ユウキのめざめるパワー(氷)

ポケモンバトル考察

サクラバトン概論 〜サクラバトン戦術基礎・弱点・対処法〜

【緒論】

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
55 84 105 114 75 52 すいすい/潤いボディ

例:波乗り/冷凍B/殻を破る/バトンタッチ@白いハーブ <すいすい>


皆さんはサクラビスというポケモンをご存じだろうか。
サクラビスは、「殻を破る」という強力な積み技と、その能力変化を自分の他のポケモンに引き継ぐ
「バトンタッチ」という補助技を両立出来る数少ないポケモンとして知られている。
(他にこの2つを両立出来るのは同系統のハンテールと全ての技を使えるドーブルのみ)。
「殻を破る」は自身の攻撃・特攻・素早さの3つの能力を2段階上昇させ(=2.0倍)、
それと引き換えに自身の防御・特防を1段階下げる(=約0.67倍)という効果を持つ積み技であり、
その攻撃面においての性能の高さから第五世代を象徴する壊れ積み技として有名である。
この技を使えるだけでも充分過ぎるのに、このポケモンには「バトンタッチ」があるため、
「殻を破る」を使えない強力なアタッカー全てに疑似的にこの効果を付与することが可能となる。
この技のデメリットである防御・特防1段階ダウンもアイテム「白いハーブ」があれば即解消され、
バトン先にはACS2倍という能力上昇だけが引き継がれるという理想的なコンボとなる。


自身が特攻114という高さと水タイプという優秀なタイプから単体で全抜きを狙えるような性能を持ち、
更には自分では突破出来ないポケモンに遭遇したりHPがもたないと判断したら「バトンタッチ」で
その能力変化をそのまま後続に引き継ぐことが出来るというこのコンボは非常に強力な戦術であり、
このサクラビスをメインとした戦術及びパーティはBW発売以来研究が進められて来た。
本記事ではこのサクラビスの「殻を破る」+「バトンタッチ」をメインとした戦術を
「サクラバトン」戦術と呼び、その基礎から弱点と対処法についてまで論ずる。
普段からサクラバトンを使っている人、これから使ってみたいと興味を持っている人、
またサクラバトンに苦しめられ続けて対策に頭を抱えている人にとっても
有用な記事となるよう心掛けて書いたつもりなので、是非今後のバトルに役立てて欲しい。



【基本の流れ】
サクラバトンを使った戦術の基本的な流れは以下のようになる。


1.「サポーター」ポケモンで場を整える
2.「サポーター」を退場させ、サクラビスを場に出す
3.サクラビスで「殻を破る」を使用
4.サクラビスが止まるor倒れそうになるまで攻撃
5.「バトンタッチ」で3匹目の「アンカー」ポケモンに繋ぐ
6.「アンカー」で全抜きを図る


「サポーター」はその名の通り場を整えてサクラビスのサポートを行うポケモン
「アンカー」は最後に控えた1匹でありサクラビスで全抜き出来なかった場合に「バトンタッチ」を受けて
サクラビスの代わりに全抜きを狙いに行くポケモンのことである。


基本選出は「サポーター」「サクラビス」「アンカー」の3匹となり、場に出す順番も通常この通りとなる。
4〜5の間の判断基準はトレーナーに任せられることになるが、サクラビスだけで全抜きが可能な場合は
4までで試合が終わることもあるし、5のタイミングをミスってしまうとそのまま負けてしまうこともある。
それではサクラバトンを語るのに欠かせない「サポーター」「アンカー」の2つの要素について詳しく述べる。



【サポーター】
サクラビスが単体で「殻を破る」を使用するには多少無理があるのは種族値を見れば明らかだろう。
パルシェンのように片方の耐久が極端に高い訳ではなく、素早さも低い。弱点もメジャーなものなので、
うまく使用するタイミングを狙わないと安易に積ませてはもらえないのが現状だ。
そこで、サクラバトンをメインとした戦術ではサクラビスが「殻を破る」をしやすいような環境を作る
ためのサポーターとなるポケモンが必要となって来る。
基本的に「リフレクター」「光の壁」を使った耐久サポートがメインとなり、持ち物は壁の持続ターンを
通常の5ターンから8ターンまで延長することが出来る「光の粘土」が推奨される。
サポーターに求められる資質は以下の通り。


・「リフレクター」「光の壁」を覚えること
・自主退場技を覚えること(壁のターンを無駄にせずにスムーズかつ安全に後続に繋ぐ方法)
・ある程度の耐久
・ある程度の素早さ
サクラビスと弱点が被っていないこと


これらの条件に適うポケモンをピックアップすると以下のようになる。
ポケモンのメリット・デメリットについても述べておく。


ラティオス

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
80 90 80 130 110 110 浮遊

・「置き土産」による自主退場+後続の耐久補佐
・S110という高さ
・「拘り眼鏡」等のアタッカーも多いため型が読まれにくい
サクラビスの弱点2つを半減する


ラティアス

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
80 80 90 110 130 110 浮遊

・「癒しの願い」による自主退場(回復のメリットはサクラバトンの場合小さい)
・S110という高さ
ラティオスより耐久が高い
サクラビスの弱点2つを半減する


アグノム

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
75 125 70 125 70 115 浮遊

・「大爆発」による自主退場(「身代わり」に強く、火力も高い)
・S115という高さ 相手のラティオスを抜けるのは大きい
・「挑発」による起点回避性能
・「ステルスロック」での全抜き補佐


ユクシー

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
75 75 130 75 130 95 浮遊

・非常に高い耐久
・「置き土産」による自主退場+後続の耐久補佐
・「欠伸」による起点回避性能
・「ステルスロック」での全抜き補佐
・補助技のイメージが強いため「挑発」をされやすい


エムリット

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
80 105 105 105 105 80 浮遊

・「癒しの願い」による自主退場(回復のメリットはサクラバトンの場合小さい)
・「ステルスロック」での全抜き補佐


クレセリア

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
120 70 120 75 130 85 浮遊

・非常に高い耐久
・「三日月の舞」による自主退場(回復のメリットはサクラバトンの場合小さい)
・補助技のイメージが強いため「挑発」をされやすい


エルフーン

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
60 67 85 77 75 116 悪戯心/すり抜け/葉緑素

・S116+特性「悪戯心」により先手でのサポートが可能
・「置き土産」による自主退場+後続の耐久補佐
・「アンコール」「挑発」の存在による起点回避性能
サクラビスの弱点2つを半減する
・「リフレクター」を覚えない


