ユウキのめざめるパワー(氷)

ポケモンバトル考察

〔WCS2019 ULTRA〕滅びグラカイ

アローラ!ユウキです。
世界大会使用構築を検討した中での没構築紹介コーナー。



【パーティ】
f:id:yuki_rotom:20191018025338p:plain

種族名 性格 技1 技2 技3 技4 持ち物 特性
メガゲンガー 臆病 シャドーボール めざめるパワー(水) ほろびのうた まもる ゲンガナイト のろわれボディ→かげふみ
ガオガエン 生意気 ねこだまし はたきおとす とんぼがえり まもる フィラのみ いかく
ゲンシグラードン 意地っ張り だんがいのつるぎ ほのおのパンチ ドラゴンクロー まもる べにいろのたま おわりのだいち
ゲンシカイオーガ 控え目 しおふき ねっとう れいとうビーム まもる あいいろのたま はじまりのうみ
カプ・コケコ 無邪気 ワイルドボルト マジカルシャイン ボルトチェンジ まもる フェアリーZ エレキメイカ
テッカグヤ 慎重 ヘビーボンバー やどりぎのタネ てっぺき まもる たべのこし ビーストブースト



【概要】
「ほろびのうた」メガゲンガーを軸とした滅びパ。メガゲンの〔かげふみ〕と相性が良いゲンシグラードンカイオーガの2匹を採用している。グラカイどちらも防御的な使い方(天候を書き換えてメガゲンガーを守る使い方)に加えて、有利天候をロックしたまま能動的に殴って行けるキャラでもあるので、攻めに回るか受けに回るかをスイッチしながら戦える。
滅びパと言いつつ周りのパーツは殴れるキャラが多いので、WCS2018で筆者が使用していたBIG-Kのように「殴る勝ち筋」と「滅ぶ勝ち筋」の両方を兼ね備えつつ、適宜使い分けたり、殴って頭数を減らしてから滅びで〆る等の戦い方をするパーティ。


参考:
yuki-rotom.hatenablog.com




【構築経緯】
WCS2018の頃に愛用していた「ほろびのうた」メガゲンガーを軸とした滅びパをWCS2019環境でも組めないかと考えたパーティ。
滅びをメインにするメリットは、技の命中率や追加効果に左右されず、2連「まもる」等でも引っくり返されない堅実な勝ち筋が得られる点。伝説ありルールだと伝説のパワーが高いので、序盤に有利を取ってもこれらの不確定要素から一発逆転が起きやすい。それらの不確定要素を無視して確実に締めに行ける「ほろびのうた」を中心としたゲームメイクが出来るパーティを完成させれば、安定した勝率を目指せるのでは?と取り組み始めた。
まず滅び役のメガゲンと最高に相性の良いガオガエン、そしてカプ(コケコorレヒレ)までの3枠が確定となる。カプの枠はモロバレル等の催眠キャラを腐らせつつ滅びで倒すルートを取るために必要となるが、今回はカイオーガの対策を後述のグラードンに任せる以上、オーガレックの組合せがきつかったのでそこに上から圧力をかけて行けるコケコを採用。
相手のカイオーガ対策として〔かげふみ〕でロックしつつ〔おわりのだいち〕で水技を無効化して対処可能なグラードンを採用。
相手のグラードン対策として〔はじまりのうみ〕からの水技で倒せるようになるカイオーガを採用し、グラカイの形になった。
最後の枠は一貫している地面への耐性、苦手気味なテテフやネクロズマに強いタイプ、そして「ほろびのうた」で苦手なキャラや相手の頭数を減らした後の詰め筋として機能するテッカグヤを採用。
最終的にWolfe氏がNAICで優勝したパーティと1匹違い(Wolfeパはグラードンレックウザ)のメンバーとなったが、構築経緯自体は全く異なるであろうに結果的に類似した見た目になったという偶然は非常に面白い。これらのパーツは縦の相性が良く、ある程度サイクルを回せることも証明されているのは心強い。



【個別解説】
■ゲンガー@ゲンガナイト
臆病 167-**-107-191-123-184
シャドーボール めざめるパワー水 ほろびのうた まもる


シャドーボール
最低限の削り性能を持たせるためのメインウェポン。ゴーストタイプやエスパータイプと撃ち合う場合を考えてこちら。

・めざめるパワー水
ゲンシカイオーガとセットで相手グラードンの迅速な処理ルートになる。かなり地面が一貫している構築なのでグラードンの行動を許さずに上から縛れるこの技の優先順位が高め。

