ユウキのめざめるパワー(氷)

ポケモンバトル考察

【WCS2023】寿司から考察する最新ダブル環境

こんにちは、ユウキです。
シーズン1お疲れ様でした。私はダブルで最終24位を取れました!目標としていたリバティノート掲載圏内で嬉しいです。
今シーズンのダブルランクマはシャリタツ+ヘイラッシャの寿司祭りでしたね。
リバティノートさんが纏めて下さった上位30人のパーティを見ても非常に多かったので、上位で使われていたシャリタツ+ヘイラッシャの型を見ることでシーズン終盤の環境を分析・考察してみました。


トップメタのトレンドを知ること、それすなわち環境を知ること。

それでは下記目次よりDondozo!


★目次

【S1上位30名の型まとめ】

①ペンギン 1位 黄シャリタツ
■ヘイラッシャ@たべのこし 龍 てんねん
ウェーブタックル いっちょうあがり(黄) みがわり まもる
意地227-165-136-73-86-87

②ぶん 5位 黄シャリタツ ※よびみず
■ヘイラッシャ@たべのこし 草 てんねん
ウェーブタックル こおりのキバ あくび まもる
意地225-167-135-76-86-87

③バヤシ 6位 橙シャリタツ ※よびみず
■ヘイラッシャ@たべのこし 草 てんねん
ウェーブタックル じわれ あくび まもる
呑気243-120-165-85-117-49

④さしす 7位 赤シャリタツ
■ヘイラッシャ@たべのこし 飛 てんねん
ウェーブタックル テラバースト あくび まもる
意地241-160-136-76-86-77

Suica 8位 黄シャリタツ ※よびみず
■ヘイラッシャ@たべのこし 飛 てんねん
ウェーブタックル いっちょうあがり あくび まもる
陽気240-143-135-76-85-90

⑥ね 9位 黄シャリタツ ※よびみず
■ヘイラッシャ@たべのこし 妖 てんねん
ウェーブタックル じわれ あくび まもる

⑦たっぴー 14位 黄シャリタツ
■ヘイラッシャ@たべのこし 飛 てんねん
ウェーブタックル テラバースト ねむる まもる

⑧アルタ 18位 赤シャリタツ
■ヘイラッシャ@たべのこし 飛 てんねん
いっちょうあがり(赤) ボディプレス ねむる ねごと
腕白241-120-183-68-102-55

cobalt 19位 赤シャリタツ
■ヘイラッシャ@たべのこし 鋼 てんねん
ウェーブタックル じわれ あくび まもる
慎重257-120-136-65-128-55

⑩たくまる 22位 黄シャリタツ
■ヘイラッシャ@たべのこし 鋼 てんねん
ウェーブタックル ボディプレス ねむる まもる

⑪じーん 30位 赤シャリタツ
■ヘイラッシャ@たべのこし 鋼 てんねん
ウェーブタックル あくび ねむる まもる


【分析結果】

①特性「てんねん」は固定

判明している中では100%のヘイラッシャの特性が「てんねん」だった。
今更説明不要かもしれないが、一応解説する。

「てんねん」は相手の能力変化を無視出来る特性。
今回の結果を見れば分かるようにヘイラッシャがここまで多い環境だとミラーを意識せざるを得ない為、一方的にミラーで不利を取らないように自ずと「てんねん」選択となる。
自身が能力上昇による数値の暴力を押し付けるポケモンなので、相手の積み技による突破を許さないのは非常に嚙み合っている。
注意点としては相手の能力下降も無視してしまう為、通常はデメリットとなる「りゅうせいぐん」の特攻ダウンが実質なくなり連打を許す点、「インファイト」等の耐久ダウンに対しても与ダメージが増えない点あたり。
ミラーがあまりない環境であれば「いかく」へのカウンターとなる「どんかん」も強いが、ここまで多いと流石に選択肢には入らないだろう。
そうなると逆に「いかく」を回すことでヘイラッシャの火力を削ぐ対策法も可能、ということは覚えておきたい。
(ただし火力を削いでも耐久は高いままなので結局「じわれ」等が怖い)