サーナイト

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
68 65 65 125 115 80 シンクロ/トレース/テレパシー

・「置き土産」による自主退場+後続の耐久補佐
・「癒しの願い」も可能ため場合により先発以外の起用も視野
・「挑発」「アンコール」の存在による起点回避性能
・物理耐久に不安が残る


エルレイド

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
68 125 65 65 115 80 不屈の心/正義の心

・「置き土産」による自主退場+後続の耐久補佐
・「挑発」「アンコール」の存在による起点回避性能
バンギラス等の悪タイプに強い
・物理耐久に不安が残る


メタグロス

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
80 135 130 95 90 70 クリアボディ

・「大爆発」による自主退場(威力が高い)
・型が多いため読まれにくい
・素早さに不安が残る


ジバコイル

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
70 70 115 130 90 60 磁力/頑丈/アナライズ

・「大爆発」による自主退場(威力は低い)
・特性「頑丈」により一撃で倒されない
エスパーの多いサポーターが苦手なゴースト悪耐性
サクラビスの弱点2つを半減する
・素早さに不安が残る


■ピクシー

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
95 70 73 85 90 60 メロメロボディ/マジックガード/天然

・「癒しの願い」による自主退場(回復のメリットはサクラバトンの場合小さい)
・特性「天然」により積み技に強い
・「アンコール」による起点回避性能
・素早さに不安が残る


自主退場技を覚えないポケモンまで候補に入れるときりがないのでこの程度とする。
基本的にサポーターは素早い程サポートを行いやすいので、素早さは重視しておきたい。
筆者自身の経験では110族以上が相手からの先手での妨害も受けにくく好ましいため、
ラティオスアグノムエルフーンあたりは特に使い勝手がいいと感じた。



【アンカー】
サクラバトン戦術には「バトンタッチ」先となるポケモンが必要となる。
本記事ではサクラビスからバトンを受け取るポケモンを「アンカー」と表記する。
このアンカーにあたるポケモンに求められる性能は以下の通り。


・全抜き性能(高い火力・広い攻撃範囲)
・高い素早さ(2段階上昇でほぼ全ての相手を抜ける程度)
・状態異常耐性(特に悪戯心+電磁波耐性)
サクラビスと弱点が被っていないこと(草・電気耐性があると尚良し)
・場持ちの良さ


以下にこれらの条件に適うポケモンをピックアップする。


キノガッサ

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
60 130 80 60 60 70 胞子/ポイズンヒール/テクニシャン

例:キノコの胞子/身代わり/タネマシンガン/ローキック@毒毒玉 <ポイズンヒール
・A130と攻撃範囲の広さ
・「キノコの胞子」による誤魔化し性能の高さ
・「キノコの胞子」+「身代わり」ループの崩しにくさ
・「ポイズンヒール」による状態異常耐性+場持ちの良さ
・連続技「タネマシンガン」による「気合の襷」耐性
サクラビスの弱点2つを半減


ローブシン

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
105 140 95 55 65 45 根性/力尽く/鉄の拳

例:ドレインパンチ/マッハパンチ/空元気/雷パンチ@火炎玉 <根性>
・A140と攻撃範囲の広さ
・低い素早さをカバーする「マッハパンチ
・「火炎玉」+「根性」による状態異常耐性
・「ドレインパンチ」による場持ちの良さ
・定数ダメージが痛いので時間稼ぎに弱い
・「マッハパンチ」耐性がある高速ポケモンが辛い


ガブリアス

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
108 130 95 80 85 102 砂隠れ/鮫肌

例:逆鱗/ダブルチョップ/地震/火炎放射@気合の襷 <鮫肌>
・A130と攻撃範囲の広さ
・高い素早さ(天候補正ありのキングドラドリュウズも抜ける)
・連続技「ダブルチョップ」による「気合の襷」耐性
・電気無効(「電磁波」無効)



カイリュー

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
91 134 95 100 100 80 精神力/マルチスケイル

例:逆鱗/炎のP/神速/地震@ラムの実 <マルチスケイル>
・A134と攻撃範囲の広さ
・「マルチスケイル」により一撃で倒れにくい
・草耐性
・優先度+2の「神速」による「悪戯心」持ち耐性


ハッサム

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
70 130 100 55 80 65 虫の知らせ/テクニシャン/ライトメタル

例:バレットパンチ/虫食い/ダブルアタック/馬鹿力@命の珠 <テクニシャン>
・A130と攻撃範囲の広さ
・草耐性
・連続技「ダブルアタック」による「気合の襷」耐性
・先制技メインによる「トリックルーム」耐性


ルカリオ

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
70 110 70 115 70 90 不屈の心/精神力/正義の心

例:インファイト/神速/冷凍P/噛み砕く@気合の襷 <正義の心>
・A110C115と攻撃範囲の広さ
・草耐性
・S90という高さ(天候補正ありのキングドラドリュウズも抜ける)
・優先度+2の「神速」による「悪戯心」持ち耐性


エレキブル

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
75 123 67 95 85 95 電気エンジン/やる気

例:10万ボルト/めざめるパワー氷/火炎放射/クロスチョップ@達人の帯 <電気エンジン>
・A123C95と攻撃範囲の広さ
・S95という高さ(天候補正ありのキングドラドリュウズも抜ける)
・「電気エンジン」による電気無効(「電磁波」無効)


ボルトロス霊獣

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
79 105 70 145 80 101 蓄電

例:10万ボルト/めざめるパワー氷/草結び/気合玉@達人の帯 <蓄電>
・C145と攻撃範囲の広さ
・S101という高さ(天候補正ありのキングドラドリュウズも抜ける)
・草耐性+「蓄電」による電気無効(「電磁波」無効)


ドリュウズ

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
110 135 60 50 65 88 砂かき/砂の力/型破り

例:地震/アイアンヘッド/岩雪崩/燕返し@気合の襷 <型破り>
・A135と攻撃範囲の広さ
・電気無効(「電磁波」無効)


マンムー

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
110 130 80 70 60 80 鈍感/雪隠れ/厚い脂肪

例:地震/氷柱針/氷の礫/馬鹿力@気合の襷 <厚い脂肪>
・A130と攻撃範囲の広さ
・連続技「氷柱針」による「気合の襷」耐性
・電気無効


■エーフィ

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
65 65 60 130 95 110 シンクロ/マジックミラー

