ユウキのめざめるパワー(氷)

ポケモンバトル考察

ダブルバトルの技配置(選択時間切れ対策)考察

アローラ!ユウキです。
今回はダブルバトルにおける技の配置について考察します。
いよいよ3日後に迫ったWCS2018世界大会に向けてパーティ構成の見直しをしている最中、技の配置についても一考の余地があると思い、考えをまとめるために記事にしました。以下常体。



【背景】
■短い選択時間
今年の公式ルールであるWCS2018ルールでは、1ターンにおけるコマンド選択時間が45秒しかない(WCS2017では1ターン60秒だった)。
ダブルバトルにおいては1ターン毎に手持ち2匹分のコマンド入力が求められるが、2匹分のコマンド入力を45秒で終えるのは案外難しい。
相手の「まもる」や交代を考慮したり、自身の交代も検討したり、2,3ターン先のことまで考えて最善手を選ぶためには45秒はかなり短く、あれこれ悩んでいるうちに残り10秒を切っており焦ってボタンを連打したり、時間切れまでに選択が終わらずに意図しない行動が選ばれて負けたりという経験も何度かあった。


■選択時間切れの処理
選択時間内にコマンド入力が全て終わらなかった場合は、自動的に一番上に配置されている技が選択されることになっている。
これは昔からそういう仕様なので、昔からやっているプレイヤーの間では『ダブルバトルの技配置は「まもる」が一番上が安定』という認識があった。もし時間切れで一番上の技が自動選択されてしまっても「まもる」が選ばれていればとりあえずそのポケモンは倒れることはないので、立て直しが可能という考えだ。



【考察】
■本当に「まもる」が一番上がいいのか?
さて、先述の「まもる」を一番上にする配置について、掘り下げて考えてみる。確かに「まもる」を使うとそのターンは「まもる」を選んだポケモンは生存出来る。
しかし、ここでダブルバトルの最も基本的な部分となる「まもる」の本来の使い方を思い出してみよう。
尚、「まもる」と同じような効果を持つ他の技「みきり」「ニードルガード」「キングシールド」「トーチカ」等についても、以下まとめて「まもる」という表現で統一する。


■「まもる」が有効に働く場面
ダブルバトルにおける「まもる」が有効に働くのは、いわゆる「縛り」(目の前にいる相手のどちらかもしくは両方に先制で倒される状況)が発生した盤面において、縛られたポケモンが1ターン「まもる」で凌ぐことで状況が好転する(=縛りを解除出来る)場合である。
ここで大事なのは、その1ターンの隙に状況を変えるためには「まもる」を使っていない方のポケモンで、相手の縛りをかけているポケモンをどうにかする必要があるということ(縛りをかけているポケモンを倒す、交代してそポケモンを更に上から縛れるポケモンを繰り出す、「ねこだまし」持ちに交代する、「おいかぜ」「トリックルーム」等のすばやさ操作で行動順を引っくり返すetc)。


これは言い換えれば、味方との連携がなければ「まもる」をしても状況は好転しないということだ。特にパーティ全員の技配置を「まもる」が一番上にしていた場合は、時間切れで2匹同時に「まもる」を使うこととなるため、従来の「まもる」を使っている隙に相方でどうこう、といった連携は不可能であり、その場凌ぎの時間稼ぎにしかならない。


■「まもる」が選ばれるデメリット
その場凌ぎでも何でもいいから、下手に動かして倒されるよりはマシ、という考え方もあるだろう。しかし本当にそうだろうか?
「まもる」が選ばれた場合の最大のデメリットは『次ターンに「まもる」が使えない(使いづらい)』という点だ。
実際は技の選択自体は可能なのだが、2回連続で「まもる」を選ぶと2回目は成功率が33%となってしまう(連続使用毎に成功率が1/3される)ため、よほど追い詰められて分の悪い博打をするしかない状況以外では積極的に選びたくはない。
第五世代以前においては、2回目の「まもる」の成功率は50%(連続使用毎に成功率が1/2される)だったので、当時のプレイヤーも「2連守るは普通の選択肢」とか「3連守るは普通の選択肢」という名言を残している。確かに、その成功率であれば充分に賭ける価値はあった。
しかし、今は第七世代。「まもる」の連続使用はかなりの博打になるため、基本的にしたくない。そう考えると安易な「まもる」が次ターン以降自分の首を絞める結果になることも少なくないのでは?という考えに至る。


以下に、具体的に想定される時間切れによる「まもる」が裏目に出る場面を挙げる。
・「まもる」さえ使えれば次ターン「まもる」+交代(攻撃)で切り返せたが、一度「まもる」を使ってしまった後だと成功率が33%になってしまうのでその作戦を選びにくい(選んでも67%で失敗する)
・「まもる」を使っている隙に、相手に積み技や「みがわり」、すばやさ操作技等を使われて一方的にアドバンテージを取られる
・既に前のターンに「まもる」をしていた場合、2連「まもる」となり67%で損をする(攻撃もせず「まもる」も失敗するという最悪の状況)
こう考えると一番上に「まもる」を置いておくのも案外リスキーである。