②持ち物「たべのこし」も固定

毎ターン1/16のHPを永続で回復するアイテム。
BD+2と併せて場持ちが良くなり、メインウェポンの「ウェーブタックル」の反動で減ったHPも取り戻せる為相性が良い。
特に「まもる」の採用率も今回技構成が判明している中では10/11と多く、チマチマと回復を挟む動きが可能。
次いで採用の多い「あくび」との相性も抜群で、今回判明しているTOP30の100%は「たべのこし」持ちだった。
「ねむる」採用の場合でも「カゴのみ」で1回即起きするよりも素眠りや「ねごと」のターンにも回復して確定数をズラして行く方が強力と考える人が多い。

③「あくび」採用が多い

直近のトレンドと感じたのは「あくび」入りの増加。確認したところ実に7/11が「あくび」採用だった。
集計結果にも表れているが、特に最終日付近、上位で多く見かけた。
特に合体の有無に関係なく強く使える汎用性が最大の採用理由で、後述するヘイラッシャ単体選出のパターンで活躍する技。
「よびみず」シャリタツ入りの中では4/4と100%が「あくび」採用型。
ヘイラッシャを単体で動かす際(合体前に素で動かす場合、そもそも合体しない「よびみず」シャリタツ入りの場合の双方)において相手の任意のエースアタッカーの動きを止められる為、味方のアタッカー達の行動補佐となる。

④「じしん」採用個体0

これは割と面白い結果だった。
「じしん」は相手2匹に命中する為、一度に2匹を相手しなければならない合体ヘイラッシャとは相性の良い技という認識だ。ついでに味方を巻き込むという唯一のデメリットもシャリタツが隣の場合踏み倒せる上、良くパーティに同居しているニンフィアの「ハイパーボイス」やサーフゴーの「ゴールドラッシュ」による全体技ビートとも相性が抜群だ。
しかし上位では採用個体が存在しなかったのは何故だろうか。少し理由を考えてみる。

そもそもヘイラッシャの技構成は下記がテンプレ化しており、実質4枠目以外はほぼ決まっている。

1.ウェーブタックル:メインウェポン。ほぼ固定
2.まもる:たべのこし回復を挟んだり、シャリタツ以外と並べた際の動きの幅を増やす為にほぼ固定
3.あくび:最近のトレンド。単体性能が光る。

そして4枠目に求められる技の性質を探っていくと「勝てない相手に勝てるようにする技」が欲しいと考えられる。
実際に上位30位の技構成を分析してみると、4枠目に採用されている技は下記の通り。

いっちょうあがり(S上昇):従来は不利なマスカーニャ等を抜けるようになる。対ドラゴン打点
みがわり:テラスを切らずともモロバレルの「キノコのほうし」「クリアスモッグ」対策になる。「じわれ」にも強い
こおりのキバ:従来は不利なマスカーニャモロバレル、ドラゴン勢等への打点。テラス不要がメリットか
じわれ:ミラーで強くなれる。単体性能も上がる
テラバースト(飛):従来は不利なマスカーニャモロバレル等への打点。「じわれ」を無効化出来る
ねむる:ミラーを始めTODを仕掛ける際に強く、ミラー意識の「どくびし」等で崩されない

ここで差が出てくるのが、「じしん」は「勝てない相手に勝てるようにする技」ではなく、「勝てる相手に楽に勝てるようになる技」であること。
「まもる」択を回避して安定した打点をノーリスクで叩き込めるのは魅力的だが、この技がなくともしっかり合体して盤面を作れれば問題なく勝てるのだ。ランクマッチで最上位を目指す上では従来勝てない相手への対抗策を優先すべきであり、結果として「じしん」は不採用となったと推測される。

最上位を狙う必要のないランクマッチ序盤や、限られた試合数で格下相手に取りこぼさないことの重要性が増すインターネット大会では逆に「じしん」にも強みがあると思われる。状況に応じて技の採用価値が変動するのは興味深く、技構成から環境を窺い知れる。

⑤陽気ヘイラッシャはほぼいない

性格は意地っ張りが多く、その他腕白や慎重で耐久重視の育て方もある。
意地っ張りの場合はASベースのアタッカーがメインとなっている。
陽気個体は今回観測した限りでは1匹のみで、その1匹も最速ではない上に合体ヘイラッシャではなかった。
つまり合体ヘイラッシャは素早さに上昇補正は掛けないことが多い為、高速アタッカーでの切り返しを考える場合はまずはS87*2=174以上を指標とすれば良さそう。
(ただし「いっちょうあがり」による加速も考慮しなければならない。S87*2.5=217が次の目安)