例:アシストパワー/シャドーボール/めざめるパワー炎/草結び@達人の帯 <マジックミラー>
・C130と攻撃範囲の広さ
・S110という高さ(天候補正ありのキングドラドリュウズも抜ける)
・「アシストパワー」の威力の高さ
・「マジックミラー」による状態異常耐性+「吠える」等の妨害技耐性


ジバコイル

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
70 70 115 130 90 60 磁力/頑丈/アナライズ

例:10万ボルト/ラスターカノン/めざめるパワー炎/シグナルビーム@達人の帯 <頑丈>
・C130と攻撃範囲の広さ
サクラビスの弱点2つを半減する
・特性「頑丈」により一撃で倒されない


ヒードラン

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 特性
91 90 106 130 106 77 貰い火

例:火炎放射/ラスターカノン/めざめるパワー草/悪の波動@達人の帯 <貰い火>
・C130と攻撃範囲の広さ
・草耐性



多くのポケモンがアンカー候補に挙がったが、バトン成功後の全抜きのしやすさを一番に考えて欲しい。
筆者の考えでは一度パターンに入ればよほどのことがない限り勝ちが揺るがないキノガッサが最適だと
いう結論に至ったため、メインのアンカーはポイズンヒールキノガッサをオススメする。
また、型の例ではサクラバトンを受けることを前提にフルアタックで攻撃範囲を最大限広げたものを
紹介したが、実際にはバトンへの依存度を下げて単体で機能するように積み技を覚えるポケモンには
積み技を覚えさせておいた方が汎用性は高くなる。ここで紹介したポケモンの多くが剣の舞や悪巧み等の
積み技を覚えるので、パーティに組み込む際は視野に入れて欲しい。



【弱点とその対処法】
サクラバトン戦術は強力ではあるが、多くの弱点がある。
自分で使用する場合にはこれらの弱点への対策がきちんと行えているかをよく考えて構築を進めて欲しい。
また、サクラバトン対策に頭を抱えている人がいたらこれらの要素を加えてみると多少は楽になるだろう。
以下にサクラバトンが弱点とする要素の一覧を示す。


1.「挑発」
2.「吠える」「吹き飛ばし」「巴投げ」「ドラゴンテール」「レッドカード」
3.「滅びの歌」
4.「宿木のタネ」
5.「呪い」(ゴーストタイプ限定)
6.「トリックルーム
7.ソーナンス(「影踏み」+「アンコール」)
8.メタモン(特性「変わり者」でのエースの能力コピー)
9.特性「天然」
10.こちらより先に決定力を発揮してくる相手
11.初手でこちらのサポーターを先制で一撃で倒してくる相手


ではそれぞれについての詳しい解説及び対処法について述べる。
ここでは筆者が現時点でサクラバトンの結論形としている「アグノムサクラビスキノガッサ」を
ある程度前提にした対処法についても触れているので、念頭に置いて欲しい。


1.「挑発」
使用者例:ボルトロス トルネロス エルフーン クロバット アグノム ギャラドス ヒードラン etc
これは天敵中の天敵で、最も気を付けなければならない。対策の優先度は最高ランク。
挑発を受けてしまうとサポーターの「リフレクター」「光の壁」等のサポート技が不発になり、
更にサクラビスも「殻を破る」「バトンタッチ」が封じられてしまう。
よって「挑発」を覚えるポケモンに隙を与えると、そのままパーティが何も出来ずに崩壊しかねない。
ではどう対策していくのが良いのか。対策としては3種類ある。


・相手に「挑発」する暇を与えない
これは目の前にいる相手に「挑発」なんて悠長な真似をしていたらマズいと思わせればいい。
例えばラティオスは比較的アタッカー率が高く、また挑発持ちとの殴り合いに有利なため、
挑発のの使用そのものを躊躇わせたり、挑発を受けてもそのまま打ち勝てる可能性が高いため有効。
挑発持ちに強いポケモンを先発に出せばある程度初手の挑発持ちには隙を見せずに立ち回れるため、
先発に出しやすいポケモン(サポーターの代替ポケモン)にこれらに強いポケモンを採用するのも有効。
過去に筆者が試した例ではカバルドン(+ドリュウズ)やマンムー等。


・相手より先に「挑発」をして相手に「挑発」を出させない
アグノムは高い素早さのお陰で115族以下のポケモンの「挑発」を軒並みシャットアウト出来るため有効。
しかし「挑発」を優先度+1で繰り出してくる「悪戯心」ボルトロストルネロスエルフーン等には無力。
よってこの対策法は相手が鈍足か非「悪戯心」の場合にしか有効ではない。
悪戯心持ちで最速のエルフーンに「挑発」を採用してサポーターに起用すればこの問題はだいぶ解決出来るが、
エルフーンは「リフレクター」を覚えないというのがネックとなっている。


・「挑発」を無効化する
持ち物「メンタルハーブ」や特性「マジックミラー」であればこの技の影響を無視出来る。
ただし「メンタルハーブ」は効果が1回きりなので一度無効化しても次のターンに再度くらったら意味がなく、
サポーターがこの持ち物を持つと「光の粘土」がないせいで壁のターンが一気に短くなってしまう。
サクラバトンを行うにあたって壁ターンの長さは重要となってくるので、メンハの採用は極力避けたい。
「マジックミラー」は「挑発」だけでなく「吠える」「吹き飛ばし」等の補助技も全て無効化しつつ
相手に跳ね返すことが出来る素晴らしい特性だが、現状ではエーフィとネイティオの2匹しか使えない。
ネイティオは弱点も多く耐久も素早さもハンパなので、エーフィで「リフレクター」「光の壁」を貼ること
になるが、エーフィは後続に安全に繋ぐ技(自主退場技)を持たないのがネック。
一応「願い事」を使ってから手動で交代すれば交代際のダメージを抑えつつサクラビスに繋げられるが、
壁ターンを余計に消費してしまう。また、かなり脆いとされているアグノム以上に物理耐久に大きな不安が
残るため、決定力の高い「こだわりスカーフ」持ちに常に怯える羽目になる等のデメリットも目立つ。
それらのデメリットに目を瞑ることが出来ればマジックミラー自体は非常に優秀なので、うまく使えれば
アグノムラティオス以上に安定したサポーターとなれるだろう。
第六世代でもっとサポーター向けのポケモンで「マジックミラー」持ちが現れることに期待。