■「まもる」が選ばれるメリット
ここまでデメリットを挙げたが、勿論「まもる」ことがメリットとなる場合もある。
・Zワザを「まもる」ことに成功すればダメージを最小限にしつつ相手のZワザを凌げる
・特性〔かそく〕〔ムラっけ〕〔しゅうかく〕等、ターンを稼ぐことが自身のアドバンテージに繋がる場合
・フィールド、天候、「おいかぜ」「トリックルーム」の時間稼ぎになる
・『たべのこし』『くろいヘドロ』、グラスフィールド等の回復を稼げる
これらのメリットを重く見る場合は「まもる」を一番上にしても良いだろう。特にターン終了時に能動的に能力を上げられるメガバシャーモドーブル等は、「まもる」ことでのデメリットよりもメリットが上回る可能性を秘めている。


■「まもる」以外の技候補
さて、「まもる」を一番上にすると上記のようなメリット・デメリットがあることが分かった。これらを総合すると、一部例外を除いて基本的には「まもる」は一番上に置かない方が良いという考えに至る。
では、「まもる」以外の技の中ではどんな技を一番上に配置するのが良いのだろうか。


■攻撃技(メインウェポン)を一番上に
まず自然に考えると、メインウェポン(タイプ一致で威力が最も出る攻撃技)を一番上にしておくのが最もアドバンテージを得やすいと言える。技の威力が高いのだから、攻撃が通った場合に相手に与えるダメージは一番大きいはずだ。
タイプ相性を考えなければ、基本的にこの考え方に則り最も威力が高い攻撃技を一番上にしておきたい。
もしもタイプ一致のメインウェポンが2つある場合は、より「通りがいい」方を選びたい。単純な威力の差よりもタイプ相性上無効化・半減されにくい攻撃技にしておいた方がいざという時にアドバンテージを得られる可能性が高いからだ。
また、同じくタイプ一致のメインウェポンが2つある場合で片方が全体攻撃技、片方が単体攻撃技だった場合は全体攻撃技を一番上にしておくと裏目になりにくい。例えばメガリザードンYなら「ねっぷう」「かえんほうしゃ」の順、カプ・レヒレなら「だくりゅう」「ムーンフォース」の順といった感じだ。これは時間切れで単体攻撃技が選ばれた場合、攻撃技の対象は正面にいる相手という仕様のため、攻撃を当てたい方に当てられる保証がないことが理由だ。全体攻撃ならば対象を選ばずただ放てばいいだけなので、時間切れで暴発してもアド損することはあまりない。


■攻撃技(サブウェポン)を一番上に
メインウェポンが以下の条件に当てはまる場合は、メインウェポンを一番上にすることに若干のリスクが伴う。
・「じしん」「ほうでん」「ビックリヘッド」等の味方を巻き込む攻撃の場合
・相手の特性〔ひらいしん〕〔よびみず〕等に引っ掛かると相手を強化してしまう技の場合
これらの場合は、誤って味方にダメージを負わせたり相手を強化してしまう事故を防ぐ意味でもメインウェポンではなくともサブウェポンを一番上にしておく方が良い。
例えば『こだわりスカーフ』霊獣ランドロスのメインウェポンは「じしん」だが、味方に浮いていないポケモンが並ぶ可能性があるパーティであれば「いわなだれ」や「とんぼがえり」にしておく方が無難だろう。
ひらいしん〕や〔よびみず〕等に関しては、それを発動させてしまうと負け、という程のリスクではない(発動させても処理出来る)と考えるのであれば多少のリスクは無視して「10まんボルト」や「だくりゅう」を一番上にしても問題はないだろう。


■補助技(すばやさ操作技)を一番上に(諸説あり)
サポート寄りなポケモンにおいては自身の攻撃性能よりもそのサポート性能に期待して採用していることが多い。そのようなサポート役に関しては採用理由となった補助技を一番上にしておく方がいい場合があるだろう。時間切れにより大した火力のない攻撃技を選んでしまって本来の役割であるサポートをこなせないまま倒れてもらっては、パーティの運用に支障が出るからだ。
例えば「トリックルーム」を主体としたパーティにおけるヤレユータンクレセリア、「おいかぜ」要員のエルフーン等。場全体に及ぶすばやさ操作技を持たせているポケモンを採用している場合は、そのパーティの依存度が高ければその技を一番上にしておくと事故は少なくなるだろう。
ただ、このあたりはプレイングとの兼ね合いになるが、「トリックルーム」が失敗したら負けるようなガチガチのトリパなら、初手で「トリックルーム」を選ぶのは決まりきったことであるため選択時間切れまで悩む余地はなかなかない上、逆に「トリックルーム」始動中の中盤戦で迷う場面に遭遇して時間切れで「トリックルーム」を再度選んで自ら解除してしまう事故もあり得るため、そこは何とも言い難い。
「おいかぜ」も同様で、パーティの依存度が高ければ初手から忘れずに押すはずなので、初ターンの時間切れよりも中盤に悩んだ際の時間切れの方が可能性が高いと考えると、2回以上選んでも得がない(損する)補助技は一番上に置かない方がいいとも言える。


