ユウキのめざめるパワー(氷)

ポケモンバトル考察

【ポケモン剣盾】第八世代取り組みまとめ

こんばんは、ユウキです。
いよいよ明日に控えた新作のSV発売を前に、剣盾に取り組んだ3年の軌跡をここに記しておきます。
ありがとう、剣盾。最高に楽しかった!


★目次

【基本スタンス】

・仕事や家庭との両立を念頭に取り組む

・オフシーズンはシングルメイン、公式大会付近はダブルメイン

(時間の都合上同時期にやり込むのは1つのルールに絞る)

・インターネット大会にも積極参加


【シングル】

●構築記事
剣盾から、自身のブログだけでなくGameWithさんにも記事を書かせて頂くようになったのが一番の変化。
レンタルチームと使い方を載せた構築解説記事は結構評判で、多くの方に構築を使ったり記事を読んだりして頂けた。
特に「ユウキさんのパーティを使わせて貰って勝つことが出来るようになり、ポケモンバトルの面白さに気付くことが出来ました!ありがとうございます」とお礼を言われた時は本当に心の底から嬉しかった。
私自身ポケモンバトルの面白さを色んな人に広めたいと思っているので、これが動画投稿等はしていない今の私に出来る最善の布教活動なのかな、と思う。
(動画投稿も興味はあるが、子育てとの両立のハードルが高い)
SVでも積極的に色んなパーティを作って記事を公開し、皆さんが対戦を気軽に楽しめる環境を作る手伝いをしたい。


●ランクマ
・S8最終335位(R2010)
・S9最終260位(R2008)
・S10最終376位(R1992)
・S11最終340位(R1914)
・S12最終787位(R1940)
・S13最終922位(R1906)
・S14最終811位(R1903)
・S15瞬間1位(R2014)最速2000超え
・S15最終166位(R2014)
・S19最終271位(R1914)
・S21最終529位(R1958)

全体的にパッとしないものの、やっていた時は3桁は安定して取れていた。
リアルの都合で最終日はほぼやり込めなかった反面、構築力を活かして序盤や中盤に瞬間1位や1桁を取って公開したパーティが反響を呼ぶことは割とあった。

特に記憶に残ってる構築を紹介。

①壁ゼルネ


S15序盤に壁ゼルネアスを使って瞬間1位、最速レート2000を達成した構築。
情報が少ない環境初期にレンタルチームを公開した上で詳しい解説記事を書いたのもあり、大きな反響があった。レンタルを上げたツイートは剣盾で一番バズった。

くろこさん、ポケソルをはじめとした有名なYoutubeチャンネルでも紹介された。
壁パが流行った結果シーズン終盤に「かわらわり」等の露骨な対策も増える等、少なからず環境に影響を与えた手応えがあった。



②壁スチル


ダブル勢のやなぎさん原案の構築をアレンジした壁スチル構築。
やなぎさんと色々意見を交換しながら作った。ダブル勢ならではの発想が面白かったり、逆に私がシングル勢としての意見を言うと向こうが新鮮がってくれて面白かった。
バンビーさんに動画で紹介されたのも嬉しかった。


③ラグUB

ビエラが生配信で使ってくれた構築。
ラグラージやUBが解禁されたシーズン序盤に2桁をサクッと取れた。
影響力のあるYouTuberに拡散されたお陰で自分のレンタルとのミラーマッチが発生して面白かったw


④壁ゼルネ2


自身の剣盾最高レート2065を達成した構築。
ランクマ最終100位以内を目標としていたため更に潜り続けて残念ながら最終は溶かしてしまったが、いい夢が見られた。


○ランクマへの取り組み方
社会人、家庭持ちという立場上最終日の深夜〜朝にかけて本格的に取り組むことが出来たシーズンはほとんどなく、目標であった最終2桁はSVにお預けとなった。

ランクマの終了時刻が朝の9時で、シングルほどのプレイ人口がいるルールだと9時ギリギリまで潜れない人には最上位を目指す権利が実質ない(仮に超強くて早めにレート盛ってから出社しても抜かされる)ため、ガチで上を狙いに行くなら有給を取る必要があるのが辛いところ。
たまたま最終日の次の日が土日だった場合やモチベが高かった場合は次の日に差し支えない範囲で(明け方四時くらい)潜ることはあったが、その時にちゃんと勝てるパーティが組めているか、下振れないか次第なので厳しめ。
仮に次の日が休みでも休日の家族サービスを全て放棄してランクマに命を賭けるほどのメリットは個人的にはないので、朝9時終わりが続く限りはSVでも程々に取り組むことになるだろう。
ランクマで結果を出したいという気持ちはあるが、今後もリアルを犠牲にしない範囲で気長に取り組んで行きたい。
望みは薄いが、新作からランクマや公式インターネット大会の終了時刻が0時になってくれることだけを祈る。頼むから…!


【ダブル】

●ランクマ
・S4最終190位(R1886)
・S5 最終11位(R2024)
・S6最終179位(R1900)
・S7最終30位(R1947)
・S27最終15位(R1929)
・S29最終8位(R1973)

基本的にダブルはPJCSおよびWCSへの出場を目標としており、ランクマはそのシーズンが近付いた時の練習の場として利用。
ランクマの最終順位自体を追い求めるというよりは勝てる構築を作る、環境を知るという意味合いが強いものの、シングルと比べて人口が少ないお陰か上位を狙える時は割とあり、最終1桁や2桁をそれなりに取れた。
流石にこちらも最終1位を狙う場合は朝9時まで潜らないと無理そうだが、最終1桁や30位以内なら明け方撤退でも可能な範囲だったので、今後も調子が良ければ上を狙いたい。


●公式大会
3年中2回全国大会出場権利を獲得し、唯一開催された2022年の世界大会にも出場した。
仕事と子育てをしながらこれらを達成したのは今後の自信に繋がる結果で、公式大会への取り組みだけを見ても剣盾は飛躍の世代だったと言える。

◾️2020日本一決定大会予選
32-13で最終119位(R1757)

トリパ偽装の理想形として構築完成度には非常に満足している。
ランクマでもアカバさんと私で同時に1桁順位を取れたりとかなり手応えを感じていたが、予選は抜けられず。
敗因は初見殺しパーティなのに2人でランクマで回し過ぎたことで情報が出回っていたことか。
「バレてても強い」がコンセプトではあったものの、確実に情報バレは痛い。
初手アシレサマヨからダイマ無警戒の襷アシレ方向「ねこだまし」を始めとした一点読み行動を通されてアドを取られる場面もチラホラあったので、この手の構築を握る際は情報戦にも気をつけるべきという学びを得た。