・ほろびのうた
最強技。主にゼルネアス絡みで猛威を振るう。

・まもる
必須技。隙を生むので慎重に選択する。


努力値配分
・A232メガレックのガリョウ76.1%耐え
・A255メガレックのガリョウ35.4%耐え
・C201メガレックの珠大地14/16耐え
・C255ゲンシオーガの雨熱湯確定耐え
・S最速メガレックウザ抜き

耐久を最重要視した配分。場合によってメガレックを上から殴りたいので、そこを最低ラインとして残り全てを耐久に回した。特にメガレックを意識しており、ガオガエンとの並びでメガレックが『こだわりハチマキ』でも『いのちのたま』+「だいちのちから」でも生存が狙えるようにした。これによりレック入りとの対戦時の立ち回りが楽になり、滅びでレックを処理しやすくなる。



ガオガエン@フィラのみ 〔いかく〕
202-135-111-**-156-58
ねこだまし はたきおとす とんぼがえり まもる


●技構成
ねこだまし
滅びパの中核を成すギミック1。

・はたきおとす
ここのメインウェポンを悪技か炎技かで選択だが、炎打点はグラードンに任せて悪技。〔かげふみ〕無効のゴーストやエスパーに威力を出せる上に、『こだわりスカーフ』を落としてメガゲンのサポートが出来るのでこの技。

・とんぼがえり
滅びパの中核を成すギミック2。グラカイの無償降臨からの制圧も狙える。

・まもる
滅びパの中核を成すギミック3。狙われやすく刺さる場面が多い。


努力値配分
・HD特化
・S最遅
不意の不一致「きあいだまZ」等で即死しないように特化。物理方面は〔いかく〕があればほぼ事足りる。


●持ち物
HPを回復し、「ねこだまし」の試行回数を稼げるようになる『フィラのみ』。



ゲンシグラードン@べにいろのたま 〔おわりのだいち〕
意地っ張り 193-234-181-**-142-112
だんがいのつるぎ ほのおのパンチ ドラゴンクロー まもる


●技構成
だんがいのつるぎ
カイオーガへの蓄積重視で物理型。「とんぼがえり」で〔かげふみ〕を抜けてくるガオガエンも迅速に処理が狙える。

・ほのおのパンチ
物理型のメインウェポン。威力・命中安定で「ワイドガード」にも引っ掛からない。

・ドラゴンクロー
レックウザボーマンダを倒すor削るために採用。これらに打点があることで滅び以外の処理ルートが増え、ゼルネレック等にも出しやすくなる。

・まもる
滅びのターン調整で必須。


努力値配分
・「ドラゴンクロー」でB(-1)の181-120メガレックウザを94%で1発
・Wダメージ「だんがいのつるぎ」で202-117ガオガエンまで1発
・C207ルナアーラの「ルナアーラZ」15/16耐え
・C222ゲンシグラードンの「だいちのちから」確定耐え
殴り合いや後投げに有利な耐久重視の配分。メガレックウザとの殴り合いを意識したこうげき。



ゲンシカイオーガ@あいいろのたま 〔はじまりのうみ〕
控え目 205-**-142-222-181-111
しおふき ねっとう れいとうビーム まもる

・しおふき
うまく着地させた状態で一番強い技。

・ねっとう
命中安定でグラやガエンを処理したい場面があるので、欲張らずに採用。「ワイドガード」対策。

れいとうビーム
レックウザボーマンダ、草タイプへの打点。

・まもる
滅びのターン調整で必須。


努力値配分
・A232メガレックウザの『こだわりハチマキ』+「ガリョウテンセイ」確定耐え
・A255メガレックウザの『こだわりハチマキ』+「ガリョウテンセイ」65.9%耐え
・A255ゲンシグラードンのWダメージ「だんがいのつるぎ」ほぼ2発耐え(命中込75.4%で生存)
・雨「ねっとう」で200-156ガオガエンを15/16で1発
・「れいとうビーム」でD(-1)の192-120メガレックウザを1発
こちらも殴り合いや後投げを意識した耐久重視の配分。レックウザに殴り勝てるように調整。



■カプ・コケコ@フェアリーZ
無邪気 157-150-106-121-85-200
ワイルドボルト マジカルシャイン ボルトチェンジ まもる


●技構成
ワイルドボルト
仮想敵のカイオーガへの打点重視で物理技。


マジカルシャイン
仮想敵のレックウザへのZワザのベース。


ボルトチェンジ
相手の削りとコケコ温存を両立可能な技。他天候とのマッチングにおいて〔かげふみ〕を絡めた天候維持に便利。

・まもる
盤面に維持して制圧力を保つ技。滅び展開でも必要になる。


努力値配分
・EF「ワイルドボルト」で207-111ゲンシカイオーガ15/16で1発
・「マジカルシャインZ」で181-121メガレックウザ確定1発
・A232(+2)メガレックウザの「しんそく」耐え
・S最速
オーガレック意識の枠なのでそれぞれにタイマンで勝てるような配分。


