキャラが1匹はいると非常に立ち回りやすくなる。
また、更に上のすばやさを持つ敵に対してのカードとして高威力な先制技持ちがいると尚安心である。



■全体攻撃技
・「ハイパーボイス
・「じしん」
・「いわなだれ
・「ねっぷう」
・「だくりゅう」
・「ふぶき」
・「マジカルシャイン
・「ほうでん」
・「スケイルノイズ


相手の読みに依存せずにダメージを蓄積出来るため非常に有用。「ワイドガード」持ち以外に裏目を引くことがまずないため、採用出来るならどんどん取り入れると立ち回りが楽になる、強力な追加効果のある「いわなだれ」や「だくりゅう」は場合によって運勝ちを引き寄せるトリガーにも。



■対特殊
・「めいそう」
・「バークアウト」
・「ひかりのかべ

物理方面は〔いかく〕でカバーが可能だが、特殊高火力に対しては対抗手段が少ない。これらで特殊方面のケアも行き届けば、より安心。



■特定のタイプの無効化枠
・電気無効の地面、〔ひらいしん〕〔ちくでん〕
・地面無効の飛行、〔ふゆう〕
・ゴースト無効のノーマル
エスパー無効の悪
・ドラゴン無効のフェアリー


主にZワザをスカせるかどうかに響いてくる要素。特定のタイプに対して無効化出来る存在がいれば相手は控えにそのポケモンがいないと確認出来た場合を除いてはZワザを撃ちにくくなる。実際に交代で出して無効化する動きが決まれば絶大なアドバンテージとなるし、存在するだけで相手の立ち回りに制限がかけられるのでいるかいないかで大分試合運びに影響がある。
メジャーなZワザ使いであるカプ・コケコの『デンキZ』を始めとしたZワザに対しては耐性があると嬉しい。



■対天候
・雨 ペリッパー(ニョロトノ)+メガラグラージ(ルンパッパ、キングドラガマゲロゲ等)
・砂 バンギラス(カバルドンギガイアス)+ドリュウズ(昼ルガルガンムーランド等)
・霰 ユキノオー(バイバニラ、Aキュウコン)+グレイシア(サンドパンA等)
・晴 コータス(キュウコンリザードンY)+ドレディア(フシギバナズガドーン等)


各種天候を利用して特性ですばやさや火力の上がった攻撃で攻めるパーティは一定数いるため、それらへの対抗策もしっかり用意したい。簡単なのは天候を奪うことなので自身も天候を変える特性を持ったポケモンを採用出来ると対処しやすい。
他にも特性〔ノーてんき〕や、手動での天候変化技でも対応出来る。
天候を変えずに「トリックルーム」や「おいかぜ」等で切り返す方法も可能だが、天候を維持され続けるとダメージレースで不利になりやすいので、切り返し要員にはかなりの耐久が求められ、その後の反撃役にも制圧力が必要となる。



■催眠対策
・「しんぴのまもり」
・〔エレキメイカー〕
・〔ミストメイカー〕
・草タイプ、〔ぼうじん〕(「ねむりごな」「キノコのほうし」対策)
・『ラムのみ』
・『カゴのみ』


ダークホール」全盛期程ではないが、一定数存在するモロバレルドーブルドレディアフシギバナ等に屈しないために催眠対策も仕込んでおきたい。
草タイプや〔ぼうじん〕は一応相手の「ねむりごな」「キノコのほうし」を無効化出来るが、隣が眠らせられるのは防げないので注意。
汎用性という意味ではカプ・コケコの〔エレキメイカー〕、カプ・レヒレの〔ミストメイカー〕がずば抜けている。特にレヒレの〔ミストメイカー〕は眠り以外の状態異常も防げるため様々な事故防止となる優秀な特性。味方へのドラゴン耐性付与も対ジャラランガを始めとして役立つので便利。


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今回の記事はここまで。
世界大会に向けてこの内容に沿ってパーティ構築を行ったつもりですが、果たして結果はどうなることやら・・・
目指すは優勝。頑張りたいですね!