2/20に開催された第17回夜空杯で、3位に入賞したパーティです。
また、5/7に開催された第1回ステロオフで、この構築のクレッフィ→エルフーンにしたもので準優勝しました。
強さといやらしさを兼ね備えた自信作なので、どうぞご覧下さい。
【パーティ】
種族名 | 性格 | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 | 特性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
バンギラス | 意地っ張り | ステルスロック | いわなだれ | おいうち | れいとうパンチ | オボンのみ | すなおこし |
エアームド | 腕白 | まきびし | ブレイブバード | はねやすめ | ふきとばし | ゴツゴツメット | がんじょう |
クレッフィ | 穏やか | いばる | みがわり | でんじは | イカサマ | たべのこし | いたずらごころ |
グライオン | 陽気 | じしん | ハサミギロチン | みがわり | まもる | どくどくだま | ポイズンヒール |
ドククラゲ | 図太い | どくびし | ねっとう | ヘドロばくだん | ねむる | カゴのみ | ヘドロえき |
ゲンガー | 臆病 | たたりめ | ヘドロばくだん | ほろびのうた | みちづれ | ゲンガナイト | ふゆう→かげふみ |
キョウ「……ファファファ!拙者は四天王のキョウ!今に生きる忍よ!拙者の戦い方、一筋縄ではいかんぞ!相手を惑わせ、毒をくらわせる……まさに変幻自在、妖しの技よ!……ファファファ!力だけでは及ばないポケモンの奥深さ、たっぷりと味わうがよい!」
【概要】
復帰戦であった第16回の夜空杯ではサクラバトンという前のめりなコンセプトパーティを使った。久し振りに66をやって「やっぱり66はサイクル戦だな」と思ったので、初心に帰ってサイクルを制するための昆布パーティを組んでみようと思い立った。
『昆布』とは・・・「ステルスロック」「まきびし」「どくびし」等の設置技を用いて交代際に相手にダメージを負わせる非常にいやらしい戦法。「ふきとばし」も併せて使用することで相手を定数ダメージだけでじわりじわりと追い詰めていくその様はまさに現代の忍。
交代が多くなるシングル66において設置技が強いことは66未経験者でも知っていると思うが、実戦で「ステルスロック」+「まきびし」×3回、「どくびし」×2回を全部撒かれたことがあるプレイヤーはどれほどいるだろうか?この構築で昆布の恐ろしさを相手に味わわせて、心を折ることが狙いである。
パーティコンセプト上、3種類の設置技を消してくる相手の「こうそくスピン」を無効に出来るゴーストタイプの採用がほぼ決定。今回は「どくびし」との相性がいい「たたりめ」を覚える上にサイクル戦で非常に強力な特性〔かげふみ〕を持つメガゲンガーをメガ枠として添え、定数ダメージでの削り→メガゲンガーの攻撃の一貫を目指して構築を行った。
【個別解説】※夜空杯仕様
■バンギラス@オボンのみ 〔すなおこし〕
意地っ張り 207-176-131-**-145-83
ステルスロック いわなだれ おいうち れいとうパンチ
●採用理由
優秀な耐性から多くの相手に繰り出せるステルスロック要員として採用。
加えて、サイクル戦を主とする耐久系統のパーティが苦手とするメガゲンガーやゴチルゼルを「おいうち」で狩ることが出来るのも大きな採用理由となった。
●技構成
・ステルスロック
採用理由でもある66最強の設置技。なるべく序盤に撒けると試合展開を優位に運べる。
・いわなだれ
対面した岩弱点相手にダメージを稼ぎたい場合に。ひるみの追加効果が狙え、クレッフィの「でんじは」との相性もよい。
・おいうち
パーティが苦手な相手を逃がさず狩ることで味方がグンと動きやすくなる。
・れいとうパンチ
物理マンダやガブはエアームドで止められるが、特殊技を仕込まれている場合に突破されてしまうためバンギでもこれらを相手出来るようにした。
●持ち物
技スペース上回復技を入れられず、繰り出し回数を増やすため『オボンのみ』を採用。
●努力値配分
繰り出すポケモンを意識して特殊耐久ベース。こうげきを高め、HP振りメガゲンガーまで砂ダメージ1回込み「おいうち」で確定ライン。
■エアームド@ゴツゴツメット 〔がんじょう〕