2.「吠える」「吹き飛ばし」「巴投げ」「ドラゴンテール」「レッドカード」
使用者例:カバルドン エアームド スイクン ニョロボン バンギラス etc
バトンタッチ戦法だけでなく積み技を使った戦法全般に対する強力なカード。
これらの技やアイテムで強制交代させられるとせっかくの苦労が水の泡になってしまうので対策したい。
アイテム「レッドカード」に関しては現状使用者がほとんどいない上に誰が持っているか分かりにくいので
対策の範囲外とする。持っているのが分かったとしても対策すること自体非常に難しいアイテムなので、
今後あまり流行らないことを祈るしかない。とはいえ汎用性はそこまで高くないので心配無用か。
「吠える」「吹き飛ばし」に関しては採用率は無視出来ない程度にはあるので構築・選出時から意識したい。
対策としては以下の通り。


・「挑発」で防ぐ
補助技である「吠える」「吹き飛ばし」にしか有効ではないため不完全ではあるが汎用性は高い。
アグノムのような「挑発」持ちがサポーターであれば、対面している「吠える」「吹き飛ばし」に対しては
これらの行動を封じつつサクラビスに繋ぐことが出来る。
ただし相手がアグノムとこれらのポケモンを対面させず、後続からうまくサクラビスと対面させられると
サクラビスが相手を一撃で倒せないと飛ばされてしまうことには注意。


・「マジックミラー」で跳ね返す
バトン先がエーフィやネイティオなら「吠える」「吹き飛ばし」を相手に跳ね返すことで完全に無力化出来る。
エーフィ自体は「アシストパワー」等もあるためサクラバトンのアンカーとしての性能は比較的高く、
先述したサポート要員としてよりはこちらのアタッカーとしての採用の方がまだチャンスはあるだろう。


・特性「吸盤」で強制交代そのものを無効化
「巴投げ」「ドラゴンテール」「レッドカード」も含めて強制交代そのものを根本的に無効化出来るため、
対策としては最上位。しかし使用可能なポケモンユレイドルとオクタンのみなのでかなり限定的。
オクタンは攻撃範囲は広いもののサクラビスと弱点が丸被りなので、ユレイドルの方がまだ現実的だろうか。
しかしユレイドル自体素早さも火力も攻撃範囲もハンパな印象なので全抜きアタッカーには不向き。
岩タイプのせいでマッパとバレパンが抜群になってしまうのも足を引っ張っている。


・特性「防音」で無効化(「吠える」限定)
「吠える」は音を使った技なので「防音」で無効化出来る。後述の「滅びの歌」も無効化出来るため、
アンカーとしては有効な特性に思われる。しかし「吹き飛ばし」の採用率も高いので対策として完璧ではなく、
また使用可能なポケモンマルマインバリヤードバクオングトリデプスユキノオーバッフロン
揃ってパッとしないポケモンばかりなのであまり実戦向けではないか。
バリヤードは自分自身が積み技と「バトンタッチ」、そして「アンコール」を覚えるためうまく組み込めれば
化けるかもしれない。ユキノオーサクラビスとの縦の相性も悪くないので採用圏内だが、キノガッサと比べ
色々と不安定なので「吠える」や「滅びの歌」耐性だけで採用する価値があるかは微妙なところ。


・「身代わり」を使う(「巴投げ」「ドラゴンテール」限定)
これらの2つは攻撃技なので「身代わり」を使うことで対処出来る。
キノガッサ等で「身代わり」をうまく使えば、交代させられることなく相手を突破することも可能。
壁が残っていれば「身代わり」がこれらの攻撃を受けても残る可能性が高く、また命中90なのを逆手に取って
外れるまで連打するのも有効になる。一度「身代わり」を残せれば本体にこれらの技を被弾するまでに1ターン
猶予が出来るため、そこから一気に突破を図ろう。
また、これらの技の使用者がキノガッサより遅く、催眠耐性がない場合は「キノコの胞子」から「身代わり」を
残しに行く立ち回りで余裕を持って黙らせることが出来る。


・これらの技を持っているポケモンを行動させずに倒す
最も現実的な対策法としてはこれ。行動される前に倒すことが出来れば何ということはないのだ。
例えば「吠える」「吹き飛ばし」持ちのカバルドンなんかはサクラビスの殻を破る波乗りで一撃で倒れるので、
アグノムの「挑発」も併せるとこれらの技を出されることはまずない。
厄介なのは特性「頑丈」により一撃では倒されないエアームドや、殻を破る後のサクラビスの技を耐えてくる
スイクン等だ。このあたりはアグノムの「挑発」だけでなく、キノガッサの「キノコの胞子」をうまく使い
対処して行く。「キノコの胞子」があれば相手が行動不能なターンを強制的に1〜3ターン生み出せるため、
その隙に相手を倒すことが出来れば一撃で倒せずとも問題はない。


・最後の1匹で積み技を使う
自分の手持ちを残り1匹にしてしまえば強制交代技は失敗する。
よって前もって自分の他のポケモンを敢えて倒させることで悠々とラス1のポケモンで積み技を使い、
そこから全抜きを仕掛けて行くというのも立派な対策法となる。


3.「滅びの歌」
使用者例:ニョロトノ ゲンガー ムウマージ ラプラス ヤミカラス etc
正直ニョロトノ以外はマイナーばかりなのでどうでもいいのだが、雨パのニョロトノはメジャーな上に
滅び所持率が高いので無視は出来ない。この技の効果は「バトンタッチ」で引き継がれるため、
バトン前提の戦術には非常に厄介な存在となる。対処法は以下。


・歌わせない
これが最良の対策。アグノムの「挑発」は「滅びの歌」だけでなく「アンコール」も封じられるため、
ニョロトノが持つ起点回避性能・コンボ妨害性能をことごとく潰すことが出来る。
サクラビスニョロトノの処理に時間がかかってしまうが、キノガッサは有利なのでキノガッサを先に出して
「キノコの胞子」や「タネマシンガン」で展開して行けばニョロトノに掻き乱されることはないだろう。
アグノムの「大爆発」をニョロトノに当てることが出来れば、サクラビスの攻撃でニョロトノを倒し切ることも
視野に入れた立ち回りが可能になる。