◾️PJCS2021予選
30-8で最終28位(R1767)で予選抜け

2018の時に続いて2回目の全国権利獲得だが、子育てしながらインターネット予選抜けは自身初だった。
当時は知る限りでは周りに子育てしながら予選抜けを果たした人はまだいなかったので、自身の時間創出における取り組み方を発信したところ、多くの子持ちトレーナーさんや社会人トレーナーさんから反響を頂いた。

また、これを機に「子育てポケモン勢のつどい」というdiscordサーバーを設立。
同じく子育てとポケモンの両立に悩んでいるトレーナーの皆さんと意見交換したり交流を深めることが出来たのは嬉しかった。


◾️PJCS2021@オンライン
8-12で最終113位。

オンライン開催。トリパを使ってたせいでかなり運負けし、全然楽しくなかった(対面してれば笑えるがオンラインだとストレスしか感じない)。
パーティは刺さっていたが、初手に後手で動くことが前提のパーティは事故率が上がるためネット大会向けではない、という気付きが得られたのは大きかった。


◾️INC March 2022
30-3で最終15位で予選抜け

アカバさんと2人で使用してどちらも予選抜けを果たし、色んな人にレンタルを使って貰えた。回数表示がない為分からないが、ダブルにおいては自身の公開したパーティの中で一番使って貰えた構築だと思う。

ビエラやAaronがレンタルを使った動画を出してくれて嬉しかった。

www.youtube.com
www.youtube.com
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◾️PJCS2022@幕張メッセ
スイスドロー予選4-2で49位

WCS2022DAY1権利をギリギリ獲得。
0-2スタートから怒涛の4連勝で世界権利を掴んだのは鬼のメンタルと言わざるを得ない。
昔から逆境◎だったが、この経験は今後追い込まれた時にも活きると思う。
3年前から一緒に考察等をしていたアカバさんとようやく初めて会えたり、子育てポケ勢仲間のしゅふぁさん、ハクシュウさんにも会えたり、他にも初めて会う人や久しぶりに会う人が沢山いてオフライン大会の醍醐味を存分に味わえた。


◾️WCS2022@ロンドン
DAY1スイスドロー予選5-3で35位

DAY2権利まであと一勝だったが惜しくも敗退。
日本人対決が多かった(3/8回)上に負けたのは2/3が日本人なので、今後の対策としては世界大会で勝つこともそうだが日本人にもしっかり勝てるように、国内のオフ会や大会にも参加して腕を磨きたい。

久々のWCSは本当に楽しかったし、この為にずっと頑張って来たので無事に出場出来て良かった。
ガラル地方のモデルであるロンドンで色んな人と新たに繋がれたり、会いたかった海外勢とも会えたりと、最高の体験だった。
来年のWCSは横浜ということで絶対に参加したいので、気合いを入れて取り組みたい。

また、ご縁があり公式放送の解説席で少しの間解説させて貰ったのは忘れられない思い出。
とても楽しかったし、多くの方から「分かりやすかった」等のお声を頂けたのは感激だった。
今後も機会があればバトルの楽しさを多くの方に伝える手助けが出来れば幸いだと思う。


【インターネット大会】

ポケモン竜王戦2020最終41位(伝説ありシングル)
・セイムビート最終51位(ポケモン持ち物重複無制限シングル)
・レジェンドオブラウンド最終8位(伝説幻のみシングル)
・トリックリリック最終31位(制限ダブル)
・ジムチャレンジ最終48位(制限シングル)

これまでの世代も気が向いた時に何度か参加したものの、真面目に取り組んだのは剣盾が初かもしれない。
割と良い結果に繋がることが増えたので、考察力・構築力向上のためにも今後も暇があれば取り組むようにしたい。


【シングル66】

・キョダイ湧泉杯優勝
・第33回夜空杯優勝
・第34回夜空杯優勝

何と剣盾で参加した全てのオンライン、オフライン大会で優勝した。
シングル66はランクマがないどころか仲間大会もない為練習の場が一切なく、机上論だけで構築の大枠を組み上げる必要がある。
(フレ戦をしようにもやれる人はほぼ大会参加者なので、構築がバレても良い前提でしか練習出来ない)
その点ではインターネット大会に近いものがあり、試運転抜きで完成度の高い構築を作る必要がある。
3連続優勝という結果は自身の構築力を発揮・証明出来たと言え、自信に繋がった。
ポケモンを6匹使うため運要素やダイマックス択、選出択等の要素が限りなく少ないルールでもあり、安定して立ち回れる実力さえあれば結果がついて来やすいので、そういう意味でも好きなルール。シングル66は神ゲー
第四世代のシングル66からガチ対戦の場に身を投じた背景もありこういう長期戦、サイクル戦が純粋に好きなので、SVでも続けて行きたい。


【交流面】

Twitter
剣盾発売前:フォロー709フォロワー3364

SV発売前:フォロー963フォロワー5610

ありがたいことにフォロー、フォロワーさんの数がかなり増え、Twitterで情報発信や意見のやり取りをすることも多くなり、これまで以上に活用している。
剣盾からプレイヤー人口が一気に増えた印象があるが、とても活気を感じる世代だった。
新世代になれば更に色んな人がやってくるだろう。
SVでも色々な情報を発信して参考になるアカウントを目指すと共に、こちらからも色んな人に積極的に絡んで交友を深めて行きたい。

●discord
子育てポケ勢をはじめとして、新たに交流する場が出来たのは良かった。
特にジュニア勢・シニア勢のお父さんと繋がれたのは貴重な上、人生の先輩として今後の参考になる意見が聞けるのはありがたい。
同世代の子育て勢とは似たような立場ならではの悩みや話を共有出来て心強い。
全国大会や世界大会でリアルでお会いすることが出来た人も何人かいて、ここで出来た繋がりから人脈が拡がって行ったのは嬉しかった。
今後も交流を続けて行きたい。
また、子育てポケ勢のつどいのサーバーメンバーは常時募集中なので、興味のある方がいたら気軽に私に声を掛けてくれると幸いだ。特別な活動はなく、ただ気が向いた時に適当にチャットするだけのゆるい集まりなので是非。

●オフ会
コロナでしばらくオフラインイベントが自粛せざるを得なかったものの、最近は少しずつ復活の兆しが見えて来ている。
昔のように頻繁にオフが開かれる時代になりつつあるので、また参加したり運営に携われると嬉しい。
剣盾では夜空杯のみ参加で大規模オフには参加出来ていないので、SVではタイミングさえ合えば新しい人脈を作りに行きたい。