腕白 172-100-211-**-91-90
ブレイブバード まきびし ふきとばし はねやすめ
●採用理由
バンギラスの苦手な地面や鋼、格闘をはじめとする物理ポケモンの多くを交代から受けることが出来る物理受け。昆布戦法の主軸となる「ステルスロック」「ふきとばし」だけでなく「まきびし」も覚えるので是非採用したい。エアームドの起点になるポケモンがいれば役割を遂行しつつ「まきびし」を撒けるチャンスが増えるため、積極的に後出しする。また、止めるのが難しいメガボーマンダ(物理)やガブリアス、マンムー等をほぼ受けきれるのはこのポケモンくらいであろう。
●技構成
・ブレイブバード
唯一の攻撃技。特性と相性が悪いように見えるが、初手で〔がんじょう〕を活かして無理矢理バシャーモ等の重いポケモンを相打ちに出来る威力を買って採用。実際に想定した場面が予選であったので正解だった。
・まきびし
真のメインウェポン。隙を見て重ねて撒いておくことでサイクル戦が有利になる。
・ふきとばし
「りゅうのまい」等の積み技対策。また。有利対面で使うことで相手が特殊アタッカーに替えてきても退場させて余分に蓄積を与えられるのが強い。
・はねやすめ
役割維持のため必須となる回復技。
●持ち物
繰り出すだけで接触攻撃メインの相手に蓄積を与えられる『ゴツゴツメット』を持つことで、回復や「まきびし」に専念しやすくなる。ジバコイルやゴチルゼルにキャッチされると相手のボーマンダやマンムーがきつくなるため、『きれいなぬけがら』での採用も一考の余地はあるが、今回はそれらの数があまり多くないことや最悪立ち回りでカバー出来ると考えたことから、欲張って『ゴツゴツメット』とした。
●努力値配分
物理受けなのでぼうぎょ特化。
■クレッフィ@たべのこし 〔いたずらごころ〕
穏やか 161-**-115-100-152-95
イカサマ でんじは いばる みがわり
●採用理由
バンギラス、エアームドで相手にしにくいギルガルド(+サザンドラ)やゲッコウガに有利な駒。エアームドが物理特化なので、特殊フェアリーへの繰り出しも担当する。特性によりマヒを撒きやすく、後続のグライオンやゲンガーとの相性も抜群である。また、苦手とするマンムーやガブリアス等の地面タイプをエアームドの起点に出来るため、同じ鋼タイプでもエアームドとクレッフィの相性自体もいい。「いばる」をすると相手は交代したくなるが、そこに「ステルスロック」「まきびし」が加わると、混乱した相手に居座られても「みがわり」で有利な運ゲーに持ち込め、逃げられても定数ダメージの蓄積が入るためとても強かった。昆布+クレッフィ自体が強力な勝ち筋となり、こいつだけで降参に追い込んだ試合も少なくなかった。
●技構成
・イカサマ
唯一の攻撃技。後述の「いばる」との相性が抜群。
・でんじは
すばやさを奪うことで相手の全抜きを阻止する。「りゅうのまい」や『こだわりスカーフ』持ちもしっかり止め、メガゲンガーで処理出来るようになる。
・いばる
基本的には「みがわり」を残した状態で撃つ。耐久の高いポケモンもこれで崩せるようになる他、苦しい展開やポケモンの誤魔化しにも使える。
・みがわり
どれだけローリスクで残せるかが腕の見せ所。「でんじは」を被弾したくないであろうポケモンの交代際に積極的に使う。また「どくびし」での毒ダメージ稼ぎにも使える。
●持ち物
長く居座る型であるため、自力で永久に回復出来る『たべのこし』。
●努力値配分
ゲッコウガやサザンドラ等を意識した特殊耐久振り。
■グライオン@どくどくだま 〔ポイズンヒール〕
陽気 177-116-155-**-108-143
じしん ハサミギロチン みがわり まもる
●採用理由
昆布戦法、クレッフィのマヒ撒き、後述の「どくびし」との相性が抜群のポケモン。これらの定数ダメージを絡めた「みがわり」「まもる」による無限戦法が強力な勝ち筋となる上に、受けにくいギルガルドやヒードランをローリスクで受けて流せるポケモンとして採用。また、定数ダメージだけで崩しにくい「ねむる」持ちの高耐久ポケモンへの崩しを一撃必殺技により行なう。
●技構成
・じしん
役割対象のギルガルド、ヒードランを処理するメインウェポン。「どくびし」の通らない毒や鋼タイプに抜群を取れる点も優秀。
・ハサミギロチン
定数ダメージで崩れない耐久ポケモンへの切り札。型の都合上、試行回数を稼ぎやすいのが強い。
・みがわり