・3ターン以内に相手を全員倒す
次の策として有効。ラティサクラガッサの頃は「挑発」がないせいでよくこの方法を取ることがあった。
方法は簡単で、相手が「滅びの歌」を使用してもお構いなしに攻め続けるだけである。
歌った次のターンから3ターンで滅びのカウントが0になるので、残された3回の攻撃回数で相手のポケモン
全てを倒し切ることが出来れば勝ちなのだ。相手に「守る」等の時間稼ぎの手段があると厳しいが、
そうでない場合はバトン後のポケモンの攻撃が一貫していれば相手が交代で凌ごうがそれぞれを一撃で粉砕し、
3ターンで3匹倒すことも可能なはずだ。特にバトンタッチが成功したキノガッサの攻撃を雨パーティが
凌ぎ切るのは困難だったが、BW2になり霊獣ランドロス/トルネロス/ボルトロスを組み込んだ雨パーティ
が増えたため、キノガッサの攻撃が前よりも一貫しにくくなってしまった。
これを考えるとやはりアグノムを中心にしてなるべく歌わせない立ち回りをする方が有効だと思われる。


・カウントが0になる前に交代でリセットする
こちらの残りポケモン数に余裕があれば、滅びのカウントが0になるまでは適当に暴れて相手を削り、
最終ターン付近で交代することでカウントをリセットすることも有効だったりする。


・「防音」で無効化
滅び対策としてはこの上なく有効な手段ではあるのだが、先述の通り使用可能なポケモンが微妙なので
汎用性も含めると非現実的。


4.「宿木のタネ」
使用者例:ナットレイ ユキノオー フシギバナ キノガッサ エルフーン モジャンボ etc
この技も「滅びの歌」同様「バトンタッチ」で引き継がれるので要注意。
キノガッサは草タイプなので「宿木のタネ」を無効化出来るが、草タイプが持つこの特性はあくまで
「技を受ける瞬間にそれを防げる」という効果であり、「宿木のタネ」が植えつけられた状態のポケモンから
「バトンタッチ」を受けた場合は、既に技が成功してしまっているため、草タイプなのに毎ターン宿木に
HPを吸われるという奇妙な光景になってしまう。
よってサクラビスが「宿木のタネ」を被弾してしまうと自分かバトン先が毎ターン1/8ずつ削られて
しまう展開になるため、被弾しないように気を付けて立ち回らないと体力がもたなくなる危険がある。
対処法としては以下の通り。


・「挑発」で技を封じる
草タイプは補助技使いが多いため、あらかじめ「挑発」しておけばあらゆる可能性を含めて安心。
アグノムは「挑発」があるお陰でこれらの草タイプにも隙を見せにくい。


・高速スピン
「宿木のタネ」状態から脱することが出来る。その他にも「マグマストーム」のような交代を封じる技からも
脱することが出来るが、そんなもののためにこんなピンポイントな技を採用する価値はないように思われる。
ステルスロック」「まきびし」「どくびし」を解除出来る点では優秀だが、この効果を最も発揮しやすいのは
シングル66のように設置技の採用率と交代の多さが目立つルールくらいで、シングル63では優先度は低い。


・草タイプで無効化
キノガッサを場に出していれば「宿木のタネ」は無効になるので、これらの技を使われる危険がある場合は
とっととサクラビスに「バトンタッチ」を使わせて無効化したいところ。


・無視して相手を殴り続ける
決定力が高いポケモンであれば毎ターンの回復よりも相手に与えるダメージの方が圧倒的に高いので、
宿木のダメージ込みでも1発や2発で倒し切れることが多い。特に殻を破った後であればダメージレースは
基本的に有利なはずなので、定数ダメージや相手の回復を気にせず殴っているだけでも勝ててしまうケースは
少なくなかったりする。相手に「守る」や交代で時間を稼がれ続けるとHPがもたなくなる可能性もあるため
過信は出来ないが、対策がうまく出来ずに被弾してしまった場合にも諦めずに少ないターンで相手を倒し切る
よう立ち回れば勝ち筋はあることを忘れずにいたい。



5.「呪い」(ゴーストタイプ限定)
使用者例:ゲンガー サマヨール ムウマージ etc
「滅びの歌」や「宿木のタネ」同様「バトンタッチ」で効果が引き継がれる補助技なので要注意。
毎ターン最大HPの1/4が失われるため「宿木のタネ」以上に注意が必要。
使用者があまりいないため現状ではそこまで対処の優先度は高くないが、対処法は以下の通り。


・「挑発」で封じる
最良なのはやはり「挑発」だが、他の補助技同様に挑発持ち以外と対面して撃たれると防ぎにくいのが難点。


・呪われる前に倒す
「吠える」等の時と同様にこれらの技持ちのポケモンを一撃で倒したり、「キノコの胞子」で行動を止めてから
行動される前に倒し切れば被弾することなく終わることが出来る。
耐久が高いゴーストタイプはそこまで多くないため、挑発持ちをサポーターに採用していれば、
呪いを撃たれるチャンスはサクラビスが殻を破った後なので、サクラビスの攻撃で倒し切ることを狙える。
堅いサマヨールは非常に厄介だが「挑発」で黙ることが多く、またキノガッサでも有利に試合を運べる。


・無視して相手を殴り続ける
「宿木のタネ」同様に、被弾してしまってもこちらのHPが尽きる前に相手を倒し切ればいいという理論。
宿木より1ターン毎のダメージが多いので難しくはなるが、相手が「呪い」使用時に自分のHPを半分削るため
相手側の残り匹数や残りHPはかなり少なくなっていることが予想される。そこを突いて攻め切ってしまえば
こちらが倒れるより先に相手のHPを0にするのは可能だろう。
「滅びの歌」を被弾した場合はその後きっちり3ターン以内で相手のポケモンを全員倒す必要があるが、
キノガッサの「ポイズンヒール」があれば「呪い」を受けてもそれ以上延命出来るため望みはある。


6.「トリックルーム
使用者例:クレセリア ポリゴン2 サマヨール ブルンゲル シャンデラ etc
こちらのメインコンセプトが「殻を破る」という素早さを上げる積み技を使用後に上から殴って制圧するという
ものなので、その行動順を逆転させられてしまう「トリックルーム」を絡めた戦法には弱い。
一度発動されるとその後4ターンもの間攻撃を凌がないと元の状態には戻れないため、なるべく発動させない
ための工夫が必要になる。対処法は以下の通り。


・「トリックルーム」をさせない
最もシンプルかつ大事な方法。アグノムの「挑発」やキノガッサの「キノコの胞子」で妨害して行く。
トリックルーム」を使用するポケモンは高耐久なポケモンが多いため、サクラビスが一度殻を破った程度の
攻撃では倒し切れないことが多い。急所や追加効果、または他のポケモンで削ったりすれば使用を許さずに
突破することも可能かもしれないが、サクラビスで「トリックルーム」要員を一撃で倒すことを前提とした
選出や立ち回りは少々危険であるため、他でケア出来るようにしておきたい。