【その他】

●リモートポケモン学会

WCS開催前、WCSやゲーム部門(ダブルバトル)の魅力についてオンラインでプレゼンをした。
常日頃からWCSの楽しさ、素晴らしさを多くの人に布教したいと思っていたので良い機会を頂けた。
色んな方から「WCS超楽しそう!」「行ってみたい!」と興味を持って貰えたので、やって良かった。
しかしプレゼン準備はパワーポイントの資料や原稿作りに凝り出すと非常に大変でめちゃくちゃ時間が掛かった。
YouTubeで動画を撮ってる人はもっと大変なのかなぁ、凄いことをしているんだなぁと勉強になった。
今後も自分にあった形で布教活動をして行きたい。


【最後に】

沢山の方に支えられて、剣盾の3年間は過去最高にポケモンを楽しむことが出来ました。
本当にありがとうございました。
特に仕事や家庭との両立には家族をはじめとした周囲の理解が不可欠なので、感謝の気持ちを忘れずにこれからもポケモンを全力で楽しんで行きたいです。

SVでは競技選手として更なる高みを目指して対戦に取り組みつつ、多くの方にポケモンバトルの魅力を伝えて行く活動についてもより一層力を入れて、ルール問わず対戦界隈を盛り上げて行きたいです!
今後もプレイヤーとしてのユウキならびに「ユウキのめざめるパワー(氷)」をよろしくお願いします!

【シングル66】王道ザシオーガサイクル【第34回夜空杯優勝】

こんばんは、ユウキです。
11/12に開催されたシングル66のオフ大会、第34回夜空杯に参加して優勝して来ました。
一年前の第33回に引き続き2連覇で、最高の気分で剣盾を締めくくることが出来ました。
せっかくなので記録を残しておきます。


★目次

【パーティ】

【戦績】

●第34回夜空杯 優勝

予選5勝1敗 同率1位(直対で2位)通過
→準決勝vsくれはさん 勝ち
→決勝vsワイルドさん 勝ち

実は1年前の第33回夜空杯でも全く同じ流れで予選エースワイルドにのみ負けて同率1位(直対2位)抜け→決勝で再戦勝利で優勝していた。
そして今回と前回のベスト4の内3人が同じメンバーなのも笑ってしまったw
皆戦績が安定してるな…


【コンセプト】

①王道にして最強、ザシオーガ
②受け崩しの手段を持たせる
③相手のザシオーガをしっかり受け切る
ダイマ枯らしの「まもる」
⑤伝説枠の再利用

①王道にして最強、ザシオーガ
今回は伝説2匹使用可能ルールということで、同レギュレーションのシングル63やダブルバトルで培った経験からザシオーガの組み合わせが最強だろう、と軸にすることに。
分かりやすく2匹の相性も良い上に両方ともトップメタなので対策されて当然なのだが、対策されても尚それを上回るだけのパワーがあると判断。
余談だが、第六世代終盤の夜空杯で当時のシングル66におけるトップメタであったメガボーマンダ軸の構築で2連覇した経験からも、メタられようが王道を使って構築やプレイングでゴリ押すスタンスの方が自分には合っている、と感じていたのも背景にある。

②受け崩しの手段を持たせる
ザシアン受けとしてメジャーなのはヌオーとHB日食ネクロズマ
基本この2匹にはオーガ後出しからテンポを取れるが、ザシアン自体にもこれらを崩せる選択肢を持たせたかったので、攻撃特化で「じゃれつく」「インファイト」採用個体とした。
予選では見事ステロと併せて後出しヌオーや日ネクを突破してザシアンが止まらない状況を作れたのでこれは正解だった。
カイオーガは後出しされるラッキーやハピナスナットレイトリトドンコスパダイナ意識で「ぜったいれいど」採用型とした。これまたオーガ受けにはザシアン後出しでテンポを取れる場合も多いが、そうしなくても単体でサイクルを崩せる選択肢があると有利になれる。

③相手のザシオーガをしっかり受け切る
トップメタであるザシアン、カイオーガそれぞれに安全に後出し可能なラキヌオーを採用。
こちらの火力は押し付けつつ、相手の伝説枠はしっかり受け切るサイクル構築に仕上げた。

ダイマ枯らしの「まもる」
ヌオー、ブラッキーに「まもる」を、ドヒドイデに「トーチカ」を採用して相手のダイマをローリスクで凌ぎやすくした。
「どくどく」とも相性が良く、相手のエースに毒さえ入れれば無理やり時間を稼いで凌ぎ切れるようになる。
このお陰でダイマターンを最小限の被害で枯らしたり、こちらに刺さっているエースを毒殺する動きに繋げられて安定した試合運びが可能になった。

⑤伝説枠の再利用
伝説枠の採用数に制限のあるルールでは伝説枠を実質的に増やせるメタモンや「いやしのねがい」「みかづきのまい」「ねがいごと」が強いので、ラッキーとブラッキーを採用して伝説枠の再利用を試みた。
クレセリアはザシアンがギリギリ受からない点、雨で回復量が落ちる点から今回は没にしたが、トリル三日月の展開性能は非常に強いので検討の価値はある。
復活手段があることで伝説枠を序盤から(倒されない範囲で)積極的に動かせるのが本構築の強み。


【構築経緯】

①ザシアン
このルールでも最強のエースアタッカー。
並の物理受けでは止まらない、それらですら無理やり崩せる火力がある、「きょじゅうざん」で相手のダイマを強打出来る、自分はダイマなしで性能が高い。
採用しないことに理由が必要なレベルのポケモンで、文句なしで最初に採用。

カイオーガ
特殊エースとして採用。純粋に火力お化けで受かるポケモンが限られているため相手の行動に制限をかけやすい。
ザシアンの相方としては雨を降らせて炎に耐性が付く点、ヌオーや日ネクに対面有利な点が偉い。ダイマ適性も高く、第一のダイマ候補。

③ヌオー
最強のザシアン受け。電気の一貫を切れるのもザシオーガと組む上では嬉しい。
ただ基本低種族値なのでザシアンはギリギリ受かるが珠ランド等の一般枠には簡単に倒されることに注意が必要で、物理受けを一任は出来ない。
そこにさえ気をつければザシアンがトップメタのルールでは活躍の機会は多い。

④ラッキー
ヌオーがオーガ等の特殊アタッカー後出しに隙だらけなので、しっかり受け切れる枠として採用。
当日はいなかったがWキュレムディアルガのようなタイプ受けが不可能な技範囲を持つ伝説も受け切れる安心感はラッキーかハピナスだけ。
ステロ枠もここに圧縮したかったので、雑に耐久の高いラッキー。