■積み技を一番上に(諸説あり)
「めいそう」「りゅうのまい」「ちょうのまい」のように能力を上げる積み技を持たせて戦うポケモンは、エースとなる役割を期待していることが多い。これらの積み技持ちは先に能力上昇をしてから攻撃に移るのが基本的な運用方法となるため、積み技を一番上にしておくと損をすることが少ないだろう。攻撃技は対象が選べないが、積み技は自身が対象なので裏目になりにくいことや、能力上昇前に攻撃技を選んでしまうとダメージが小さく勿体ないことや、積み技であれば先程述べたすばやさ操作技と異なり既に使用済の場合でも重ねて能力上昇するだけで完全な裏目にはならないことが理由だ。
勿論、既に積んでいる場面を想定するのであれば、2回目3回目の積み技は過剰であったり、攻撃するべき場面で「まもる」を使いもせずに再度積み技を使用する立ち回りとなった場合にエース級を失ってしまうリスクは存在するので、これも状況によりけり。そのポケモンを繰り出したばかりで積み技を使用する前に時間切れを起こすようなら積み技が一番上がいいし、そうでないなら攻撃技や「まもる」が有効となるだろう。


ここで先程一番上に配置するべきではないと述べた「まもる」が出てくるのは、積み技持ちのエースアタッカーに関して言えば「まもる」の持つ意味が若干異なるからである。
積み技持ちはそれ自体が1つの勝ち筋となり得るため、ゲームメイクに大きな影響を与える。火力やすばやさが上がった状態であれば、縛られている側というよりは縛っている側であることが多いであろう。その場合は、先に述べた相手からの縛りを解除するための消極的な「まもる」ではなく、縛っている相手の「まもる」を読んだ積極的な「まもる」の使い道が選択肢に加わる。
積み技を使って盤面を制圧しつつあるポケモンが、縛っている相手の前で「まもる」を使って相手の「まもる」+縛り解除を狙った立ち回りを咎めることが出来れば、その有利な盤面を維持することが出来る。そのため、積み技持ちの積極的な「まもる」は積み技使用後であれば味方との連携なしでも単体で有効に働く可能性もある。


これらは全てそのポケモンがどのような出し方をするかによって置かれる状況が異なるので難しいところだが、個人的な意見では、以下のように振り分けられる。
・先発から出す積み技依存度が高いポケモン:「まもる」(序盤は時間切れが起こりにくい上にやることが明確なら初手で積み技を自身で選択出来るはずなので)
・先発から出す積み技依存度が低い(隙を見て積み技も狙う程度)ポケモン:攻撃技
・後発から出す積み技依存度が高いポケモン:積み技
・後発から出す積み技依存度が低いポケモン:攻撃技


後発から出すことが多いポケモンは、試合中盤〜終盤の戦況が複雑化した場面での選択時間切れを想定して技配置を決めたい。
このあたりは自身でパーティを回す上で選出や立ち回りのクセから配置を練った方が良い。


■忘れてはならないミス防止策
ここまで様々なパターンを考えて技配置を決める要因を挙げたが、1つ言えるのは、パーティ内でポケモンによって攻撃技が一番上だったり「まもる」が一番上だったりとゴチャゴチャしていると思わぬミスを生む原因になるので、可能な限りパーティ内での技配置には統一性を持たせることをお勧めする。
勿論ポケモン毎に技配置の法則が異なっていても、そのパーティを長い間運用することで体に覚え込ませることは可能であるため練習期間が充分にある場合はパーティ構想段階から技配置まで練って、それぞれ一番良い配置で練習すると尚良いだろう。



【結論】
・一部の例外を除き「まもる」を一番上に配置するのは割とリスキー
・特性でターン終了時に能力上昇を狙えるポケモン、積み技の使用が前提のポケモン等は「まもる」一番上も選択肢
・一番上は最も威力の高いタイプ一致の攻撃技(メインウェポン)が良い
・タイプ一致技が2つ以上の場合、全体技・通りが良い技が優先して一番上
・メインウェポンが味方を巻き込む、相手に逆利用される技の場合は他の攻撃技を配置するのがベター
・後発で出すことが多い積み技依存度が高いポケモンは積み技が一番上だと安心


以上、例外はあると思うが大雑把にまとめるとこのようになる。今後の技配置を決める上での指標としたい。
勿論100%主観で書いている文章なので他の人から見れば突っ込みどころがあると思うが、自身の考えをひとまず形にして残しておく。



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今回の記事は以上です。最後までお読み頂きありがとうございました!
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ではでは世界大会、頑張るぞ〜〜!!