・頑張って4ターン凌ぎ切る
一見無謀に見えるが、「リフレクター」「光の壁」のターンが残っていれば何とかならないこともない。
ここで重要になるのがキノガッサの「身代わり」の存在だ。アンカーがキノガッサでなければ、サポーターを
失った後にサクラビスとアンカーの2匹だけで4ターン凌ぐのは至難の業であるが、キノガッサであれば
ポイズンヒール」を存分に生かした「身代わり」連打だけでターンを凌ぐのは比較的容易である。
そこにうまく「キノコの胞子」も絡めていけば、「トリックルーム」のターンなどすぐに切れてしまうため、
その後また先制「キノコの胞子」から制圧を狙いに行くことが出来る。
サポーターが「挑発」持ちのアグノムであれば、サクラビスの「殻を破る」のターンに「トリックルーム」を
される展開はほぼないはずなので、「波乗り」を耐えられてからされるか「バトンタッチ」のターンにされるか
の2通りである。そのどちらの場合でも「トリックルーム」要員がサクラビス及びキノガッサを壁込みで一撃で
倒せない限りは、相手の攻撃を耐えつつ後攻バトン→後攻胞子(身代わり)からターンを稼げば凌ぎ切れる。


・先制技で「トリックルーム」後も先手を取る
先制技をメインとした戦術を勝ち筋としていれば、素早さの逆転が痛くなりにくい。
トリックルーム」をされようが、素早さ順ではなく「優先度」の高い技で常に相手を先手で殴って行けば
ダメージレースではこちらが有利となるだろう。
これはどちらかというと、サクラバトンのアンカーに仕込むというよりは残りの3匹で行うサブ戦術の方に
組み込むことの方が多い。先制技の威力が高くて全抜きを狙えるポケモンは多くないが、候補としては
「テクニシャン」のハッサムキノガッサ、「神速」があるカイリュールカリオ等だろう。
筆者は「テクニシャン」ハッサムでこの「トリックルーム」への耐性を上げる戦術を好んで使うため、
過去にサクラガッサを採用した構築では毎回「命の珠」持ちのハッサムが同居していた。


7.ソーナンス(「影踏み」+「アンコール」)
「アンコール」という技自体がこちらの展開を妨害してくる技なので厄介なことに変わりはないのだが、
中でも気を付けたいのが技を受けた後に交代したくても出来ない特性「影踏み」を持つソーナンスである。
例えばサポーターがソーナンスに捕まってしまうと、サポートを存分に行えずに妨害されたり、
そのまま起点にされて相手に先に積み技を使われて展開されてしまう等の恐れがある。
壁を貼る前に自主退場技を使えば最低限相手の起点になることは防げるが、今度はサクラビスの「殻を破る」
を「アンコール」されてしまうので、ソーナンスがいる限り積み技の起点にさせてもらえないのだ。
ソーナンス自体がコンボパの類に非常に強く、単純な殴り合いをすれば「カウンター」や「ミラーコート」で
返り討ちにされてしまうため、コンボパを使う際には常に意識しておくべき存在だ。対処法は以下の通り。


・「挑発」で「アンコール」「道連れ」を封じる
サポーターが「挑発」を持っていない場合は、ソーナンスに捕まった瞬間に試合前に描いていた理想の展開
は絶望的になってしまうが、「挑発」があれば妨害を受ける前に「挑発」で黙らせることが可能に。
「アンコール」「道連れ」さえ封じてしまえば後は悠々と壁を貼ってから「挑発」が切れるターンを調整しつつ
再度「挑発」を当てた状態で自主退場してしまえば起点に出来るため、サポーターには「挑発」が是非欲しい。


・行動させずに倒す
サクラビスの攻撃では一撃では倒し切れないが、アグノムの「大爆発」のように火力のある一撃を被弾させて
HPを削ってしまえば圏内に入れることも可能になる。
また、キノガッサに「バトンタッチ」して「キノコの胞子」をしてから起きる前に倒してしまえば問題ない。
しかし即起きから「身代わり」を「アンコール」されて、尚且つ後続に連続技持ち(パルシェン等)がいる
場合は負け筋となるため、時には「身代わり」を残すのを諦めてさっさと殴り倒しに行くプレイングも必要。


ソーナンスに強いポケモンをパーティに入れておく
選出段階で圧力をかけてソーナンスを出させないという意味合いと、実際に出されても殴り勝ちに行くという
2つの意味合いでこの方法は有効である。ソーナンスの弱点を突いて一撃で倒せるポケモンや、ソーナンス
「アンコール」を「挑発」で封じつつ積みの起点に出来るポケモンオノノクスギャラドス等)、
「カウンター」無効のゴーストタイプや「ミラーコート」無効の悪タイプのアタッカー等だ。
連続技を持ったポケモンも「カウンター」で跳ね返されるのは最後の1発分のみなので、「アンコール」を
受けてから殴り合いになってもダメージレースで優位に立てたりする。
筆者の採用した例では「氷柱針」を持ったマンムーや、「虫食い」で倒し切るハッサム等。


8.メタモン(特性「変わり者」でのエースの能力コピー)
これはBW2からの新要素であり、積み技で全抜きを狙う構築全てに対する抑止力となり得る存在だ。
特性「変わり者」メタモンはこちらが使用した積み技による能力上昇も含めて全てコピーしてくるため、
下手を打つとそれを利用されて逆にこちらが全抜きされてしまうこともあり得る。
よって全抜き系のパーティはこのメタモン1匹に足元をすくわれることがないように、常にこの存在を
意識して構築・選出・立ち回りをすることを強いられている。
サクラバトンも例外ではなく、変身されたポケモンの攻撃がこちらに一貫していた場合はそのまま逆転
全抜きされてしまう恐れがあるため、気を付けなければならない。


・変身させない
「身代わり」状態のポケモンには「変わり者」は発動しないため、メタモンを出されるより前に「身代わり」を
残すことが出来れば対策となる。キノガッサは積極的に「身代わり」を残しに行けるポケモンなので、
比較的メタモン耐性は高い方である。