●持ち物
メガレックウザウルトラネクロズマを上から縛る『フェアリーZ』。



テッカグヤ@たべのこし 〔ビーストブースト〕
慎重 204-121-123-**-165-85
ヘビーボンバー やどりぎのタネ てっぺき まもる


●技構成
・ヘビーボンバー
ゼルネアスやカプ・テテフへの遂行技となるメインウェポン。

やどりぎのタネ
強力な詰め技。この技の性能のお陰で相手からの打点が少なければ1vs2からでも勝ててしまう。

・てっぺき
テッカグヤで詰ませる勝ち筋が増える。ゲンシオーガで炎技を防いだり「ねこだまし」と併せて積むことで物理グラードンガオガエンに無理やり勝てるように。

・まもる
狙われやすいので必須技。「やどりぎのタネ」『たべのこし』の回復を稼げる。


努力値配分
・S84ガオガエン+1
ガオガエンに対して先制で「てっぺき」を狙いたいため調整。残りは特殊耐久に全振り。


●持ち物
出す場合は粘り強く何ターンもかけて試合展開するため、長期的な目で見て回復量が多くなる『たべのこし』。




【選出】
●基本選出
先発:ゲンガー+ガオガエン
後発:カイオーガグラードン
最もパワーが高い選出。初手から滅び展開を狙う場合もあるが、ガオガエンの後攻「とんぼがえり」から伝説どちらかを出して〔かげふみ〕から「しおふき」「だんがいのつるぎ」を一貫させる攻撃的な展開も可能。
グラードン強い雨になってもメインウェポンが腐らないが、カイオーガは強い日差しで水技が撃てなくなるので繰り出す順番には注意が必要。


●対バレル入り
先発:ゲンガー+カプ・コケコ
後発:ガオガエングラードン(カイオーガ)
バレル入りは催眠対策となるコケコを選出し、フィールドで催眠技を無効化した上で滅び展開を狙う。



●対カイオーガ
先発:ゲンガー+カプ・コケコ
後発:ガオガエングラードン
グラードン交代による水技蒸発や、上からの電気技での圧力を活かして有利に立ち回っていく。


●対グラードン
先発:ゲンガー+ガオガエン
後発:カイオーガテッカグヤ
地面が一貫しやすいのでカイオーガ交代で天候上書きからの「めざめるパワー(水)」でグラードンを行動させずに倒すことを第一目標にプランニングする。2戦目以降ケアされるので、うまく天候合戦でカイオーガを後投げして負担をかける立ち回りを意識する。最悪「てっぺき」テッカグヤによる詰ませルートも見据える。


●対オーガレック
先発:ゲンガー+カプ・コケコ
後発:ガオガエングラードン(カイオーガorテッカグヤ)
カプ・コケコでレックウザカイオーガを睨みながら展開する。レックウザを処理してしまえばグラードンで詰められる場合も多いので、狙えそうなら積極的に狙う。それでもエアロック+カイオーガが重いので、グラードンは出さない場合もある。万遍なくどのパーツも選出可能な技構成にしているので、取り巻きによって臨機応変に。


●対ゼルネレック
先発:ゲンガー+ガオガエン
後発:テッカグヤグラードン


大体の場合有利マッチング。滅びでゼルネに隙を見せないだけでなく、〔いかく〕でレックウザの処理もしやすい。レックに炎技がなければテッカグヤでの詰めを狙うのも有効。



【雑感】
・伝説戦でも滅びルートを取れるタイミングは割とある
メガゲンガーの盤面支配力が高く、常に自分の有利な天候を維持出来た
・天候を維持したグラカイは強い
テッカグヤは良い相性補完になった。単体で詰ませられるキャラが多く、勝ち筋として強力
メガゲンガーへの依存度が高過ぎて、事故死するとかなり厳しい
・すばやさ操作がないので、相手のすばやさ操作への切り返し手段が滅びしかない
メガゲンガーミラーのスマートな解決策がない(こちらだけ出さないと不利だが、出しても同速ゲーになる)
・伝説戦に限らず、メガゲン軸の構築はミラーをいかにうまく対策しつつこちらは基本戦術を通すかが難しい