ブラッキー
ラッキーが黒バドに勝てないので対策として渋々採用。ラッキーをシャドボ採用にするよりはブラッキーを入れた方が強いかなと考えた。
実際黒バドに仕事出来たり、仮想的に当たらない場合は雑にクッションにしたり「ねがいごと」で味方のザシオーガの行動回数を増やせるのが偉かった。黒バドあんまりいなかったけど2回当たったし、採用して正解。

ドヒドイデ
このままだと水が一貫していてウオノラゴンに「エラがみ」されてるだけでサイクル崩壊するので安全に受け出せる駒として採用。
また、ラキヌオーブラッキーサイクルの弱点である「どくびし」回収のため接地毒が欲しかったという理由も大きい。
代わりに地面が一貫してしまいランドロスが非常に重かったので、浮いていて水半減でスピン持てるポケモンが欲しい…
伝説戦のランドロスはステロHBとかでしょーと甘えた結果、鉢巻ランド入りのくれはさん戦(準決勝)と珠ランド入りのエースワイルド戦(予選、決勝)でサイクルが崩壊したので、やっぱりランドが受かるキャラ(エアームドやアーマーガア、テッカグヤあたり)は欲しかったかも。


【個別解説】

■ザシアン@くちたけん ふとうのけん
きょじゅうざん じゃれつく インファイト ワイルドボルト
意地っ張り189-242-136-**-136-180
172-236-4-0-4-92

努力値配分
・A244(+1)「きょじゅうざん」耐え
・A222(+1)「きょじゅうざん」+「でんこうせっか」耐え

・C222パルキアの「Dだいちのちから」15/16耐え
・C244Wキュレムの珠「だいちのちから」15/16耐え
・C152レジエレキの珠「D10まんボルト」15/16耐え
・C152フシギバナの晴れ「Dウェザーボール」13/16耐え
・C167フシギバナの珠「Dだいちのちから」耐え

・S最速ボルトロス+1

ダブルで使っていた個体の流用。
ヌオーや日ネクを崩したいのでボックスにいたなるべくAが高いやつを連れて来た。
素早さはシングルではあまり意味のない調整だが、決勝でザシアンミラーで上を取れたので良かった。
ほぼ特化の火力は凄まじく、色々崩してくれたので配分の選択は正解。

●技構成
・きょじゅうざん
威力100命中100のインチキ技。ダイマすると威力200になるのが強過ぎてザシアンを盤面に残すだけで相手の立ち回りが相当歪む。

・じゃれつく
ヌオーへの最高打点。ステロと併せて崩しを狙ったり、ダメージを蓄積させることで「じこさいせい」を強要してオーガを無償で投げたり。

インファイト
ナットレイやラッキー、ポリゴン2等のオーガ受けへの打点。日ネクへの威力重視でインファ。

ワイルドボルト
当日朝までコスパダイナ意識の「つるぎのまい」と迷っていたが、数の多いカイオーガへの最高打点、数は少ないかもしれないがホウオウやエアームドで止まらないことを考えて採用。
無事準決勝でホウオウナットを崩し、決勝でもアーマーガアやダイマの切れたオーガを倒し切れたので正解だった。


◾️カイオーガとつげきチョッキ
しおふき ねっとう かみなり ぜったいれいど
控えめ191-**-110-222-160-127
124-0-0-252-0-132

努力値配分
・HP16n-1
・C222「かみなり」2発耐え
・C167レジエレキのメガネ「10まんボルト」15/16耐え

ボックスにいたS高めで火力高いチョッキ用オーガを持って来た。
ミラーで気持ち上取れたらいいな、と思ったらエースのオーガより速かったので悪くはなかった。

●技構成
・しおふき
体力多い時に撃てるだけでサイクル破壊性能がある。ステロ撒いてちょっと蓄積入れた後出しラッキーをそのまま突破した。最強。

・ねっとう
体力が減った時用の水技。こんげんは外すとストレスなのと、ナットレイ後出し等にワンチャン火傷させると後が楽になるので。割と選択した。

・かみなり
最低限ちょすいやミラーで打点持てるように採用。

ぜったいれいど
コスパダイナ、ラッキー、ハピナス、トドン、ナットレイあたりのオーガを止めに来る受けポケモンの対策。ナットレイ以外はチョッキで負担を軽減出来るため試行回数を稼げる。実際撃ったのはくれはさんのナットに1発だけだが、その1発で当てたので相当試合が有利に傾いた。採用して正解だった。
氷打点が欲しい相手には最悪ダイアイスすれば良いし、生半可な奴らは半減の水技で充分押せたのでこの構成で問題ない。

●持ち物
ぜったいれいど」でこだわりたくなかったので、撃ち分けが可能なアイテムで無難に黒バドやゼルネ等に抗える手段になるチョッキ。
ブラッキーの「ねがいごと」からチョッキアタッカーを出す動きは結構強いのだが、それをこの火力のポケモンで実現出来るのは鬼だった。



◾️ヌオー@ゴツゴツメット てんねん
どくどく じしん まもる じこさいせい
腕白202-105-150-**-86-55
252-0-252-0-4-0

努力値配分
ステロの蓄積を考えるとザシアン受けは数値がカツカツなので防御特化。

●技構成
・どくどく
誘う特殊アタッカーに当ててから時間稼ぎに徹してヌオーで詰め切る勝ち筋が強いので採用。上手く交代際に刺したり、時にジオコンのターンにゼルネに当てたりめいそうのターンにオーガに当てたりもした(超勇気の居座り)。
ポリ2崩すのにも強かったし、ホウオウにも困らなさそうだったので偉い技だった。準決勝でポリに外したがそれ以外は当ててくれた。

・じしん
ザシアンや電気への遂行技でありつつ最低限の削りが可能な技。
ダイアースによる詰め筋にもなれるのが偉い。

・まもる
どくどくと相性が抜群。ダイマ枯らしにも使えたり、相手の釣り交換に対してアドが取れるようになる。

●持ち物
ザシアンに蓄積を入れて味方の圏内に入れやすくするゴツメ。再生連打でアドを取れるようになるため、安定行動をしやすい。



◾️ラッキー@しんかのきせき しぜんかいふく
ステルスロック ちきゅうなげ いやしのねがい タマゴうみ
慎重343-25-57-**-154-70
140-0-252-0-116-0

努力値配分
・HP8n-1
・ステロ+C222カイオーガの雨「しおふき」2発耐え
・C222カイオーガの雨雫「しおふき」2発95.4%耐え
・ステロ+C244Wキュレムの珠「Dふぶき」を霰込みで受け切れる