・変身された場合に攻撃を一貫させない
これは選出時に気を付ければいいことである。相手にどのタイミングでメタモンを出されても後続のどちらかで
その攻撃を半減したり、先制技等でそのポケモンを処理出来るような選出及び立ち回りを心掛ける。
メタモンが「拘りスカーフ」を持っているなら攻撃が一貫しない時点で何かの技を拘ったが最後、そのまま
止まるしかない。
サクラガッサの組み合わせ自体も攻撃が一貫しにくい組み合わせなので有効だ。サクラビスに化けられた場合
こちらのサクラビスサクラビス自身に通る技がなく、こちらが一撃で倒されることはまずない。
相手が「冷凍ビーム」を拘った場合はサクラビスで殴り勝てるし、「波乗り」を拘った場合はキノガッサ
止まる。相手がスカーフでない場合はサクラビスの「バトンタッチ」を成功させられれば、素早さ2段階上昇
同士なら相手のサクラビスよりこちらのキノガッサの方が速いため、先手「キノコの胞子」からいつも通り
展開して行ける。


・変身されてもタイマンを制する
相手は強化アイテムを持っていないことを逆手に取る。メタモンの持ち物は「拘りスカーフ」か「気合の襷」の
ほぼ2択と言っていいので、これらが有効に働かないポケモンに化けさせれば同じポケモン同士のタイマンで
こちらが有利になれるだろう。サクラビスのミラーでは相手が有利かもしれないが、キノガッサのミラーなら
こちらは毎ターン「ポイズンヒール」の回復があり更に「キノコの胞子」も効かないのに対して向こうは回復も
状態異常耐性もないため有利になれる。
また、「リフレクター」「光の壁」が残っていれば更に有利だ。能力変化はコピーされても壁はコピーされない
ため、その点でも殴り合いではこちらが有利なれる。


9.特性「天然」
使用者例:ヌオー ピクシー ビーダル ココロモリ
積み技を含む能力変化全てを無視してくる特性「天然」は、積みパ最大の敵とも言える。
能力をいくら上げても意味がないので、素の能力値で殴り勝つしかない。
とは言え使用者が少ない上にその全てが低種族値なので素の数値勝負になっても殴り勝てることは多い。
対処法としては以下の通り


・能力上昇に関係なく殴り勝つ
シンプルだがこれが最も有効。
サクラバトンのアンカーにガッサを推している理由の1つとして、「天然」持ちにナチュラルに強いという点が
挙げられる。ヌオー・ピクシー・ビーダルの3匹に対してタイプ一致技で弱点を突けるため、能力上昇を無視
されたくらいではこいつらで止まらないという利点がある。ココロモリにはタイプ上不利だが、マイナーな上に
サクラビスが「冷凍ビーム」で押し勝てるので問題ないだろう。


・特性「型破り」で無効化する
特性「型破り」があれば相手の特性「天然」も無効化することが出来るので、オノノクスドリュウズ
積み技を使ってから突破を図るというのも有効になる。


10.こちらより先に決定力を発揮してくる相手
例:ウルガモス カイリュー ハッサム パルシェン etc
これはこちらが「殻を破る」を使用するよりも前に相手に「竜の舞」「蝶の舞」「殻を破る」「剣の舞」等の
強力な積み技により決定力を発揮されてしまった場合にこちらが悠長に「殻を破る」を使う暇がなくなったり、
使用してもそのまま相手に先手を許して倒されてしまうという負け筋を指す。
積みパーティは基本的に攻撃に特化しており防御や受けという概念があまりなく、相手に先に決定力を発揮され
た場合にそれを受け切ったり止める方法がない場合が多い。そのまま相手に全抜きを許してしまうことも珍しく
ないので、自分より先に決定力を出されないような努力が必要となる。対処法は以下。


・「挑発」により積ませない
ここでも「挑発」が有効となってくる。補助技全般に有効なので使用頻度も汎用性も高い。
しかし、見るからに妨害して来そうな補助メインの耐久ポケモンに挑発するのはリスクは少ないのに対して、
「剣の舞」や「蝶の舞」のような強力な積み技を持った相手はだいたいが火力が高いアタッカーなので、
このような相手に初手から「挑発」をしていくのにはかなりのリスクが伴う。
例えばこちらのサポーターを一撃で倒せる上に積み技も持っている可能性があるという相手が目の前にいて、
壁を貼って対抗するか、積み技読みで「挑発」をするかは完全に2択となってしまう。
壁に対して積み技を合わせられた場合、「剣の舞」や「悪巧み」の場合は相殺で、「竜の舞」「蝶の舞」の
ようなSが上がる系だと次のターンに2回目の積み技を許してしまう可能性が高く、「殻を破る」だと更に
マズいことになる。壁があっても積まれ続けるとそれ以上の火力を出されてしまうし、Sを上げられると
後続のサクラビスで破っても抜けずに更に上から殴られる(=破るターンと次のターンで2回攻撃を食らう)
ことになり、かなりこちらのコンボの成功率が下がってしまう結果になる。
逆に「挑発」に攻撃技を合わせられてサポーターが出落ちした場合は、サクラビスが相手の攻撃を1発耐える
なら最低限「殻を破る」を使うことは出来るが、その後サクラビスが相手を一撃で倒せない場合や、安全に
バトンさせてもらえない場合、そして相手を倒したはいいが破るターンにHPを削られ過ぎていたために
後続の先制技で処理されてしまう場合等、壁がないことで不利になるケースはかなり多い。
よって「挑発」が完全な積み技対策になっているとは言い難く、一部の強力な積みポケモンに対しては別途
対策を用意するか、択ゲーに勝つことが必要となってくる。


・「アンコール」で起点にする
これは悪戯心で「アンコール」が出来るエルフーンにほぼ限定される。
優先度が高くない「アンコール」だと、素早さ上昇系の積み技をうまく使われると行動順が逆転するため
補助技を固定することに失敗してしまう可能性が高い。よって常に優先度+1で「アンコール」が出来る
エルフーンであれば多くの積み技を「アンコール」で固定させられる。
積み技を固定したら「置き土産」でさっさと退場し、アンコールが切れる前にサクラビスで殻を破ってから
倒すなりバトンするなりしてしまおう。


・特性「天然」を使う
特性「天然」のポケモンがいれば相手の積み技の使用そのものを否定出来る。
ピクシーは両壁に加えて「癒しの願い」を覚えるため、素早さ以外はサポーターとしての素質は充分である。
ココロモリは素早さ114族に加えて「リフレクター」「光の壁」も覚えるので、自主退場技がないという
デメリットを積み技に強いというメリットが上回ると判断するのならサポーターとして採用の価値があるかも
しれない(しかし素の耐久が絶望的に低いためほとんどのスカーフポケモンに一撃で倒されるという欠点が)。