ミラーが多い割に最速が多くない、というのは過去の例から見ても割と珍しい現象だ。
トップメタでミラーが多発するようなポケモンはなるべく先手を取りたい為素早さ競争が激化して行き、最終的に最速ばかりになるのがお約束だが、ヘイラッシャは現状そうはなっていない。
これはミラーでの決着方法を考えた場合に、先に動ける=有利とならない場合も存在する点が大きいだろう。
数的有利を取ってからのTODを狙う場合は「みがわり」「まもる」型なら上を取るメリットは大きいものの、それ以外なら耐久を重視した方が良い場面もある。残り匹数が同数でHP割合勝負に持ち込む場合は相手に「じわれ」がないor飛行テラスでケア出来ているのであれば後攻で「ねむる」を選べた方が有利だ。
そもそもお互いの打点が不足しているミラーなので迅速な処理が難しく、先手を取る旨味はそこまで多くない。
更に従来のダブルバトルではそのポケモン同士の有利不利だけでなく「先に相手の隣を殴れるかどうか」で縛り関係に影響が出る側面があったが、合体ヘイラッシャミラーは純粋なシングルバトルとなってしまう為そこを考慮する必要もない。
また、意地っ張りと陽気で抜ける相手がそこまで差がないと言うのも大きいかもしれない。準速では抜けなくて最速にすると抜けるようになるポケモンは環境にいる中ではイッカネズミ、ゲンガー、ルガルガン(昼)くらいしかいない。どうせルガルガンは「すなかき」なので、陽気が活きる場面は少ないように見える。(ゲンガーの「くろいきり」より先に動けるメリットは大きいが、襷を潰せていないと結局動かれる)

こういった理由から今後もヘイラッシャの素早さ競争の激化は緩やかに加速して行くか、このまま横ばいとなるものと思われる。

⑥シャリタツはほぼスカーフ型

全11匹中10匹がこだわりスカーフ型だった。
これは他のアタッカーと並べた際の「こごえるかぜ」によるサポート性能、上から殴れる範囲が広くなることで上昇するタイマン性能を評価してのことだろう。

■シャリタツこだわりスカーフ
りゅうせいぐん だくりゅう こごえるかぜ @1(りゅうのはどう、ねごとetc)

基本的に上から「こごえるかぜ」を通すことで味方の中速アタッカー達の素早さサポートを行うのが中心。
特に強力なのはサーフゴー@こだわりメガネとの並び。上から鋼テラス「ゴールドラッシュ」を通せると一気に数的有利を取れる。
他にもカイリュー@こだわりハチマキも相性が良く、同居していることが多い。

⑦よびみずシャリタツが案外多い

11中4匹が特性「しれいとう」ではなく「よびみず」シャリタツだったのは非常に驚き。
特性が異なることで、下記のように運用上の差が生まれる。

●「しれいとう」シャリタツ
・ヘイラッシャと並べると合体出来る
・ただしヘイラッシャと同時選出時、合体前に動かした際にうっかり失ってしまうと後ほど単体でヘイラッシャを出す羽目になり、ゲームプランが崩れるおそれがある
=強気な技選択がしにくい
・シャリタツ+何かの並びから何か→ヘイラッシャ交代でシャリタツ方向の攻撃を無効化出来る動きが強い

●「よびみず」シャリタツ
・最初から合体しない想定なので、仮に失ってもゲームプランが崩壊しない
=序盤から強気に動かせる
・ヘイラッシャと同時選出時に横に並べても合体してしまわない為、立ち回りに幅が出る
・上記「合体でシャリタツ方向の攻撃をスカす」択を相手が意識して攻撃されにくい
=結果的に捨て気味に動かしても倒されず、アドを取れる場面が増える
・「こごえるかぜ」だけして即倒されても後続のアタッカーを並べられる為強い盤面を維持出来る
=相手目線は「リスキーな択を通して合体阻止した!有利!」と思うがこちら目線は問題になりにくい
・相手の水技を吸える(vsヘイラッシャ、イルカマン、雨パ等で役立つ可能性あり)