伝説環境における特殊受けとしての役割を考えてD補正。メガネ以外のオーガに後出し可能。瞑想やメガネは受からない代わりにザシアンで縛り返せるので、スカーフに無限に後出し出来る耐久があれば問題ない。
不意の「サイコショック」等を考えて防御は全振り。物理相手にも行動保証があり、ステロ役として雑に動かしやすくなる。
細かい部分だがダイマックスする可能性も考慮してA無補正個体値31。

●技構成
ステルスロック
サイクルを有利に進める技。どこかに入れたかったが覚えるポケモンで伝説戦に採用出来そうなのが少なくてコイツに持たせた。

・ちきゅうなげ
最低限の削り技。HP204以上のめいそうみがわりオーガ@たべのこしにハメられた時は泣きそうだったが、逆に言えば2回でみがわり割れるのはこの技くらいなので正解だった。
ブラッキーを採用していない場合は黒バドに打点を持たなければならなくなり、汎用性が著しく下がる。

・いやしのねがい
伝説枠の採用数に制限があるルールだとクレセのみかづきのまいやいやしのねがいのような蘇生技で伝説枠を実質増やす戦法はシンプルに強いので採用。雑に硬いため撃てるチャンスが多い。
決勝ではうっかりバンギの「でんじは」を貰ったザシアンを蘇生させて上手く最後にザシアンを通して勝てた。この技があることである程度エースが状態異常を貰うことを許容出来るため、序盤に積極的な立ち回りが可能になるのが大きい。



◾️ブラッキー@たべのこし せいしんりょく
イカサマ あくび ねがいごと まもる
慎重202-85-131-**-200-85
252-0-4-0-252-0

努力値配分
黒バド意識の採用なのでHD特化。
特殊イベルも誤魔化せる。
細かい部分だがダイマックスしてダイアークを選択する可能性もあるポケモンなので性格は慎重でA個体値31で採用。

●技構成
イカサマ
黒バドへの遂行技でありつつ伝説戦で真価を発揮する強い技。ザシアン等にもモリモリ入るのが強い。

・あくび
ダイマを流せるのが強い技。取り巻きの「どくどく」との相性は良くないが、対面操作をしてから「ねがいごと」で有利対面を作りつつ裏の体力を回復する動きに役立った。
予選のモロ君との対戦では「ちょうのまいダイマウルガを眠らせて処理出来たので強かったが、その前にやどみが黒バドにハメられていたので、「バークアウト」があればなぁ〜とも思った。

・ねがいごと
自身の安定した回復ソースになるだけでなく、伝説の高い耐久を活かして、サイクル下で隙あらば再利用を狙う。

・まもる
「あくび」「ねがいごと」とセットで自身の単体性能を完結させるだけでなく、味方の「どくどく」からの時間稼ぎ、ダイマ枯らしに超役立った強い技。

●持ち物
技構成と相性の良いたべのこし。粘り強く戦えるようになる。

●特性
手元にいたHD個体がせいしんりょくだったのでそのまま採用。
ヌオーに繰り出した際に「どくどく」を貰ってもアドが取れるシンクロでも良いと思うが、「あくび」を押し付ける際に邪魔になる可能性もあったり、準決勝でブラッキーの特性をトレースしたポリ2にヌオーで「どくどく」を押す場面もあったので今回はせいしんりょくで正解だった。



ドヒドイデ@くろいヘドロ さいせいりょく
ねっとう どくどく トーチカ じこさいせい
図太い157-**-224-73-163-55
252-0-252-0-4-0

努力値配分
主にウオノラゴン、ウーラオスへの役割意識で防御特化。
特殊耐久は無振りでも非常に高い水準があり、初見で物理か特殊か分かりにくいポケモンに対してもある程度受け出しが成立するのも強み。

●技構成
・ねっとう
火傷の追加効果が強力なメインウェポン。耐久の高さと特性により試行回数を稼ぎやすく、火傷を撒く目的で連打する。物理アタッカーを焼いてしまえばそのまま機能停止に出来るのが強い。

・どくどく
サンダーやカイリュー等の浮いている再生ポケモンを崩せる点や、対面した相手に毒を入れることで積み技からドヒドイデを起点にして崩す動きに対抗出来る点から採用。必中なのも偉い。
「どくびし」はガラルヤドキングアーゴヨンドヒドイデ等の強い接地毒が多い環境なので回収されやすいのがネック。

・トーチカ
従来の使い道に加えて接触技を撃ってきた相手を毒にするという追加効果があり、ウオノラゴン等に強くなれる。
「とんぼがえり」に対して毒を浴びさせられる点も偉く、毒を入れることでサイクルを有利に運べる。

じこさいせい
対面突破を仕掛けて来る敵に対して「どくどく」から粘るために採用。特性とこの技のお陰で非常に広い相手に対して粘って行ける。

●持ち物
「トーチカ」と併せてHPを回復出来るくろいヘドロ。特性「さいせいりょく」も含めて「じこさいせい」を選ばずに済む場面を増やすことで「どくどく」等で相手に負担を掛けやすくなる。

●特性
シングル66最強特性「さいせいりょく」。
クルクルするだけでHPを回復しまくる動きが強力。


【雑感】

・ラキヌオーブラッキードヒドのサイクルが安定しており多くの伝説枠を封殺した
カイオーガダイマすら使わずにサイクルだけで受け切って勝つ試合が2回あった
・いやしのねがい、ねがいごとのお陰でザシアンやオーガを雑に使えるのは強かった
・地面が一貫しているのが致命的で、アタッカーランドで吐きそうになっていた
・次に組むなら流石に地面無効枠は入れたい
・他の人の構築を見るとザシオーガラキヌオーまではかなりKPが高く鉄板の組み合わせだった
・そこにランドロスを入れると地面の一貫も切れるし良い感じ
・ウオノラゴン、どくびし意識のドヒドイデだったがその2つとはほぼ当たらず
カイオーガは強いけどサイクル加入しにくかったので、ホウオウやイベルのような伝説を入れてサイクルを補強しても良さそうではあった



* * *


今回の記事は以上です。最後までお読み下さりありがとうございました。
伝説にすぐに崩されそうな環境ながら頑張ってサイクル回したり、アツい読み合いをしたりととても楽しかったので、シングル66はやっぱり神ゲーだと再認識しました。
もうすぐSV発売ですが、新作でも66を楽しんで行けると嬉しいです。
夜空杯主催の皆さん、いつもありがとう!