・積まれても全抜きさせない
後ろに威力の高い先制技持ち等を用意しておくことで全抜きの阻止を図る方法。
ハッサムカイリューローブシンルカリオ等はアンカーとしての性能も高い上に先制技の威力が高いため
全抜きへのストッパーとしても活躍が期待出来る。しかし相手に先に決定力を発揮されこちらが後手になって
いる展開自体が想定の範囲外になってしまうので、あまり好ましくはない。


・積ませない選出に変える
アグノムを始めとする「挑発」持ちサポーターを採用していても、先述のようにそれらをワンキル出来るような
積みポケモンと初手で対峙した場合には完全な2択となってしまうケースがある。
その2択を制すれば勝ち濃厚だが外せば負け濃厚という展開は避けたいのであれば、始めからリスクのある
選出を控えて別の戦術にシフトするのも1つの手である。
アグノムが初手で積まれると困るのはウルガモスカイリューである。これらに初手で積ませずに済み、
尚且つ先発で出しやすいポケモンが前にも例を出したカバルドン(+ドリュウズ)やマンムーにあたる。
サクラ軸選出の裏択に、決定力を早期に出すポケモンに対して強い駒を用意することは重要である。


11.初手でこちらのサポーターを一撃で倒してくる相手
例:スカーフサザンドラ スカーフシャンデラ スカーフガブリアス マニューラ etc
サポーターが先手でワンキルされるとこちらがあらかじめ想定していた試合展開のビジョンは全て崩れ、
サクラビスで展開していくことも困難になる。コンボパにおいてパーティコンセプトの崩壊は負け濃厚となる
ことを意味するため、なるべく避けたい展開である。
サポーターに誰を採用しているかにも大きく左右されるが、弱点を突かれない限りは先手で一撃で倒される
ことは少ないと思う。よってケアするべきは素早さが素で高い弱点技持ちと、「拘りスカーフ」を持った
弱点技持ちだ。これらの可能性がある場合は以下のような対処法を取る。


・「気合の襷」「半減の実」「頑丈」で耐える
少し後ろ向きな対策法だが、スカーフによる奇襲や素早さの高いポケモンによる制圧が怖い場合は、
これらの要素を使うことでサポーターの出落ち率を大幅に下げることが出来る。
しかし致命的な欠点として「光の粘土」を持たせないせいで壁ターンが縮まってしまう点が挙げられる。
このデメリットは、特定の試合においてサポーターが出落ちしてしまうリスクと天秤にかけてどちらを取るか
判断して頂きたい。ちなみに筆者の場合はサポーターがワンキルされないことに拘るよりも大多数の試合で
安定した勝率を出すことの方が大切だと感じ、これらの方法はあまり取らず「光の粘土」を優先している。
一応特性「頑丈」を持つポケモンに「光の粘土」と両壁を持たせればこのデメリットをクリアしつつ理想の
サポートをこなせるようになるが、両立可能なのはジバコイルフォレトスくらいであり、素早さの低さ故
両壁を貼れずに倒されてしまう危険性が高いという点がネックとなる。


・倒されたら後ろで起点にする
実際にはこれを行うことが多い。サポーターが出落ちしても後ろで取り返せばいいという発想。
スカーフ持ちは素早さが高く、サクラビスで殻を破るを1回使っても抜けない場合が多いことには注意。
スカーフ込みでも2段階上昇サクラビスで抜ける相手であれば一度耐えて破れば次から逆転出来るのだが、
そうでない場合は上から2回殴られてそのままサクラビスも倒されてしまいかねない。
よって死に出しキノガッサで相手の攻撃を1発耐えてから眠らせることで起点にするパターンや、
アンカーに別途積み技を覚えさせておくことでそサクラビスではなく先にアンカーから出して起点にする
パターンが有効となる。サポーターのラティオスアグノムの弱点の多くを半減出来るハッサムルカリオは、
相手が拘りスカーフでこれらの技を拘った場合に安全に「剣の舞」の起点に出来るため優秀な補完となる。
「マルチスケイル」で強引に起点にしてしまえるカイリューも汎用性が高い。


・先発を変えて対処する
相手にサポーターをワンキルして来そうなポケモンがいた場合には先発を変えるという選択肢もある。
拘りスカーフは誰が持っているか分かりにくいため、可能性が少しでもあると判断したら危ない橋を渡るのは
やめにして別戦術にシフトしていくのも大事なことだ。
スカーフ持ち全般に強くなれるカバルドンドリュウズの戦術や、スカーフを持ってラティオスアグノム
ワンキルしてくるポケモン全般にタイマンで強く出られる襷マンムーはその点でも裏選出として優秀。



【結論】
●サクラバトンの「サポーター」「アンカー」になり得るポケモンをピックアップしてまとめた。
・サポーターとして特に汎用性が高くオススメなのはラティオスアグノムエルフーンの3匹。
・アンカーとして安定感がありオススメなのは「ポイズンヒールキノガッサ


●サクラバトンの弱点を列挙し、それぞれの対処法について述べた。
・弱点は多々あるが、「挑発」アグノムを採用することで多くへの解決策を見い出せる。
・アンカーにキノガッサを採用することで解決される問題も多々ある。
・立ち回りや選出単位での対処法も多いため、使って行くことで慣れることも大事。
・表選出であるサクラバトンの弱点を裏選出で埋めて行く形が有効。



【参考文献】
2つとも筆者が過去に使用したサクラビス軸パーティの解説記事。
今回の記事を書くにあたり自身が参考にしたというよりは、本記事の内容の元となっていたり
その延長線上となっているものが多いため、今回の内容への理解をより深めるために
読者に一度目を通してもらいたいという意味合いで掲載。


・〜カバドリ偽装サクラバトンパ〜 第22回シングル厨オフ・第4回キツネの社mf使用パーティ
http://d.hatena.ne.jp/yuki_rotom/20120606/1339008881


・〜アグノムサクラビス〜 第2回わふおふ・第1回ABC(優勝)・第30回あんぐらオフ(準優勝)・第25回シングル厨のつどいオフ(ベスト16)・第5回微粒オフ使用パーティ
(BW2で使用していた構築紹介記事。現在執筆中。公開後にURLを更新予定)