このように従来とは異なる動きでアドバンテージを取れる場面は多々あり、上位帯でも刺さっていたことが結果から伝わって来る。
また、「よびみず」シャリタツの場合はヘイラッシャは合体が出来ずに単体で戦うことになるが、構築段階で単体で出す前提の型選択をしている為全く問題ない。
今回「よびみず」シャリタツを採用していた4人中4人が「あくび」型ヘイラッシャの採用となっており、合体せずとも高い耐久から盤面コントロールをするカビゴンのような使い方をしていた。ヘイラッシャミラーでもこちらだけ2匹を並べつつ相手の能力上昇を無視した「あくび」「じわれ」で戦って行ける。

⑧シャリタツの色は黄>赤>橙

採用されているシャリタツの色の傾向にも注目すると、黄:6、赤:4、橙:1の順に多かった。
色によって異なるのは「いっちょうあがり」の追加効果。それぞれ下記の通りとなっている。

黄:素早さUP
赤:防御UP
橙:攻撃UP

素早さUPが対戦に及ぼす影響が一番大きく、加速することでマスカーニャやドラパルト等の従来は抜けない相手も抜けるようになる。
実際に「いっちょうあがり」を採用しているかいないかにかかわらず、選出段階で相手に択を押し付ける性能では黄色が最も強力と言え、採用数もそれが反映された結果となっていると思われる。

次いで多い赤は防御UPだが、要塞化を狙える上に「ボディプレス」との相性が良い。実際に採用しているアルタさんの型は、対物理性能は他の追随を許さない。
ちなみにB183(+2)の「ボディプレス」はA244「インファイト」と同等の火力指数であり、そんな技をデメリットなく連打したり、「いっちょうあがり」で耐久を上げつつ火力を増して来る動きまであるのだから恐ろしい。

橙に関しては攻撃UPはあまり必要な場面がなく、「じしん」同様に「勝てる相手に楽に勝てるようになる技」という側面がある為、相手に警戒させるメリットも少ないことから採用数は少なかったと考えられる。

⑨ミラーの回答から見るメタゲーム

今回印象的だったのは上位勢が寿司ミラーをどう勝つプランを取っているか、というのがある程度可視化された点。
以下のメタ要素がすくみ関係となっている。
(毒はねむるに弱く、ねむるはじわれに弱く、じわれは飛行テラスに弱く・・・)

●毒
・「どくびし」マスカーニャ
・「どくびし」「どくどく」「キラースピン」「どくげしょう」キラフロル
これらの要素は状態異常対策がないヘイラッシャに対して非常に有効で、うまく刺せばある程度のマッチを取れる。
更にミラー以外でも高耐久+たべのこし「まもる」ヘイラッシャとのシナジーがある為、純粋に構築パワーの底上げになる。
最終1位のペンギンさんが「どくびし」マスカーニャを使用していたので今後増える&認知が広まるだろう。

●ねむる
上記毒を始めとした状態異常での対策を許さない。素眠りになるが高耐久のヘイラッシャなら成立する。
ただしシャリタツが「どくびし」を踏むと合体後にターン経過で勝手に倒れてしまい、数的不利を取る可能性があることに注意。

●ラムシャリタツ
上記「どくびし」を踏んだシャリタツが合体後に勝手に倒れる展開を阻止する型。
ヘイラッシャが倒されたターンにシャリタツが無防備になり「キノコのほうし」をされても次以降行動出来る点、ミラーでヘイラッシャの「あくび」型に強く出られる点が偉い。
じーんさんが使用しており、今後「どくびし」「あくび」が増加するのであれば増えてもおかしくない。

●じわれ
浮いていない&「みがわり」のないヘイラッシャに有効。ミラーは行動回数を稼ぎやすいので採用していればほぼ当たるまで撃てる。

●飛行テラスタル
上記「じわれ」による対策への回答。同時に「トリックフラワー」半減、「テラバースト飛行」で草タイプの処理を狙える為人気。
先にテラスタルしておくと「どくびし」を踏まなくなるのも面白い。


【参考】

liberty-note.com





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今回の記事は以上です。最後までお読み頂きありがとうございました。
思った以上に得られる情報が多く、自身の勉強になりました。
情報を公開して下さったトレーナーの皆さん、纏めて下さったリバティノート様、ありがとうございました。
それではまたノシ