【コラム】ポケモンという競技と年齢について

こんばんは、ユウキです。
最近プレイヤー間で年齢に関する話題が挙がる機会が増え、自分自身も考えさせられる部分があったので思考整理のため書いてみました。
最初はTwitterに垂れ流してたけど、文字数が足りなさ過ぎるためブログに。たまにはこういう雑記、コラム的な使い方も良いかな?
ベテラントレーナーの皆さんに特に読んで貰いたいかもしれません。


【1.プレイヤーの高年齢化】

ポケットモンスター赤・緑が発売されたのは1996年2月。
2022年でポケモンのゲームは26周年を迎えた。

私は初代からリアルタイムでプレイしている「ポケモンど真ん中」世代だが、発売当時小学1年生だった私も今年で33歳となった。
発売時期から考えれば昔からのポケモンファンの多くは現在アラサー以上となっており、全体的にプレイヤーの年齢層も上がっている。

これ自体は長くコンテンツが続いている以上はごく自然な現象であり、何歳だろうがゲームを楽しむ権利は皆が等しく持っているため、高年齢化による不都合も特段ない。
しかし、ポケモンをただの趣味のゲームではなく「競技」として見た場合、年齢というのは多くの人が意識せざるを得ない問題となる。
最近特にベテラン競技プレイヤー間でこの手の話題になることが増えたため、年齢について考えてみた次第だ。


【2.競技として見たポケモン

ご存知の方は多いと思うが、ポケモンには毎年世界大会、ワールドチャンピオンシップス(以下WCS)がある。
各国の予選を勝ち抜いた選手達が集って競い合い、それぞれの種目における世界チャンピオンを決める国際大会である。
直近のWCS2022では下記5種目が開催された。

・ゲーム(剣盾ダブルバトル)
・カード
ポッ拳 ※2022が最後
ポケモンGO ※2022が初
ポケモンUNITE ※2022が初

WCSの競技に出場するプレイヤーは、年齢に応じて以下のカテゴリに分けられる。

・ジュニアカテゴリ:2010年以降生まれ(0~12歳)
・シニアカテゴリ:2006~2009年生まれ(12~16歳)
・マスターカテゴリ:2005年以前生まれ(16歳~)

この年齢区分は同程度のレベルのプレイヤー同士が戦えるような配慮(格闘技で言う階級、将棋で言う段位のようなイメージ)と推測されるが、プレイヤーの数で言えばマスターカテゴリが圧倒的に多く、ここが今回の論点となる。

マスターカテゴリの年齢上限はないため、極論16歳と100歳ですら同じ土俵で戦うことになる実質無差別級の競技である。
ポケモンのゲーム自体は老若男女問わず誰でも楽しめるが、競技勢として上を目指したい、世界大会へ出場したい、という目線となると各国の予選を勝ち抜いたり国際大会で上位成績を残す必要があり、今のところ超高齢な有力選手というのは見たことがない。


【3.競技勢の年齢層】

試しにTwitterでアンケートを取ったところ、このような結果が得られた。

世界大会の参加者はもっと多いためこれはそのほんの一部を切り取っただけの結果ではあるが、下二つの合計(26歳以上)で6割以上を占めており、やはりプレイヤーの高齢化を感じる。更に思ったよりも31歳以上のプレイヤーが多いことには驚いた。

一昔前のオフ勢では私の同世代に加え一個上、一個下の世代が非常に多かったのだが、やはりポケモンど真ん中世代は発売時期から逆算しても30代周辺なのだろう。
昔からやり続けている私のようなプレイヤーだけでなく、一時はポケモンから離れたもののコロナ禍で在宅時間が増えたことで剣盾から久しぶりにポケモンに復帰し、そこからガチ対戦にハマり始めた同世代の人もチラホラと増えた印象だ。
私の知る限りでは、ゲーム部門の今年の日本代表選手で言うとビエラやYT、ペンギン(敬称略)らの30歳付近の古参世代が多く、そこに剣盾新規勢を始めとする20歳付近の現役学生勢も結構増えて来たが、割合で言えばまだ少ないという感じ。30代の仲間は少ないと思っていたが、アンケート結果を見るに案外そんなことはないらしい。合計数字の多さから海外勢も結構回答してくれたようだ(日本代表はもっと少ない)。

ちなみに31歳以上の人の内訳や上限は調べられていないが、話したことのある日本勢で歳上はいなかった為国内では私の33歳(出場時点では32歳)が最年長という認識だ。
会場で海外勢を見た限りでもそこまで歳上っぽい人が多かった印象はなく、アラフォー以上はかなり少数派と思われる。


【4.高年齢プレイヤーが少ない理由】

アラサープレイヤーが多い一方で、そこから更に上の層は少ない原因を推測する。

①そもそもやったことがない層
例えば現在40歳の世代は、ポケモン赤緑発売時点で14歳。
私の世代では当時小学生で、赤緑〜金銀クリスタルくらい(小学校高学年)まではポケモンがクラスの流行コンテンツNo. 1だった。
しかし中学生以降になると「今更ポケモンなんてやらないよ、ガキじゃないんだからw」みたいな厨二的思考の層も割と出て来るようになったのを覚えている。
赤緑発売当初はまだポケモンというゲームのブランドは浸透していなかったにしろ、ゲームやポケモンに対して「子供がやるもの」という先入観が今よりは多少強かった時代背景もあったであろうことから、発売時点である程度年齢が高い層はそもそもポケモンに手を出そうとは思わず、そのまま今に至る場合も多いだろう。


②昔はやっていたが今はやっていない層
長年ポケモン対戦界隈にいると、昔はガチ勢だったのにある時から競技シーンから離れて行く、所謂「引退」をするプレイヤーは何人も見て来た。理由を聞くと、大体こんなパターンが多い。

(1)生活の変化により時間がなくなった(受験期の一時引退、社会人になったり家庭を持ち忙しくなるetc)
(2)体力やモチベ低下により従来よりプレイ時間の確保が難しくなった
(3)もっと楽に楽しめる別の趣味に没頭中
(4)以前より勝てなくなり辞めた

色々と要因は考えられるが、年齢を重ねる&ライフステージが進むと共に物理的に時間の確保が難しくなるというのは一つの大きなハードルであることは間違いない。
社会人になるだけでも仕事による疲れや残業でゲームをやる体力・気力が奪われるため、かなり頑張らないとポケモン競技を第一線で戦うことは出来ない。
加えて最近はポケモン勢も結婚ラッシュが続いており、既婚プレイヤー、子育てプレイヤーも増えている。自分一人の時間確保すら難しくなり、上位を目指す上でのハードルは更に増える。