後述の「まもる」と交互にしようしてもHPが減らない。クレッフィの撒いたマヒや混乱を起点に残しに行ったり、有利なポケモン(みがわりを割れないポケモン)に繰り出して積極的に残しに行く。
・まもる
無限戦法を支える技。基本単なる時間稼ぎにしかならないが、「どくびし」があると真価を発揮する。
●持ち物
自身の特性を能動的に発動させる『どくどくだま』。これによりヒードランの「おにび」や催眠技に耐性を持つことが出来るため、パーティが状態異常に強くなる。
●努力値配分
役割対象のヒードランを抜くすばやさを設定し、HPは無限戦法でHPが減らない16n+1。繰り出し対象を考え、特殊耐久を多めに配分。とくこう222メガゲンガーの状態異常「たたりめ」を最高乱数以外耐える。
■ドククラゲ@カゴのみ 〔ヘドロえき〕
図太い 187-**-128-100-141-120
ねっとう ヘドロばくだん どくびし ねむる
●採用理由
パーティの決定力の1つを担う「どくびし」要員として採用。他にも「どくびし」が使えるポケモンはいるが、ここまで一貫している水や氷を受けられるタイプ耐性を勝って採用。特にマリルリやバシャーモ等、隙を見せると全抜きされかねないポケモンに対して役割を持てる。毒タイプ故フェアリー受けもこなせ、また相手の「どくびし」も回収出来る。
●技構成
・ねっとう
バシャーモへの遂行技として。この技を見せることで毒タイプながら地面タイプを呼ばなくて済む。また、「どくびし」が効かない鋼タイプやフシギバナに火傷狙いで連打し、グライオンやゲンガーで勝てるようにする役割もあるので地味に重要。
・ヘドロばくだん
マリルリへの遂行技。これも3割で追加効果があり、引ければ後続が楽になるので強力。
・どくびし
攻撃しなくても相手を倒せるようになるので、優先的に撒く。ゲンガーの「たたりめ」の補佐になる。
・ねむる
「こうそくスピン」も捨てがたいが、回復ソースが『くろいヘドロ』だけだとすぐ倒れそうなので回復技を持たせた。『くろいヘドロ』持ちが多いため、ドククラゲミラーで互いが火傷するまで「ねっとう」連打した後こちらだけ回復したり、対ヒードランが安定したりと、生きる場面は多かった。
●持ち物
「ねむる」後にすぐに目覚めるよう『カゴのみ』。繰り出し対象に「ねむりごな」を使うフシギバナもいるため、腐ることはまずない。
●努力値配分
役割対象が物理アタッカー寄りなのでぼうぎょ特化。すばやさは無振りでも最速マリルリより速いため、「はらだいこ」「アクアジェット」を耐えつつ返り討ちに出来る。
●特性
パーティの苦手とするフシギバナ、エルフーン、ローブシンに強くなれる〔ヘドロえき〕とした。最悪素眠りしていても「やどりぎのタネ」を使う草タイプには役割を持てるため、有用な特性。ぼうぎょ特化であることを理由にナットレイに無理やり出て行き「ねっとう」火傷を狙う場面も。
■ゲンガー@ゲンガナイト 〔ふゆう〕→〔かげふみ〕
臆病 135-**-81-182-95-178
メガシンカ時:135-**-101-222-115-200
たたりめ ヘドロばくだん ほろびのうた みちづれ
●採用理由
「こうそくスピン」をスカせるゴーストタイプかつ、高速高火力による終盤の制圧が狙えるメガシンカポケモンとして採用。基本的には受け回しでメガゲンガーの圏内まで削るように立ち回り、最後に一掃する。また、受けパーティが苦手とする積み技からの全抜きに対して「ほろびのうた」「みちづれ」により対策が出来るため、メガゲンガーで邪魔者を消してから受け回して勝つという戦法をとることも可能。
●技構成
・たたりめ
パーティ全体を通して状態異常を徹底して撒く構成なのでほぼ最大威力で放てる。非常に威力が高く、この技をとくこう222から連打出来るポケモンが弱いわけがない。
・ヘドロばくだん
軽いとは言えないフェアリーへの遂行を兼ねた、命中・威力安定のメインウェポン。
・ほろびのうた
ピクシーやオニゴーリ、バトンパへの対策として採用。夜空杯準決勝でライトの〔ぼうおん〕バリヤード入りバトンパに敗れたので、これだけでは対策は不十分であった。。
・みちづれ
「ほろびのうた」と併せて確実に葬りたいポケモンを葬ったり、サイクルを回す上で受けにくいポケモンを無理やり持っていき安定して受けを成立させるのに便利だった。ステロオフ準決勝のコウキさん戦で、受けるのが厳しい『いのちのたま』サザンドラを処理し、詰めることが出来た。