加えて、ポケモンという趣味は対戦を楽しむためのコストが多いという意見もあった。
「対戦や構築を組むのは楽しいが、個体を準備する作業は苦痛なので気が向かない。ソシャゲやカードゲームならその辺りの下準備をお金である程度解決出来るので、楽しいことだけに時間を使える」という意見を聞いて、時間のない社会人にソシャゲ等が浸透している理由が垣間見えた。
確かにポケモンに余程のこだわりがない限り、それ以外の楽で楽しい趣味に走ってしまうのは至極当然である。

加齢と共に辞める理由が間接的に増えて行くことは分かった。
最後の(4)について、勝てなくなる理由と年齢に相関があるかどうか=加齢が直接引退の原因になり得るかは特に気になるところだ。


【5.勝てなくなる要因】

世代が変わる毎にメガシンカZワザダイマックス等の投入でルールが大きく変わるため、その変化について行くのは確かに大変だ。
しかし、そこにいち早く慣れて適応出来るかどうかに年齢は関係あるのだろうか?

歳を取ると新しいことに対して気持ちの面でのハードルが増える傾向自体はあると思う。
新たな趣味を開拓するために色々調べたり一から習得するのは面倒なので、昔から知ってる遊びを楽しみたい〜みたいな考えだ。ゲーム以外にも当てはまるが、歳を取る程に新しいことに対する挑戦意欲が薄れる人の割合は増えていき、歳をとってもチャレンジ精神がある人は同世代から「若いね〜」と評価される。
この気持ちの面を若く保つことさえ出来れば、能力的な面では若い人とそこまで変わらないと個人的には思っているが、そのあたりは後々調べてみる。

ただ、気持ちの面で新要素に億劫さを感じる古いプレイヤー達が勝てなくなり引退するメカニズムは想像しやすい。
とりあえず新作を買ってやってみるものの「新要素、何だか慣れないな〜、面白くないな〜」とネガティブな印象から始まり、若い頃のやり込み具合には達しない。
新世代になると若くて時間も沢山ある学生プレイヤーが新規参入して来るが、彼らに勝てなければ当然勝率は下がる。
そのまま環境変化について行けず、勝ち方や取り組み方が分からなくなると、徐々に面白くなくなりやめて行く。

勝ちにこだわるやり方はとにかくしんどいし、大人になればなるほど趣味にそこまでのコストを割くのは嫌う傾向がある。
ポケモンをやっていた人はゲーム自体は元来好きな人が多いはずなので、ポケモンを引退したとしてもゲーム自体からは離れない。
今の世の中にはポケモン以外にも様々なソシャゲを中心に楽しいゲームや趣味があるので、ポケモン程のコストを支払わず楽しめるそちらに鞍替えしてしまう、というパターンが最も多いのだろう。
つまりポケモンの場合は特に能力的な部分ではなく精神的な部分で加齢により勝てなくなり引退する、と言うのが大半だと予想される。


【6.ポケモンとスポーツ】

では、現役ベテランプレイヤーの意見はどうだろうか。
長年ポケモンにこだわり続ける少数派、中でも世界大会常連のトッププレイヤーの間ですら、「最近脳の衰えを感じる」とか「昔は見えてた詰め筋が見えなくなった」みたいな怖い話をチラホラ聞く。
時間や気持ちの面だけでなく、能力的な面でもハンデを抱え始める年齢というのがあるのかも?という漠然とした不安が界隈の一部を取り巻いたことで、この手の話題が少し増えた。

私自身「45秒じゃ選択時間足りなさ過ぎる!!」とは常々思っており、時間内に最適解を導けずに後悔することは今でも多々ある。
ダブルバトルダイマックス抜きで考えても1手に100通り以上の選択肢(実際の場面で有効な選択肢自体はここまで多くないが、目安として)があり、ダイマックスまで絡むと更に複雑になるため、時間内に全ての可能性を検討するのは不可能に近い。
かといって若い頃なら短時間で正解に辿り着けたかと聞かれると、そんな自信もない。

実際若いプレイヤー達も同じように「時間足りない」とは言っているので、実はそんなに差がないのでは?とも思っている。(そう思うことで己を保っている側面も否定は出来ないが)

フィジカルが物を言うスポーツの世界では、どんなに素晴らしいプロスポーツ選手でも老いには勝てず、加齢とともにパフォーマンスが落ちる為いずれ競技を引退する。
身体能力のピークは一般的には20代半ば頃と言われており、スポーツ選手が競技で活躍するのもこの年齢付近であることが多い。
肉体的ピークを過ぎても活躍する中堅・ベテランアスリートはそこを精神的な面でカバーしているのだが、ポケモンはどうだろうか?

e-sportsの中でも反射神経や動体視力が必須になる格闘ゲーム等は加齢によって勝率が下がりそうな気はするが、ポケモンで勝つためにはその辺りの能力はほぼ求められない。
ポケモンはフィジカル関係なく純粋に頭だけで勝負出来る競技なため、スポーツや格ゲーより高い年齢まで現役競技者でいられる可能性が高いと考える。

肉体的な面で引退をしなくて済むのであれば、脳の限界はどこにあるのか。
そこで、人間の脳の加齢による能力の変化について調べてみた。


【7.加齢と脳の能力】

少し調べた結果、人間の脳のピークというのは実は存在せず、能力によってピークが異なるという興味深い記載が見つかった。

詳しくは参考資料を参照。一部抜粋する。

18歳前後:総合的な情報処理能力と記憶力
22歳:名前を記憶する能力
32歳前後:顔認識能力
43歳前後:集中力
48歳:感情認知能力
50歳:基本的な計算能力
50歳前後:新しい情報を学び、理解する能力
67歳前後:語彙力

●参考資料

こうして見ると、分野次第では年を重ねても頑張れるどころか、その方がパフォーマンスが上がる領域まであるのだから驚きだ。
年齢を重ねることに対して悲観的な気持ちもなくはなかったが、少しは前向きになれそうな気がして来る。

残念ながらポケモンバトルに求められる能力として挙げられそうな「情報処理能力」という観点では18歳前後がピークで、ゲームが複雑になると若いプレイヤーに軍配が上がることは多そうだ。

ただ、新しいことを学ぶ能力は50歳でもピークに達しないというのは予想外の朗報だ。
やる気の面で新しいことが億劫になるのは仕方ないとして、そこさえ乗り越えればまだまだ全然やれるということだ。
更に「判断力」という面に関しては過去の経験がモノを言う側面も大きく、若いプレイヤーより経験豊富なベテランプレイヤーの方が良い判断をする場合があり、それは時に年齢による脳の情報処理速度の差を埋めることもあるだろう。