* * *
【ステロオフ仕様】
※クレッフィ→エルフーンに変更
■エルフーン@たべのこし 〔いたずらごころ〕
図太い 145-**-150-98-116-138
ムーンフォース やどりぎのタネ コットンガード みがわり
●採用理由
ステロオフに一緒に参加した嫁・あやのパーティにクレッフィを採用しており、1匹しかいない個体を渡してしまっていたので代理として採用。
ある程度タイプと戦法が似通っているので代用出来るだろうと思ったが、問題なく決勝まで行けた。むしろ予選では相手のクレッフィを完封したり、しんめーのメガヤミラミで詰まずに済んだりとエルフーンにして正解だった。
しかし決勝でメガフーディンに負けた時は、クレッフィだったら・・・と何度も思った(
●技構成
・ムーンフォース
タイプ一致フェアリー技を採用することで、キノガッサやサザンドラに役割を遂行しやすいようにした。
・やどりぎのタネ
実質メインウェポン。昆布戦法との相性が抜群なだけでなく、後続の回復にも使えるため便利だった。
・コットンガード
物理ポケモンへの詰め筋となれるため採用。
「アンコール」は読まれて交代された時のディスアドが大きいので不採用。ステロオフでは見事「はねやすめ」を使用したメガボーマンダに繰り出し、「アンコール」読みで退かせることに成功。「アンコール」は採用せずに相手に読ませるもの。
・みがわり
「やどりぎのタネ」と併せて相手のHPを一方的に削る。すばやさがクレッフィより高いので、安心して状態異常をカット出来る。
●持ち物
長く居座る型なので『たべのこし』。
●努力値配分
「コットンガード」を含め物理を詰ませたいため、ぼうぎょ特化。
【雑感】
ひたすらに受けを重視したパーティを久し振りに使ったが、使用感は非常に良かった。
一度パターンに入ってしまえば、相手によって適切なポケモンで受け回したり、「みがわり」「まもる」連打等の安定行動だけで勝てるため、運要素を極力排除した戦いが出来た。
夜空杯・ステロオフ通して2敗したが、夜空杯準決勝ではかなり意識したはずのバトンパに敗れ、ステロオフ決勝ではわふたーさんのメガフーディン+ランクルスという天敵に近い組み合わせに敗れた。
バトンパ方は事前の想定ではドククラゲの「どくびし」、エアームドの「ふきとばし」、メガゲンガーの「ほろびのうた」「みちづれ」、クレッフィの「でんじは」等多くの対策要素を入れたつもりだったが、ライトが使用したパーティ「ライコウ/バシャーモ/ペンドラー/エーフィ/バリヤード/メガガルーラ」にうまく立ち回られて負けてしまった。「ふきとばし」「でんじは」がエーフィに効かないことはまだ想定内だが、ペンドラーがいることで事前に「どくびし」を撒いてエーフィをやり過ごす戦法は断たれた上、バトンパを倒す切り札として採用した「ほろびのうた」をバリヤードの〔ぼうおん〕で防がれてしまったのは痛かった。一応バリヤードが出てくるターンに攻撃技を当てるかどうかは読みあいだったが、制されてしまった。このことから「ほろびのうた」だけではバトン対策は不十分と感じ、第18回夜空杯で採用した「くろいきり」シャワーズへの着想を得た。
また、わふたーさんのパーティはメガフーディン自体が毒タイプ2匹の構築からして辛く(実際はエスパー技抜きだったようだが)、さらにクレッフィを抜いたことで高速アタッカーの処理ルートが限られてしまったのがマズかった。「どくびし」で削りきる作戦に出ようとしたらグライオンの〔ポイズンヒール〕をトレースされ、メガフーディンが毒で回復する様を見て絶望したw また、ランクルスも特性〔マジックガード〕により「ステルスロック」「まきびし」「どくびし」「やどりぎのタネ」全てのダメージを無効化する天敵であり、改良するのであればこのあたりを厚くするところだと痛感した。
逆に言えば20戦近くこなして2敗しかしておらず、見せ合い画面で「無理」と思ったのはランクルスぐらいだったので、比較的小さな穴で構築をまとめることが出来たように感じた。
昆布構築は自分が第四世代で初めてシングル66を始めた際に「これは面白い!」とこのルールにハマるきっかけでもあったため(性格が悪いとか言わない)、現代でも十分に通用することが分かって良かった。対戦相手の心をへし折ることには何度も成功し、使っていて非常に楽しかったので、いやらしい戦法が好きな人にはオススメしたい。