【8.若いプレイヤーの台頭】

どの世界にもいるが、若い才能には驚かされることが多い。
将棋の藤井聡太九段や卓球の伊藤美誠選手等、10代前半から大人の勝負の世界で活躍する人はいる。
ポケモン界でも若いプレイヤーがどんどん活躍していて、2019シニアチャンピオンのふゆばれ選手は今年の初マスターでもTOP16に残っていたし、2022ジュニアチャンピオンのコウサク選手もマスター選手顔負けの構築・立ち回りで決勝の相手を圧倒して観ている大人達を驚かせてくれた。

将棋やポケモンのような頭脳戦の世界では体格差は関係ない為、若い選手には脳の若さや体力面、そしてこれからも競技シーンで活躍出来る時間が多く残されているという、「将来性」の面でのアドバンテージは確かに大きい。
歳上の世代が「彼らにこの先勝てる気がしない」と弱気になるのも頷けるが、ポケモンであればフィジカルが老いても関係はないし、能力的な面でも経験でカバーして戦える為、そこまで悲観的になることはないと私は捉えている。


【9.ベテランプレイヤーに出来ること】

色々と調べたり考えた結果、年齢を重ねたプレイヤーが競技で勝つことを目指した場合にどう取り組めば良いかが少し見えて来た気がする。
個人的な抱負も兼ねて、ここに今後の取り組み方針を示しておく。

①体力維持に努める
年齢を重ねた時の最大の壁となるのがやはり体力面。
ポケモンで勝つのにフィジカルは関係ないと言ったが、ポケモンの上手さはやはり練習量と比例するため、練習時間確保には結果的に体力は必要となる。
仮に脳が元気でも体が元気じゃないと活動時間そのものを確保出来ないので、働いたり家事をした後でもランクマに潜ったりポケモン考察をするだけの余力を残せることは最低条件。
30台前半の現段階ではまだ気合いと根性で深夜〜明け方まで夜更かしポケモンをしても次の日の仕事は出来ているが、歳を取るにつれて無理が効かなくなるのは明白なので、少しでも老化による活動時間縮小に抵抗するために、体を若く保つ。
オフシーズンは筋トレ等で体力作り、オンシーズンも日常生活に無理なく運動習慣を入れて体力維持に努める。

②時間を作る
気合いと体力でカバー!と言うのも辛いので、ポケモンに取り組める時間を増やす努力はするべき。皆時間がないのは一緒だが、自由時間が多い方が有利になるのは間違いない。
私が去年書いた時間創出に向けた取り組み例を挙げておくので、参考になれば幸いだ。

●参考

また、最強の裏技としては「退職」という道も。
ポケモンのプロは国内にはまだほとんどいないが、数少ない1人である「Umbra」のアルカナさんは社会人ゲーマーだったが今月退社予定らしく、同じく社会人ゲーマーでシングルの有名実況者のいろはさんも最近退職したとのこと。
プロ選手やYouTubeだけで生計を立てられる人なんてほんの一握りで夢のまた夢に見えるが、本気で取り組んだ先にある選択肢としては意識しても良い世の中になりつつある。
また、最近加藤純一さんが新たに「ムラッシュゲーミング」というチームを立ち上げ中で、ポケモン部門にも何人かの応募者が第二選考以降まで残っており、新たなプロ選手誕生は間もなくだ。
昔はポケモンの為に仕事を辞めてニートになる、という無敵のプレイヤーもごく稀にいた。短い目で見れば確かにそれが最強だが、長い目で見たら生活を犠牲にするのはあまりオススメ出来ない。それに家庭を持ったり歳を重ねて仕事の責任が増えるとリスキーな選択は益々取りにくくなる。
しかし一昔前まではポケモンで飯を食うなんてことはありえない世の中だったのに、数人でもそれを実現している人が出て来たことは間違いなく進歩だ。
また、今あるものを全て捨てずとも兼業プロという形もあるはずなので、ゲームに取り組む時間を今より増やせる立場が今後増えれば、取り組み方にも幅が出るかもしれない。

③経験を大事にする
我々ベテランが若いプレイヤーに勝てるのはここだけなので、自らの経験をしっかりとプレイに活かせるよう意識する。昔の経験をすっかり忘れてしまうとアドバンテージがないに等しいので、なるべく記憶に留める、もしくは体に染み込ませる。
昔から私が継続してやってる取り組みとしては「ランクマ等の試合のログを毎ターンノートに取っておく」というものだが、今後も定期的に見直して反省を自らの糧として行く。

④自分の脳の強み、弱みを理解する
今の年齢で自分の能力のどこが優れているかを念頭に置き、プレイスタイルや練習への取り組み方にも反映させると良いだろう。
瞬間的な情報処理に自信がない場合なら、反復練習を重ねたり、色々なパターンを想定して予め試合の動きを組み立てて、試合中の思考量を減らすことで対策が可能だ。
集中力では若い世代よりも俺の方が高いんだ!と言うように自らの強みが分かっているなら、その集中力を本番で最大限発揮出来るようにルーティンを決めたり、インターネット予選等に取り組む際もそれに適した環境を作る準備が必要だ。
また、能力は変化して行くため時には年齢を重ねる毎にこれまでの取り組みを見直し、アップデートして行く必要もあることは意識したい。

⑤効率良く練習に取り組む
ただ漫然とやっていても勝てるようになるまで時間が掛かり過ぎる為、時間のない中で結果を出すには効率が最重要となる。
特にいち早く自分のプレイスタイルに合ったパーティを見つけて、そこから最短経路で構築の練度を上げる必要がある。
私が予選を抜けた年は毎回シーズン序盤に相棒となるポケモンと出会えているので、そこから一つの構築タイプに絞って取り組むことで他のプレイヤーより時間がないことをカバーしていた。
この辺りは長年のセンスや経験を活かせる部分でもあるので、差をつけるならここも意識したい。
また、練習の精度や密度を高めるには1人より複数人の方が効率が良くなる場合もあるので、協力者を探すのも良いだろう。



* * *



今回の記事は以上です。最後までお読み頂きありがとうございました!
私は昔も今も第一線で活躍していると思って頂けるような実績をギリギリ出せているので、今後もベテラントレーナー達の希望でいられるよう努力したいですね。
その先に史上初の30代(&子持ち)世界チャンピオンという称号を手に入れるのが私の野望なので、新作でもより一層気合を入れて取り組んで行きたいです!!